贈与税という言葉は聞いたことがあるけれど、どういう場合に課税されるのか知らない人が多いと思います。

  • 住宅を購入するとき
  • 教育資金が必要なとき

など、親や親族から援助を受ける人も多いでしょう。

そのときに贈与税というものが気になるのではないでしょうか?

この記事では、贈与税の基本的な仕組みについて、ざっくりと解説していきたいと思います。

 

贈与税とは

贈与とは、贈与をしたいと思う人(贈与者)が、贈与を受けたいと思う人(受贈者)に無償で財産を譲るという意思を表示し、

受贈者がこれを受ける意思を表示することで成立する契約です。

受贈者に一定の負担を課す負担付贈与などもあります。

贈与税とは、贈与を受けた側が払わなければならない税金です。

個人から個人への贈与の場合に課税されます。

なぜなら、贈与税は、相続税を払いたくない人が、生前に財産を贈与することによって、

相続税を免れることを防止するためにある税金であり、相続税を補完するという位置づけの税金であるためです。

贈与を受けた法人には、贈与税ではなく所得税が課税されます。

法人から贈与を受けた個人も贈与税ではなく所得税が課税されます。

ただし、

  • 法人格のない社団
  • 法人格のない財団
  • 一定の公益法人

は贈与税の課税対象です。

贈与は、

  • 家族間
  • 親族間

で行われることが多く、契約書などを作成していないこともありますが、

契約書の有無にかかわらず、

  • 金銭の授受
  • 不動産の名義変更

などがあれば、贈与があったとみなされます。

 

贈与税が課税される場合とは?

 

課税される贈与

1年の間に基礎控除額を超える財産の贈与を受けた場合に課税されます。

一般的に贈与されることが多いものは、

  • 金銭
  • 不動産
  • 自社株式

などではないでしょうか。

他にも、

  • 預貯金
  • 自動車
  • 借地権
  • 公社債など有価証券
  • 貴金属や宝石
  • 骨董品
  • 美術品

など金銭に見積もることができるような財産はほとんど含まれます。

 

課税されない贈与

課税されない贈与には、例えば下記のようなものがあります。

 

仕送り

1人暮らししている子供への送金など、定期的な生活費の送金は、扶養義務の履行であり、贈与契約ではありませんから、課税されません。

 

離婚時の財産分与

離婚するときの財産分与は、夫婦で協力して作り上げてきた財産を分け合うものですから、

「無償であげる」という贈与とは少し性質が違います。

そこで、原則として、贈与税は課税されません。

しかし、分与された財産が過大であるような場合は贈与税が課税されることがあります。

 

死因贈与契約によって得た財産

死因贈与とは、自分の死亡を原因として、受贈者に特定の財産を贈与するという契約のことです。

契約ですから、贈与を受ける側も、その財産をもらうという意思表示をしていることが必要です。

遺言で、財産を贈与することを遺贈といいますが、遺贈と死因贈与は法的には異なるものです。

しかし、ある人の死亡をきっかけとして財産をもらうということは共通ですので、死因贈与によって財産をもらった場合には、贈与税ではなく相続税の対象となります。

 

贈与税の基礎控除額

贈与税の基礎控除額は、1人につき、ある年の1月1日から12月31日までの間で110万円です。

 

通常の贈与の税率

贈与税は、上記の基礎控除後の金額に対して、下記の税率で課税されます。

  • 200万円以下   10%
  • 300万円以下   15% 控除額10万円
  • 400万円以下   20% 控除額25万円
  • 600万円以下   30% 控除額65万円
  • 1,000万円以下 40% 控除額125万円
  • 1,500万円以下 45% 控除額175万円
  • 3,000万円以下 50% 控除額250万円
  • 3,000万円超  55% 控除額400万円

 

20歳以上の者への直系尊属からの贈与の税率

20歳以上の子や孫など直系の子孫にあたる人が、直系尊属から贈与を受けた場合には、

基礎控除後の税率は下記のとおり、少し有利になっています。

  • 200万円以下   10%
  • 400万円以下   15% 控除額10万円
  • 600万円以下   20% 控除額30万円
  • 1,000万円以下 30% 控除額90万円
  • 1,500万円以下 40% 控除額190万円
  • 3,000万円以下 45% 控除額265万円
  • 4,500万円以下 50% 控除額415万円
  • 4,500万円超  55% 控除額640万円

 

贈与税の計算例

例えば、Aが1年の間に、

  • Bから500万円
  • Cから300万円

合計800万円の贈与を受けたとします。BとCは、Aの直系尊属ではないとします。

そうすると、通常の贈与税の課税となります。

まず、

800万円−110万円=690万円

に贈与税がかかります。

これは、「1,000万円以下の場合」に当たりますから、贈与税の額は、

690万円×40%−125万円=151万円

となります。

 

贈与税の特例

 

配偶者間の不動産に関する特例

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、

  • 居住用の不動産を贈与するか
  • 居住用の不動産の購入資金を贈与する場合

は、2,000万円まで非課税になる制度です。

 

住宅取得資金等の贈与

平成31年6月30日までに、父母や祖父母から、20歳以上の子や孫が、

  • 居住用家屋の新築
  • 取得又は増改築の資金(住宅取得等資金)

の贈与を受ける場合、一定額が非課税になる制度です。

この居住用家屋の敷地となる土地の取得も含みます。

 

教育資金の一括贈与

平成31年3月31日までに、父母や祖父母から、30歳までの子や孫、ひ孫に教育資金を一括贈与する場合には、

1,500万円まで非課税となる制度です。

ただし、学校以外の者(例えば学習塾など)に支払われる金銭は500万円までです。

また、30歳までに使い切れなかった残金については、課税対象になります。

父母または祖父母は、

  • 信託会社
  • 金融機関
  • 金融商品取引業者

のいずれかと教育資金管理契約を締結する必要があります。

 

結婚・子育て資金の一括贈与

平成31年3月31日までに、父母や祖父母から、20歳以上50歳未満の子や孫の、

  • 結婚
  • 出産
  • 子育て

を支援するための資金を一括贈与する場合には、1,000万円まで、贈与税が非課税になる制度です。

ただし、結婚に際して支出する費用は、300万円までです。

父母や祖父母は、

  • 信託会社
  • 金融機関
  • 金融商品取引業者

のいずれかと信託契約を行います。

 

贈与税の申告と納税

贈与税の申告は、贈与を受けた人の住所を管轄する税務署に贈与税の申告書類を提出することによって行います。

贈与税の申告期間は、翌年の2月1日から3月15日までです。

贈与税の納税期間は、翌年の3月15日までです。

金銭での一括払いが原則ですが、延納制度もあります。

上記の特例や相続時精算課税制度などを利用する場合には、贈与税が0円でも申告する必要がありますので、注意が必要です。

 

まとめ

家族間だからといって、安易に財産を移動させると贈与税が発生することになります。

現在は、親世帯から子世帯へ円滑に財産移動が図られるように、いろいろな特例制度がありますから、このような制度を利用して上手に節税しましょう。