贈与税は、税率が一律ではなく、10%〜55%の範囲で贈与金額に応じて決まります。
税率や課税制度も複雑なので、贈与税を正確に計算するのは難しいです。
「贈与税を簡単に知ることはできないのかな。。」なんて、お悩みの人は多いと思います。
実は、贈与税の早見表を使うことで、簡単に贈与税額を概算することが可能です!
贈与税の早見表は、見方さえわかれば難しくはありません。
今回は、贈与税の早見表の使い方や贈与税の計算方法についてご紹介します。
贈与税の早見表を活用して、贈与税額を概算してみましょう。
目次
贈与税の早見表は一般税率と特例税率の2つ!
贈与税の課税制度には、暦年課税制度と相続時精算課税制度の2種類があります。
相続時精算課税制度は、特別控除額の2500万円を超える部分の税率は一律20%です。
しかし、暦年課税制度は、贈与額に応じて税率が変わるため計算は少し複雑です。
贈与税は原則として暦年課税制度で計算されるので、まずは暦年課税制度の計算方法を知りましょう。
暦年課税制度で贈与税を計算する際には、早見表(速算表とも言われます)を使うと計算しやすくなっています。
なぜなら、贈与税額の算出には、『課税金額』『税率』『控除額』が必要で、早見表は課税金額さえわかれば税率と控除額がわかるためです。
贈与税の早見表は、一般税率と特例税率のそれぞれに存在しているので、自分の当てはまる方を使いましょう。
特例税率は、祖父母や両親などが、20歳以上の子や孫に贈与するときに適用されます。
課税価格が300万円を超えて4,500万円以下なら、一般税率よりも特殊税率が税率は低いです。
それでは、実際に早見表を確認しておきましょう。
贈与税の一般税率と特例税率の早見表(速算表)
贈与税の一般税率の早見表は以下となっています。
課税対象の金額 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | – |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
例えば、課税対象の金額が350万円なら、「400万円以下」のところを見るので、税率は20%で控除額は25万円です。
したがって、贈与税は45万円です。
次に、贈与税の特例税率の早見表は以下となっています。
課税対象の金額 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | – |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
例えば、課税対象の金額が350万円なら、「400万円以下」のところを見るので、税率は15%で控除額は10万円です。
したがって、贈与税は 42万5,000円です。
このように、早見表を使えば、課税対象の金額さえわかっていれば、税率と控除額がわかります。
ここからは、早見表を使って実際に贈与税を計算してみましょう。
早見表を使って贈与税を計算してみる(一般税率)
早見表を使って贈与税を計算するとき、まずは基礎控除額を差し引いた課税対象の金額を算出します。
基礎控除後の課税価格を算出したら、早見表を見て該当する税率と控除額を使って計算します。
例えば、叔父から3月に現金200万円と、同じ年の8月に兄から現金300万円の贈与を受けた場合を考えてみましょう。
その年に受けた贈与の額は、「200万円+300万円=500万円」です。
ここから基礎控除の110万円を差し引き、「500万円-110万円=390万円」で基礎控除後の課税価格が求められます。
祖父母や両親からの贈与ではないので、一般税率の早見表を見てください。
課税対象の金額が400万円以下のところを見ると、「税率は20%」「控除額は25万円」ということがわかります。
したがって、贈与税額は以下です。
このように、早見表を使えば簡単に贈与税額がわかります。
特例税率の場合の計算も確認しておきましょう。
早見表を使って贈与税を計算してみる(特例税率)
ここからは、母から3月に現金200万円と、同じ年の8月に祖父から現金300万円の贈与を受けた場合の計算例を見ていきます。
母や祖父からの贈与なので、特例税率での計算です。
基礎控除後の価格は、「200万円 + 300万円 – 110万円 = 390万円」で、贈与税額の計算式は以下となります。
一般税率だと贈与税額は53万円だったので特例税率は、4万5,000円だけ税額が低いです。
もしも特例税率を使えるなら税額が抑えられるので、贈与の計画をたてる際には正しいほうを使うように気をつけましょう。
一般税率と特例税率が混在する場合
「叔父と母から贈与を受けたけど、どっちの税率を使うんだろう。。」なんて、お悩みの人もいるかもしれません。
そのような、一般税率と特例税率が混在しているケースについても見ておきましょう。
例えば、叔父から100万円、母から300万円の贈与を一年間に受けたときの贈与税についてです。
このようなケースでは、いったん合計額で贈与税額を算出した後、それぞれの割合をかけます。
贈与額500万円(一般贈与125万円・特例贈与375万円)の場合の計算例
まず、基礎控除後の課税価格は、「500万円 – 110万円 = 390万円」です。
そして、一般贈与分を計算すると、「390万円 × 20% – 25万円)×(125万円/500万円)=13万2,500円」となります。
このときの特例贈与分は、(390万円 × 15% – 10万円)×(375万円/500万円)=36万3,750円です。
それぞれを合わせると、贈与税額は以下のようになります。
このように、一般税率と特例税率が混ざるときには、合計額を算出してから割合を算出するといった計算方式になるのです。
いずれかの税率だけのときと計算方法が異なるので、注意しましょう。
最後に、贈与税の早見表が改正によって変わったことについて確認しておきます。
贈与税早見表の改正についての豆知識
最後に、贈与税の早見表の改正についての豆知識もご紹介しておきます。
相続税法が制定されたとき、一般税率と特例税率という区別はありませんでした。
実は、平成27年税制改正で創設された制度なのです。
特例税率は一般税率よりも低いので、両親や祖父母から贈与を受けるなら実質的に減税となりました。
ただし、最高税率は改正前の50%から改正によって一般・特例ともに55%に引き上げられ、高額の贈与に関しては増税となったのです。
このように、税金については改正されることがよくあります。
贈与の計画をたてる際には、常に最新の情報を調べたうえで取り組んでください。
最新の情報を調べる方法としては、国税庁のホームページを確認したり、税理士に相談したりすることが挙げられます。
とくに、税理士に相談すれば、最新の贈与税の情報がわかるだけではなく、計算や申告までの相談に乗ってもらうことが可能です。
贈与税について税理士に相談しよう
贈与税について不安や疑問があるなら、税理士に相談しましょう。
贈与税の金額は早見表で概算できますが、詳しい計算は税理士に頼むのが確実です。
税理士に相談すれば、節税についての提案もしてもらえるかもしれません。
「税理士に頼るのは緊張する。。」「何を話せば良いのかわからない。。」と思う方も多いと思います。
しかし、ほとんどの税理士は話しやすい雰囲気で気楽に悩みを聞いてくれるので安心してください。
初回の相談は無料で行っているという税理士もたくさんいます。
まずは、近所の税理士事務所や知り合いの紹介などで、無料相談に行けるところを探すのが良いでしょう。
もしもそれで見つからないようなら、税理士紹介サービスを活用すると良い相談先が見つかります。
税理士紹介サービスをうまく使って、贈与税について安心して相談できる相手を探しましょう。
「税理士紹介サービスについて詳しく知りたい!」という人は、『相続なら税理士紹介サービスを活用しよう!利用の流れや注意点を解説!』で解説しているので読んでみてください。
まとめ
贈与税を計算する際には、早見表を使うと便利です。
ただし、早見表には一般税率と特例税率の2種類があるので注意しなければなりません。
年間の贈与額が410万円を超えなければ差はありませんが、もっと大きな額を贈与する場合には1~2割の差が出ます。
贈与の計画を立てる際には、間違えないようにしましょう。