贈与税は累進課税のため税率が一律ではなく、

  • 特例税率
  • 暦年課税

など制度が少し複雑です。

簡単に計算するコツは、早見表を使うこと。

一筋縄ではいかない税金を、瞬時に概算することができます。

 

贈与税の早見表はひとつじゃない?

贈与税には大きく分けて

  • 暦年課税
  • 相続時精算課税

の2種類があります。

後者は特別控除額の2500万円からはみ出る部分の税率は一律20%と簡単ですが、

前者は累進課税制度のため計算は少し複雑です。

一般的なのは暦年課税のほうなので、これから相続対策を考える人は、計算方法に慣れておく必要があります。

贈与税における暦年課税のように、累進課税制の税金を計算するためには、早見表(速算表とも言われます)を使うと便利です。

贈与税額を算出するためには

  • 課税価格
  • 税率
  • 控除額

という3つの要素が必要で、早見表は課税価格からひと目であとの2つを知るための一覧表です。

通常、早見表は1つの制度につき1種類ですが、贈与税は

  • 一般税率
  • 特例税率

の2種類があります。

特例税率は祖父母や両親などの直系尊属が、

  • 20歳以上の子

に贈与するときに適用されます。

一般税率よりも同じ課税価格における税率が低く設定されており、

「親から子への贈与は少し税金が優遇される」とイメージできます。

それぞれ特例贈与・一般贈与といいます。

親(祖父母)からの贈与は特例税率、それ以外は一般税率と覚えてください。

早見表は両方とも、国税庁のホームページで参照することができます。

<一般税率>

<特例税率>

参照:
https://www.nta.go.jp/

 

早見表を使って贈与税を計算してみる(一般税率)

実際に、早見表を使って贈与税の計算をしてみましょう。

基本的な計算式は次のとおりです。

「基礎控除後の課税価格」を計算し、それにあてはまる税率と控除額を使います。

<基礎控除後の課税価格>

1月1日~その年の12月31日までの1年間に受けた贈与の額-110万円=基礎控除後の課税価格

<贈与税額>
基礎控除後の課税価格×税率-控除額=贈与税額

叔父から3月に現金100万円と、同じ年の8月に配偶者から現金300万円の贈与を受けた場合。

その年に受けた贈与の額は

100万円+200万円=400万円

です。

ここから基礎控除の110万円を差し引きます。

400万円-110万円=290万円(基礎控除後の価格)

親の弟である叔父と兄は直系尊属ではないので、一般税率の早見表を使います。

表の左から2番目、「300万円以下」を見ると、

  • 税率は15%
  • 控除額は10万円

とあります。

290万円×15%-10万円=33万5000円

直系尊属ではないひとから年間400万円の贈与を受けた場合、贈与税は33万5000円になります。

 

早見表を使って贈与税を計算してみる(特例税率)

次に、特例税率の場合はどうなるか、計算例を使って説明します。

母から3月に現金100万円と、同じ年の8月に祖父から現金300万円の贈与を受けた場合。

基礎控除後の価格は先ほどと同じ、

100万円+300万円-110万円=290万円

です。

税率と控除額は特例税率の早見表、左から2番目の「400万円以下」に記載されている15%と10万円を使います。

290万円×15%-10万円=33万5000円

一般税率と同じになりました。

金額が小さいと差異は出ないのです。

差が出るのは、贈与税額が410万円を超えたときです。

ここは、一般税率が「300万円以下」の枠を超え、「400万円以下」の枠になるところでもあります。

贈与額が、

  • 500万円
  • 1000万円
  • 4000万円

だったときはどうなるでしょうか。

 

贈与額500万円の場合

<基礎控除後の課税価格>
500万円-110万円=390万円
<一般税率>
390万円×20%-25万円=53万円
<特例税率>
390万円×15%-10万円=48万円5000円

 

贈与額1000万円の場合

<基礎控除後の課税価格>
1000万円-110万円=890万円
<一般税率>
890万円×40%-125万円=231万円
<特例税率>
890万円×30%-90万円=177万円

 

贈与額4000万円の場合

<基礎控除後の課税価格>
4000万円-110万円=3890万円
<一般税率>
3890万円×55%-400万円=1739万5000円
<特例税率>
3890万円×50%-415万円=1530万円

おおむね特例税率のほうが1割~2割ほど優遇されているといえます。

将来の相続を考えるにあたって計画的に贈与を考えた時、使う早見表を間違えると大きなさが出ますのでご注意ください。

 

一般税率と特例税率が混在する場合

  • 叔父から100万円
  • 母から300万円

というように、同じ年に一般税率にあたる贈与と特例税率にあたる贈与が混在した場合は、計算にもうひと手間かかります。

いったん合計額で贈与税額を算出した後、それぞれの割合をかけるのです。

 

贈与額400万円(一般贈与100万円・特例贈与300万円)の場合

<基礎控除後の課税価格>
400万円-110万円=290万円
<一般贈与分>
(290万円×15%-10万円)×(100万円/400万円)=8万3750円
<特例贈与分>
(290万円×15%-10万円)×(300万円/400万円)=25万1250円
<贈与税額>
8万3750円+25万1250円=33万5000円

もともと一般税率と特例税率に差がないので、混在していても変わりません。

 

贈与額500万円(一般贈与125万円・特例贈与375万円)の場合

<基礎控除後の課税価格>
500万円-110万円=390万円
<一般贈与分>
(390万円×20%-25万円)×(125万円/500万円)=13万2500円
<特例贈与分>
(390万円×15%-10万円)×(375万円/500万円)=36万3750円
<贈与税額>
13万2500円+36万3750円=49万6250円

 

贈与額1000万円(一般贈与250万円・特例贈与750万円)の場合

<基礎控除後の課税価格>
1000万円-110万円=890万円
<一般贈与分>
(890万円×40%-125万円)×(250万円/1000万円)=57万7500円
<特例贈与分>
(890万円×30%-90万円)=132万7500円
<贈与税額>
57万7500円+132万7500円=190万5000円

 

贈与額4000万円(一般贈与1000万円・特例贈与3000万円)の場合

<基礎控除後の課税価格>
4000万円-110万円=3890万円
<一般贈与分>
(3890万円×55%-400万円)×(1000万円/4000万円)=434万8750円
<特例贈与分>
3890万円×50%-415万円=1147万5000円
<贈与税額>
434万8750円+1147万5000円=1582万3750円

基本的に一般贈与と特例贈与は分けて計算するのですが、基礎控除額と早見表のどこを使うかという問題があるので、

いったん合計額を算出して按分するといった計算方式になるわけです。

 

早見表の豆知識

相続税法が制定されたとき、

  • 一般税率
  • 特例税率

という区別はありませんでした。

平成27年税制改正で創設された、比較的新しい概念といえます。

一般税率の1000万円以下の部分は改正前の早見表と同じです。

特例税率は一般税率よりも低いので、直系尊属から贈与を受けるひとにとっては実質的に減税となりました。

ただし、最高税率は改正前の50%から改正後は一般・特例ともに55%に引き上げられ、高額の贈与に関しては実質増税となります。

平成27年改正相続税法では、相続税の基礎控除額が引き下げられ、納付者の数は前年の倍になりました。

贈与税率の改定は、相続税の発生を避けるための「駆け込み贈与」を抑止し、

同時に「ただ増税するだけではない」という姿勢を国民に見せるためのものではないでしょうか。

税法は頻繁に変わり、それにつれて早見表のような便利なツールも変わっていきます。

お金の計画を立てる際には、常に最新の情報を調べたうえで取り組んで下さい。

 

まとめ

贈与税の暦年課税を計算する際には、早見表を使うと便利です。

価格によって税率が変わる累進課税の計算を簡単にすることができます。

  • 両親
  • 祖父母

などの直系尊属から

  • 20歳以上の子ども

に贈与する場合の特例税率と、それ以外の一般税率があるので注意してください。

年間の贈与額が410万円を超えなければ差はありませんが、もっと大きな額を贈与する場合には1~2割の差が出ます。

将来の相続税と贈与税を計算して相続計画を立てる際には間違えないようにしましょう。

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー ファイコロジスト山田

不動産から為替相場の予想まで、お金に関するテーマについて幅広く執筆。
相続に関連して実家を失ったことがある。
これらの経験から、相続関係業務のモットーは「運用を含めた総合的な人生設計」「関係者全員が納得する分割」。