相続対策といわれて真っ先に思い浮かぶのは遺言ではないでしょうか。

実際、遺言書は相続対策として用いられています。

遺言書の特徴は、

  • 赤の他人でも
  • 相続人でない親族に対してでも

法律で定められた要件を満たした遺言書で指定することにより、遺産を渡すことができるという点です。

また、相続人に対しても法律で定められた相続分より多くの分割を指定することもできますし、逆に少ない分割を指定することもできます。

遺言書を活用することによって自分の望む相続をコーディネートすることができるのです。

しかし、世の中には遺言書で相続対策をしたにも関わらず相続で揉めるケースが後を絶ちません。

遺言書は相続対策に有効といわれているのになぜこのような揉め事が起きてしまうのでしょう。

どんな遺言書が相続トラブルの原因になるのかについてお話しします。

これから相続対策として遺言書を用意しようと考えている人は、

時に遺言書があるが故に相続が大炎上してしまうということに考える切っ掛けにしていただければと思います。

現在は遺言書の活用を検討していなくても、相続は親族さえいれば無関係ではいられない事柄です。

明日は我が身もトラブルの中かもしれないと想像しながら聞いていただければと思います。

 

トラブル対策で遺言書作成!逆に揉め事の火種に・・・

遺言書があっても相続対策になるどころか、かえって諍いの原因になってしまうことがあります。

遺言書は亡き人の意思を伝えるものだからこそ、気になる文言があっても確認するということができません。

  • 死人に口なしだから確認不可能
  • 確認したい時に書き手はこの世になし

が遺言書の基本なのです。

遺言書は相続トラブルを回避する一つの方法として有名ではありますが、「確認できない」からこそ時に遺言書自体がトラブルの種になってしまうことがあるのです。

主な「遺言書があったからこそ揉めてしまった」というケースを4つばかり挙げてみましょう。

  • 遺留分の侵害がある
  • 特定の人への文句や悪口
  • 必要事項が漏れていた
  • 書いている内容がわからない

 

要件不備も相続トラブルの原因に

この4つの他に、遺言書に必要な要件が不備だったという遺言書も揉め事のもとです。

例えば自筆証書遺言の場合は、

  • 自筆
  • 記名
  • 押印
  • 年月日の記載

が要件になります。

要件不備の遺言書は無効になります。

しかし、問題は、無効になったとしても内容は相続人が確認できてしまいうため親族間トラブルに発展するケースがあります。

要件不備で無効になった遺言書の記載に、極端に一人の相続人だけ贔屓するような内容が記載されていると、

中身を読んだ相続人の人間関係はぎすぎすしてしまう可能性があります。

遺言書は「死後に親族や相続人が読む」ものです。

これは挙げた4つのケースでもトラブルの根幹に繋がっているのです。

この点は書き手側が大いに留意しておかなければならないのではないでしょうか。

 

遺言書がトラブルの火種に?揉める4つのケース

遺言書があっても揉めるケースとして「遺留分の侵害をしている」というものがあります。

遺留分を簡単に説明すると、「特定の相続人に認められる必要最低限の遺産の取り分」のことです。

例えばお父さんが亡くなったとします。

遺産は

  • 預金

でした。

しかしお父さんは遺言書で「お世話になった友人に家屋敷と預金をすべて差し上げます」と指定しました。

お母さんと子供にとってはお父さんの遺す遺産は生活の糧になるに違いありません。

いきなり友人にすべて遺贈されてしまうと、明日からの生活にさえ困る可能性があります。

だからこそ、

  • 配偶者
  • 両親

が相続人になる場合は、遺留分という必要最低限の相続分が認められているのです。

遺言書では配偶者や子、両親に認められた必要最低限の取り分である遺留分を侵害する指定も可能です。

しかし遺留分がある相続人は、遺留分減殺請求という遺留分を取り戻すための請求が可能になります。

 

遺留分の侵害があるケース

例として挙げた相続において、妻と子供がお父さんの友人に遺留分の請求をしたらどうでしょう。

取り戻すことができても円満解決とはいかないことがありますし、妻と子供も精神的・肉体的な手間が必要になります。

また、友人が遺贈してもらった家屋敷を即日知り合いに売却していたらどうでしょう。

話がややこしくなりますね。

場合によっては第三者を巻き込んでのトラブルになりかねません。

遺留分を侵害する遺言も可能ではありますが、もめ事の種になる可能性があります。

 

特定の人への文句や悪口

遺言書に特定の人への文句や悪口を書いておくのもトラブルの種になる可能性があります。

例えば生前あまり仲のよくなかった親族の悪口が、延々と遺言書に書き連ねてあったらどうでしょう。

遺言書は相続人が遺産相続のために読みます。

遺言書の種類によっては裁判所で検認という手続きも必要になります。

スムーズに相続手続きをするために弁護士や司法書士に依頼する場合は遺言書を弁護士や司法書士も確認します。

不動産の相続手続きでは法務局でも確認しますし、預金の手続気は金融機関で行いますので金融機関の人間も内容を目にすることがあるでしょう。

その時に、あまりに口汚い悪口や文句が記載してあったら、確認する側も心情的にいたたまれなくなってしまいます。

生きていると仲の悪い人との確執が忘れられないこともあるでしょう。

しかし、遺言書に延々と文句や悪口を書くのは困りものです。

手続きのために遺言書は、

  • 相続人や親族以外も目にするということ
  • 文句や悪口を書くことによって親族や相続人の間に気持ち面での確執をもたらす可能性があるということ

を考えておく必要があるのではないでしょうか。

 

記述漏れや内容がわからないケース

  • 遺言書に記載してある内容がわからない場合
  • 必要事項の記載が漏れていた場合

にも相続トラブルに発展する可能性があります。

例えば経年によりボールペンのインクが薄れてしまっていたらどうでしょう。

20と書いたのか200と書いたのか読みとれず、相続人間で意見がわかれてしまうことも考えられます。

また、遺言書内で「あげる」と書いているのに、

続く記述で「どうしようかな」「やっぱりあげないことにしようかな」なんてあやふやなことが書いてあると、相続人一同ずっこけてしまいます。

故人に対して「どっち?」「はっきりして!」と言いたくなりますね。

記述は明確にしておかないとトラブルのもとになります。

相続人が頭を抱えることにもなってしまいますね。

 

最後に

遺言書は相続トラブルを回避するための使える方法です。

また、自分の望む相続を実現するために使う方法でもあります。

人の悪口ばかり書いてあったとしても必要事項が明記され法的な要件が整っていれば問題ないと思うかもしれません。

しかし、遺言書は、

  • 相続人が目にする
  • 手続きの時に余人が目にする

ということをよく考えておく必要があるのではないでしょうか。

人が目にするということを気にして、字も走り書きではなくきちんと読めるようにという配慮が必要ではないでしょうか。

遺留分を侵害する遺言書も有効ではありますが、遺留分を巡って人間関係に亀裂が走る可能性もあります。

遺言書の法的な要件が満たされていたとしても、書き方や記載内容によってはトラブルに発展する可能性があるということ。

よく考えておきたいものです。

もし自分の実現したい相続があるのなら、

  • 弁護士
  • 司法書士

に相談しながら作成するのも一つの手です。