土地にまつわる相続では、贈与するという方法を取ることもできます。

この時、税金のかかり方はどのように変わってくるのでしょうか?

計算事例を使って説明します。

実家の土地が気になる人や、自分が死んだら土地はどうすればいいか検討している人は必読です。

 

相続と贈与の違いは相続税だけではない

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土地を相続した場合と、贈与で取得した場合にかかる税金の違いを解説します。

贈与と相続の違いは、簡単にいうと「亡くなる前にするのが贈与で、後にするのが相続」。

贈与にはいくつか種類がありますので、詳細は後述します。

 

不動産取得税がかかる贈与、かからない相続

通常、土地や建物などの不動産を自分のものにしたときにかかる税金は、登録免許税不動産取得税の2つです。

ポイントは、

  • 相続…登録免許税が安い。不動産取得税もかからない
  • 贈与…登録免許税が高い。不動産取得税もかかるが、自己居住用の場合はほとんどの場合かからない

ということ。

詳しく見ていきましょう。

 

登録免許税

登記(名義変更)にかかる税金で、固定資産税評価額に税率をかけて計算されます。

税率は生前贈与の場合で2%相続の場合で0.4%です。

 

不動産取得税

生前贈与の場合にはかかりますが、相続の場合にはかかりません

税率は固定資産税評価額の3%です。

都道府県から納税通知書が送られてくるので、それに従って納付します。

取得から半年~1年半後に来ますが、納付期限は都道府県によって異なります。

贈与以外にも、売買、新築・増改築などの場合にも同様です。

 

不動産取得税の軽減措置

住宅用土地の場合は課税標準(税金計算のもとになる金額で、ここでは固定資産税評価額)が2分の1になり、

さらに控除額が設けられます。

計算方法はここでは割愛しますが、軽減措置を受けた結果、税金が0になる場合がほとんどです。

中古住宅の場合、土地の取得者本人が居住するための住宅が対象で、投資用の物件は対象外です。

 

小規模宅地等の特例は、贈与では利用できない

土地に住宅やアパートを建てると、相続税を軽減できる、小規模宅地等の特例という制度があります。

平成27年の改正で基礎控除が減ったことにより、平成28年頃から増えている相続税対策のアパート経営は、この制度の利用を狙ったもの。

しかし、この特例は贈与の場合は使うことができません

そのため、相続時精算課税制度を利用して贈与した場合でも、相続した場合よりも税金がかかることになってしまいます。

 

 

贈与にはいくつか種類がある

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基本的には、亡くなる前にするのが贈与で、後にするのが相続です。

贈与には、いくつかの種類があります。

 

贈与の方法によって、かかる税金に違いがある

贈与は、「あなたに、私が持っている〇〇をあげるよ」「もらいます」という意思のやりとりがあって成立します。

贈与には生きているうちにする生前贈与と、死亡を原因とする死因贈与、遺贈があります。

 

生前贈与

財産を与える相手を確実に指定でき、早く事業や資産の承継をできるメリットがあります。

 

死因贈与

贈与する側とされる側の合意があってはじめて成立するもので、成立したら基本的に撤回はできません。

 

遺贈

遺言によって行われるもの。遺言を撤回すれば当然遺贈も撤回されますし、贈与されるほうの人は拒否することもできます。

さらに、「Aに甲土地を与える」のように具体的な財産を指定する、特定遺贈と、

「Aに財産の1/2を与える」のように割合を指定する、包括遺贈の2種類があります。

基本的に遺贈は相続と同じ扱いを受けますが、相続人以外の人に特定遺贈をすると、不動産取得税などは贈与と同じ扱いになります。

死因贈与と遺贈には相続税がかかります。贈与税ではありません。

 

贈与税の種類

贈与税には2種類あります。

 

暦年課税

毎年110万円までは非課税ですが、超えると相続税よりも高い税率がかかります。

贈与した人が3年以内に亡くなった場合は、贈与税ではなく相続税で計算します。

 

相続時精算課税

贈与する人が亡くなるまで積み重なっていき、2,500万円までが贈与税非課税となっています。

ただし、亡くなったときに相続税を計算し、過不足を調整するので、最終的に払う税金は相続と変わりません。

小規模宅地等の特例を使える状況であれば、贈与せずに相続まで待ったほうが税金面では得をします。

方法(税金)/相続税or贈与税不動産取得税登録免許税小規模宅地等の特例を利用できるか
相続/ 相続税 / かからない / 0.4% / 
生前贈与(暦年課税)/ 贈与税 / 3% / 2% / 不可
生前贈与(相続時精算課税)/ 最終的に相続税 / 3% / 2% / 不可
死因贈与/ 相続税 / 3% / 2% / 不可
特定遺贈(相続人)/ 相続税 / かからない / 0.4% / 
特定遺贈(相続人以外)/ 相続税 / 3% / 2% / 不可
包括遺贈/ 相続税 / かからない / 2% / 可※親族の場合のみ

相続と生前贈与、計算事例

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事例を使って、具体的に見てみましょう。

 

使っていない土地を相続した場合、贈与した場合

次のような事例で、所有者が亡くなる贈与した場合と、亡くなってから相続した場合の違いを計算します。

  • 土地100平米の相続税評価額が800万円、固定資産税評価額が700万円
  • 他の相続財産は全部で4,200万円
  • 土地は山林で、特に利用はしていない
  • 相続人は子供2人で、このうち1人に土地を与える

相続した場合

不動産取得税…かからない
登録免許税…700万円×0.4%=2.8万円
相続税…80万円
課税遺産総額…(800万円+4,200万円)-(3,000万円+600万円×2人)=800万円
相続税…800万円×10%=80万円
合計82.8万円

生前贈与(暦年課税)した場合

不動産取得税…700万円×3%=21万円
登録免許税…700万円×2%=14万円
贈与税…(800万円-基礎控除110万円)×30% – 控除額90万円=117万円
合計152万円

生前贈与(相続時精算課税)した場合

不動産取得税…700万円×3%=21万円
登録免許税…700万円×2%=14万円
贈与税…0円。800万円-2,500万円=-1,700万円のため。
相続税…80万円(相続時に計算し、納付する)
合計115万円

相続と暦年課税との間には、約70万円もの差があります。

その差のうち半分近くが不動産取得税と登録免許税です。

土地以外の財産が多い場合は、相続税率が上がるので、多少は差が縮みます。

 

小規模宅地等の特例を利用した場合

小規模宅地等の特例を利用すると、どうなるでしょうか。先ほどの例で、所有者が住んでいる土地だった場合。

 

相続した場合

不動産取得税…かからない
登録免許税…700万円×0.4%=2.8万円
相続税…16万円
土地の評価額…800万円×(100%-80%)=160万円
課税遺産総額…(160万円+4,200万円)-(3,000万円+600万円×2人)=160万円
相続税…160万円×10%=16万円
合計18.8万円

生前贈与(暦年課税)した場合

不動産取得税…0円(中古住宅敷地の特例を利用。計算は割愛)
登録免許税…700万円×2%=14万円
贈与税…(800万円-基礎控除110万円)×30%-控除額90万円=117万円
合計131万円

生前贈与(相続時精算課税)した場合

不動産取得税…0円(中古住宅敷地の特例を利用。計算は割愛)
登録免許税…700万円×2%=14万円
贈与税…0円。800万円-2,500万円=-1,700万円のため。
相続税…80万円(相続時に計算し、納付する)
合計94万円

生前贈与の場合は、暦年課税か相続時精算課税かに関わらず、特例を利用することができません。

自己居住用の場合、不動産取得税は軽減できますが、小規模宅地等の特例のほうが効果が大きいようです。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

基本的に贈与と相続では、贈与のほうが高い税金になります。

また、贈与には早く確実に財産を引き継げるというメリットがあるので、

かかる税金との費用対効果を考えて選択するとよいでしょう。

 

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー ファイコロジスト山田

不動産から為替相場の予想まで、お金に関するテーマについて幅広く執筆。
相続に関連して実家を失ったことがある。
これらの経験から、相続関係業務のモットーは「運用を含めた総合的な人生設計」「関係者全員が納得する分割」。