相続で遺産を受け取ったら、何かしなければならないことはあるのでしょうか。

受け取ってそれで終了でいいのでしょうか。

いいえ、そんなことはありません。

皆さんは給与という財産を受け取ったら、

  • 税務署に申告したり
  • 家賃や光熱費を払い込んだり
  • 時には給与の受取口座を変更したり

といった関係する手続きをすることでしょう。

遺産も同じで、遺産の種類に応じて手続きが必要になるのです。

今回は遺産の中でも特に不動産にスポットをあてて、相続後に必要な手続きを解説したいと思います。

面倒そうという印象があるかもしれませんが、ポイントさえ押さえてしまえばとっても簡単なのです。

 

不動産とは?相続対象になる家や土地の意味

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とても今更な話ですが、解説の前提として、まず不動産とは何かについて簡単におさらいしておきましょう。

不動産とは土地や家のことです。

ただ、土地といっても色々ありますよね。

  • 自宅の建っている土地
  • 電力会社に貸し出している電柱の建っている土地
  • 田畑
  • 会社
  • 店の建っている土地

と、土地は色々な用途で使われています。

これらは全て不動産です。

土地であれば基本的にどんな土地でも不動産と一括りにしてしまって差し支えありません。

では家はどうかというと……。

家という言葉から住宅だけを指すように思われがちですが、

住宅だけでなく、

  • マンションやアパートといった集合住宅の一部屋
  • 一棟、そして店舗や会社のビルなど

全て家に含めてしまって差し支えありません。

家のような建物と考えてください。

これらを総称して不動産と呼び話を進めます。

 

住んでいた不動産と相続財産は別!登記事項証明書を確認

では、不動産の中で相続の対象になるのはどれかというと、亡くなった人(被相続人)の名義だったもの全てです。

被相続人の名義だった不動産は基本的に被相続人の財産ですから、相続の対象になると覚えてしまいましょう。

他人名義の不動産は他人のものですから、いくら被相続人が死の瞬間まで住んでいたとしても遺産ではありません。

想像してみてください。

皆さんがアパートを経営しているとして、一室に住んでいたおじいちゃんが亡くなりました。

するとおじいちゃんの相続人から

  • 「うちのおじいちゃんが住んでいたから、うちのおじいちゃんの遺産!」
  • 「遺産だからこの部屋は私たち相続人の財産です」

と言われたら

「ちょっと待って、話がおかしい!」と思いませんか?

皆さんが自分の名義でアパートを所持して経営していたわけですから、住んでいたか本人のものかは別問題であるはずです。

皆さんの中には貸していたという意識が強いことでしょう。

そこに住んでいたかどうかではなく、不動産の所有者はあくまで名義で判断します。

名義の変更において住んでいたかどうかはひとまず忘れて下さい。

被相続人の名義になっているかどうかで判断します。

名義は登記事項証明書で確認することができます。

中にはちょっとした例外があるのですが……それについては記事の後半で触れたいと思います。

参照:
http://www.sato-legaloffice.jp/

名義の書き換えは必須?手続きしないと売却にも影響

実は、相続だけでなく、不動産の売買や贈与といったケースも含み不動産の名義変更は必須ではありません。

しかしサボってしまうと相応のデメリットがあります。

それは、法律や裁判所にいざという時に守ってもらえないというデメリットです。

例えば一つの不動産を巡ってAとBが「俺のだ!」「いいえ私のよ!」と争いになったとします。

その時に、法律や裁判所は何をもって判断を下すかというと、登記なのです。

Bさんがきちんと登記の手続きをしていて、Bさんの名義になっていたとします。

登記はとても強いものなので、基本はBさんが勝利となります。

Aさんがいくら頑張って主張しても、登記の名義がBであれば基本はBの勝利です。

中には悪だくみで登記を変えてしまったというケースもありますので個々の事例によって多少変わることもあります。

しかし、名義変更をサボってしまうと「あなたサボってたでしょ」と、いざという時に守ってもらえない可能性があるのです。

また、不動産の名義を変更しないでおくといざという時に売却が困難になるというデメリットもあります。

相続した不動産を守りたければ、早めに自分の名義にきっちり変更してしまいましょう。

と言うことで、具体的に不動産の名義変更手続きに触れていきましょう。

参照:
http://www.moj.go.jp/

http://www.souzoku-koseki.xyz/

 

遺産の土地!どんな手続をするの?

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まず、不動産の名義変更とはいいますが、

正式には、相続を原因とした所有権移転登記をすることになります。

「相続があったために名義人(持ち主)が変わりましたよ」という手続きです。

これは法務局に登記申請書と必要書類を提出することによって行います。

提出すると数日から一週間くらいで法務局の登記官が不動産の名義を書き換えてくれるという仕組みです。

名義の書き換えが終わると皆さんに「終わりましたよ」という通知が行われます。

  1. 必要書類を集め申請書を記載する
  2. まとめて法務局の登記窓口に提出
  3. 名義の書き換えが行われる
  4. 希望する人には一部の書類の返還が行われる
  5. 登記識別情報が通知される

という流れです。流れだけ見ればとても簡単です。

通知された登記識別情報は12桁のパスワードです。

その不動産を誰かに売ってさらに名義を書き換えるという時などに必要になります。

大切に保存しましょう。

参照:
http://www.tokyo-intl.com/

登記は相続人全員で法務局に足を運ばないとダメ?

また、相続による名義変更は相続人の一人からの申請で手続き可能です。

お父さんが亡くなって、お母さんと息子二人が相続人であれば、全員そろって法務局に足を運ぶ必要はありません。

全員そろって司法書士に依頼する必要はありません。

一人からの申し出で相続人全員分の名義に書き替えることができます。

 

司法書士に依頼しなくても自分でもできる?

登記の専門家は司法書士になります。

皆さんは難しいことを考えず

「相続がありまして…」

と司法書士事務所に相談すれば、司法書士の方はすぐに必要な登記を判断して手続きを代理してくれます。

もちろん皆さんが望むのであれば必要書類一式も全て司法書士がそろえて申請してくれます。

皆さんはただ名義変更が済むのを待っていればいいというだけです。

しかし、相続による不動産の名義変更は必ず法律家にお願いする必要はないのです。

しかし不動産登記法と民法が絡むとても複雑な手続きです。

自分でやって何度も法務局の窓口から「やり直し!」とリテイクを食らって自分での手続きを諦める人も多いため、

手間を考えて司法書士に最初から依頼することが無難であると言えます。

不動産はとても大切な財産です。

生活の基礎になる存在です。

だからこそ法務局の方も少しでも間違っていれば名義変更をするわけにはいかないのです。

悪い人がしめしめと名義の書き換えを狙っていて、法務局が安易に応じてしまい名義を書き換えるとえらいことになります。

だからこそ、とても厳格な手続きになっているのです。

また、自分で手続きをする場合、特に戸籍を集めるのが本当に大変です。

名義人が生まれてから亡くなるまでの戸籍が必要になるので、

移転を繰り返しているとあちこちの自治体から取り寄せなければいけなくなり、しかも枚数も膨大になります。

自分で手続きもできますが、

  • 手続きの厳格さ
  • 難解さ
  • 書類集めの大変さ

は覚悟しておきましょう。

 

必要書類は戸籍謄本や遺言書など

相続に必要な書類の基本は戸籍や登記申請書などです。

相続関係や不動産によってはこの他の書類を確認することもないわけではありません。

  • 登記申請書
  • 戸籍謄本、住民票
  • 固定資産税評価通知書
  • 委任状

委任状は司法書士に登記を依頼する時だけ必要になります。

自分でする時は必要ありません。

不動産の権利書はあったら便利ですが、提出する必要はないのでなくても登記は可能です。

同じく登記事項証明書も提出の必要はありません。

固定資産税評価通知書も提出の必要はないのですが、

登記費用を計算するためと、その人の名義になっている(固定資産税の課税対象になっている)不動産を特定する上で必要になります。

自治体役場で取得が可能ですので最新のものを使ってください。

登記申請書は「相続で名義変更したいです」という申込書です。

おそらく一番の相続人泣かせになるのが戸籍謄本です。

戸籍謄本も法務局に提出する必要があります。

  • 遺言書
  • 遺産分割協議書

があれば、そちらも必要になります。

相続ケースによって、必要な書類が変わってきますので、司法書士にきちんと確認してもらうか代理してもらうとミスがありません。

参照:
http://www.souzoku-sp.jp/

申請に使う証明書類の取得は大変!依頼でスムーズに

取得が最も大変な書類が戸籍であるといえます。

基本的に被相続人が生まれてから亡くなるまでの、戸籍謄本を一続きにして提出しなければいけません。

  • 転居が多い人だと、多くの自治体を回って入手する必要があり
  • 高齢の方だと戸籍の文言が難しくて中身を理解するのが大変

と、まさに相続人泣かせの書類です。

なぜ戸籍謄本が必要かというと、被相続人と相続人の関係をきっちり確認するためです。

戸籍から親族関係を確認して、相続人が本当に相続人にあたるか、他に隠れた相続人がいないかを法務局側が確認します。

被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍を集めれば、相続関係が見えてくるというわけです。

この戸籍謄本集めはとても大変です。

相続登記を自分で頑張ってみようという人もここでギブアップすることが多いのです。

もちろん司法書士にお願いすれば必要な戸籍謄本を全部取得してもらえます。

なお、相続関係を確認するため法務局に提出が必要になりますが、相続関係図という書類を一緒に提出することで、後から戸籍謄本一式を還付してもらうことができます。

戸籍謄本は相続手続きで必須ともいうべき書類ですので、なるべく還付を受けて他の手続きにも使いたいですね。

相続関係図は司法書士に作成してもらえる他、各金融機関などのもテンプレートを用意しています。

参照:
https://www.souzoku-supportcenter.com/

相続登記の費用は固定資産税評価証明書で算出

登記費用は印紙で提出します。

相続による名義変更登記の費用は不動産の価額の1000分の4です。

価額が100万円であれば4千円ということです。

固定資産税評価証明書を見て価額を確認して算出します。

ただし、司法書士に依頼する場合はこの他に

  • 書類の取得などに必要になった経費
  • 報酬

が必要になります。

 

 

不動産の名義が違うのに相続対象になる!?

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実は不動産の名義が違っているのに、相続の対象になることがあります。

それは……相続により名義変更を何代にも渡ってしていなかったケースです。

  • ひいおじいちゃんからおじいちゃんが相続した時、名義変更をしておらず、
  • お父さんがさらに相続した時も名義変更をしておらず、
  • 息子が相続してやっと相続による名義変更手続きをした。

すると、登記情報を見てびっくり!

不動産の名義がひいおじいちゃんになっているではありませんか。

実はこれ、たまにあるケースなのです。

不動産の名義はひいおじいちゃんであるため、

父親の遺産ではないように思えますが、基本的に父親から息子への相続対象になります。

登記は飛び越えてすることができませんので、息子は、

  1. ひいおじいちゃんからおじいちゃんへの相続登記
  2. 更におじいちゃんから父親への相続登記
  3. その後に自分への相続登記

をすることになります。

必要書類も膨大になり、手続きはその分だけ大変になります。

不動産を守るためだけでなく、子孫の負担を軽くするためにも手続きはこまめに!

 

 

最後に

不動産の名義変更は絶対にしなければいけないというものではありません。

ただし、きちんと手続きをしていないといざという時に法律に守ってもらえないというデメリットがあります。

法律はこまめに手続きをしていた人間の味方なのです。

相続登記は個人ですることもできるのですが、必要書類も含めて難しいです。

ミスをするといざという時に法律に守ってもらえない可能性が高いということを念頭に、登記の専門家である司法書士にお願いすることをお勧めします。

司法書士協会や法務局では定期的に無料相談も実施していますので、気になる方は相談してみるのがいいでしょう。