でも、土地を相続したけど、利用する予定がない…売却したいけど、税金はどうなるの?

相続人が複数いる場合、土地などの不動産を分割するのは大変ですが、

土地を売却してお金にすれば、相続割合に応じて配分するだけなので簡単です。

相続した土地を売却する際の税金と、売却の流れについて解説します。

 

土地の売却にかかる税金

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税金について理解しておくと、売却のタイミングを考えるのに有利です。

相続した土地の売却は、相続税の申告をした後、3年以内にすることをおすすめします。

 

土地を売却すると譲渡益税がかかる

まずは、相続に限らず一般的に土地を売却したときの税金について説明します。

簡単に書くと、儲かった場合にはその金額に対して税金がかかります。

所得税は給与所得、不動産所得など10種類があり、土地の売却はそのうち「譲渡所得」にあたります。

譲渡所得には総合課税と分離課税の2種類があります。

  • 総合課税…給与所得や事業所得など、ほかの所得と合算して計算してするもの。ゴルフ会員権など
  • 分離課税…土地、株式の売却益など

土地のように、譲渡所得の分離課税に分類されるもの税金は、次のように計算します。

〈売却代金-(取得費+売却にかかった費用)-50万円〉×税率

取得費

購入代金、購入時にかかった手数料、登録免許税などの税金、設備費・改良費です。

亡くなった人(被相続人)が払った代金や税金だけでなく、相続人が払った登記費用なども含まれます。

建物の場合は取得費から減価償却費を差し引きますが、土地には減価償却がありません。

取得費がわからない場合は、売却代金の5%となります。

95%に対して20%以上もの税金がかかるので、かなりの額になってしまいます。

亡くなった人が購入した時の売買契約書などは決してなくさないようにしてください。

 

税率

保有した期間に応じて2種類あります。

  • 短期譲渡所得(取得してから5年以内に売却した場合)…39.63%(所得税30%、復興所得税30%×2.1%=0.63%、住民税9%)
  • 長期譲渡所得(取得してから5年超経過した後に売却した場合…20.315%(所得税15%、復興所得税15%×2.1%=0.315%、住民税5%)

保有期間は、亡くなった人の期間をそのまま引き継ぎます。

売却した年の1月1日までの期間で、長期譲渡所得と短期譲渡所得のどちらであるかを判定します。

なお、マイホームの敷地には、3,000万円の特別控除があります。

10年を超えて住み続けていた場合には、さらに軽減税率の適用があります。

 

次のようなケースを例に考えてみると

2001年2月3日に1,000万円の土地を買い、税金や手数料で100万円かかりました。

所有者が2003年1月6日に亡くなり、相続人は名義変更時に20万円の登録免許税を支払いました。

土地を売却するにあたって、10万円かけて整備し、2006年12月3日に1,300万円で売却しました。

この時に仲介手数料が50万円かかりました。

この場合、

1,300万円-(1,130万円+50万円)-50万円=70万円

に対して税金がかかります。

〈内訳〉
・売却代金…1,300万円
・取得費…1,000万円+100万円+20万円+10万円=1,130万円
・売却にかかった費用…仲介手数料の50万円

被相続人と相続人合わせて、購入から5年10ヶ月保有していますが、売却日はその年の1月1日とみなされるため、

短期譲渡所得となり、税率は39.63%となります。

よって、収める税金は

70万円×20.315%≒28万円

となります。

 

3年10ヶ月以内に売却すれば、取得費に相続税を加算できる

相続税を支払ったうえに、売却したときに譲渡益税を払うなんて、二重に払っているようで損した気分になる人もいるかもしれません。

土地に限らず譲渡益税の計算の際、相続財産を売却したときに、その財産にかかる相続税を取得費に入れることができる制度があります。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」です。

この特例は、相続税の申告期限から3年以内に売却した場合にのみ受けることができます。

相続税の申告期限は、「相続が開始したことを知った日の翌日から10ヶ月」ですから、通常は「亡くなった日から10か月以内」です。

つまり、亡くなってから3年10ヶ月以内に売却する必要があります。

先ほどの例の場合、相続税の申告期限は2003年11月6日です。

2006年11月6日までに売却していれば、この特例を受けることができます。

2ヶ月早く、2006年11月3日に売却した場合の特例の効果を計算してみます。

  • 相続財産全体が3億円
  • 相続税が3,000万円
  • 土地の相続税評価額が750万円

だとします。

相続財産に占める土地の割合は750万÷3億で40分の1なので、

土地の相続税は3,000万円×1/40=75万円です。

この75万円をそのまま取得費に加算できるので、譲渡益は0になります。

1,300万円-(1,130万円+75万円+50万円)-50万円=-5万円

したがって、この例の相続税は0円になります。

 

 

土地の売却で得をするには、どうすればいい?

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相続財産を一定の割合で分けるとき、土地は売却して現金にするのが最もわかりやすい分け方です。

相続における土地売却の流れ、適切なタイミングについて説明します。

 

土地などの財産をお金に換えて分割する、換価分割がおすすめ

相続財産を複数の相続人に分けることを分割といいます。

ちなみに、これを「財産分与」という人がいますが、それは離婚の時に使う言葉です。

土地にはさまざまな分割方法がありますが、わかりやすく、問題が起きにくいのは換価分割です。

もちろん土地を単独で相続することもできますが、相続人同士の価値観の違いでトラブルになることもあります。

土地を単独で相続すると不公平になる場合、他の相続人にお金を支払う代償分割」という方法もあります。

共有は後からトラブルが起きやすいのであまり行われていません。

土地は分ける(分筆する)こともできますが、費用も手間もかかります。

換価分割は、次のような流れになります。

単独で相続して売却するときも、最後の各相続人へ渡す以外は基本的に同じです。

  1. 遺産分割協議書を作成する。ただし、遺言書があり、そのとおりに分割する場合には協議書は必要ない
  2. 相続人の誰かが代表して相続登記(法務局で名義変更)をする
  3. 買い主が見つかり、売買契約を締結。所有権移転登記をする
  4. 売却代金を、代表者から各相続人に渡す

なお、最後の売却代金を各相続人に渡す際には、贈与税がかかることはありません

手続き上便宜的に代表者から支払う形にしているだけで、実質的には相続財産の分割だからです。

売却によって譲渡益税が発生する場合は、換価分割した相続人がそれぞれ申告・納付する必要があります。

土地が自宅用で、相続人のなかのひとりがそこに住んでいる場合は、

その相続人のみ、マイホームの特別控除および軽減税率を適用できます。

 

相続した土地は、いつ売却すると一番得になるか

換価分割はいつまでにすればいいのか

特に期限は決まっていませんので、相続税の申告までにする必要もありません。

相続税は「土地の相続税評価額」にかかるものであり、売却代金に対してかかるものではないからです。

売却代金にかかるのは、譲渡益税です。

とはいえ、あまり時間を置いても、心変わりする人がいたり、相続人のだれかが亡くなったりすると複雑になるので、

早めにしたほうがいいでしょう。

 

取得費への相続税加算をとるか、長期譲渡所得をとるか

先ほどの例で、翌年の2007年以降に売却した場合。

長期譲渡所得のため税率は低くなりますが、取得費の特例が適用されないので、約14万円の譲渡益税が発生します。

もしこの相続で相続税が発生していなければ、取得費の特例は関係ないので、

長期譲渡所得となる2007年以降に売却したほうが、譲渡益税は少なく済みます。

基本的に、相続税が発生しておらず、マイホームの特別控除もなければ、長期譲渡所得になるようにしたほうが得です。

亡くなる5年以上前に土地を購入していれば、長期譲渡所得のことを考える必要はありません。

 

 

まとめ

ポイントをまとめてみます。

  • 土地を売ると、売却代金から取得費用などを差し引いた金額に対して、譲渡益税がかかる
  • 相続から3年10ヶ月以内に売却すると、取得費用に相続税を加算できる
  • 土地を売却してその代金を分割することを換価分割といい、もっとも簡潔で公平になりやすい
  • 売却のタイミングによって、譲渡益税の金額が変わる

タイミングを逃さず、少しでも得をする方法を選んでください。

 

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー ファイコロジスト山田

不動産から為替相場の予想まで、お金に関するテーマについて幅広く執筆。
相続に関連して実家を失ったことがある。
これらの経験から、相続関係業務のモットーは「運用を含めた総合的な人生設計」「関係者全員が納得する分割」。