数次相続とは何かご存知でしょうか?

ちょっと耳慣れない相続かと思います。

現代の高齢化社会で、家族が長生きしていくに従い

数次相続について知り対策をしていくことが重要になっていきます。

また、若くとも家族で事故にあった時に、少しタイミングがずれて複数人が亡くなることで数次相続が発生することがあります。

数次相続になると一般的な相続と、細かな点で変わってきて難しい局面が出てきます。

そんな数次相続とはどんな相続なのか、今から一緒に見ていきましょう。

 

 

どんな相続?数次相続とは何か

数次相続とは被相続人が亡くなり、その相続がまとまらないうちに、さらに相続人が亡くなり、続けて相続が起こることです。

そうなると、

  • 最初の相続財産も
  • さらに次の相続人も

加わり分けることになります。

そのため、話し合う人も増えてまとまるのに時間がかかり、非常に複雑になっていきます。

高齢化していくと誰しも亡くなる可能性が高くなり、そのようなことが多く起こってきます。

また、相続でもめてまとまらないまま放置すると、

  • 二次相続
  • 三次相続

と発生して数次相続の難易度が上がっていきます。

そのため、数次相続を念頭に入れて、早目に解決していく必要があるのです。

 

 

数次相続と一般的相続における代襲相続との違い

人が亡くなったために、その相続人が代わりに相続するとなると、一般的に代襲相続と同じように思う方もいるかと思います。

数次相続の中の二次相続は関係性としては代襲と似てはいますが、亡くなる順番が変わってくるので、

加わってくる相続人の範囲その他が変わってきます。

最初の相続が始まっている時点で、

  • 相続人予定の人が亡くなっているのが代襲相続
  • その後に相続人が亡くなったのが数次相続

と呼ばれるものの中の二次相続となるのです。

例えば、甥姪の子どもは、代襲相続はできません。

ですが、最初の被相続人が亡くなった時に甥姪が生きていた場合は、すでに権利が発生しているため甥姪の子にも相続ができるのです。

また、代襲相続では相続による登記は一回ですが、二次相続では登記は相続毎に二回する必要が多くあります。

イメージがつきにくい面もあるかと思いますので、次で具体例を挙げていきますので見てみてください。

 

 

具体例を見てみよう、数次相続とはどんな場合か

数次相続のパターンは関係性によって様々です。

  • 被相続人の配偶者の有無
  • 次に亡くなった相続人のさらに相続人の関係

で、相続の配分などが変わってきます。

具体的な数次相続の例を挙げて、イメージをつかんでいただけたらと思います。

 

最初の被相続人が父、続いて母の順で亡くなった例

一番単純な例を使って

今回は二人兄弟が相続人として、父母の相続が続けて起こる二次相続についてお話します。

一次相続は、被相続人が父で、

  • 母が1/2
  • 兄弟がそれぞれ1/4ずつ

の相続となります。

二次相続が起こったため、母の1/2を二分割して兄弟に振り分け、兄弟の相続分は1/2ずつの相続となります。

土地や家屋等の不動産登記の変更等が必要な場合は、登記原因として父と母の両相続を原因とし、二回の登記をすることになります。

これはあくまでイメージをつかんでいただくためなので、単純な数字になるものを選んでいます。

 

最初の被相続人が祖父、次に父の順で亡くなった例

祖母も母も存命で、父は二人兄弟、父の子(祖父から見た孫)が二人いたと仮定します。

一次相続ではまず、

  • 祖母に1/2
  • 父とその兄弟は1/6ずつ

となります。

二次相続が発生すると、

  • 祖母に1/2
  • 父の兄弟は1/6
  • 母は1/12
  • 二人の子は1/24

ずつとなります。

二次相続で加わった母子も遺産分割協議に加わり、相続の際には元の相続人と同様の書類が必要となってきます。

 

兄弟のいる被相続人、その父の順で亡くなった例

最初の被相続人は配偶者のいる二人兄弟で、子どもは無かったとします。

相続が始まった際父は存命だったとします。

一次相続は、

  • 被相続人の配偶者2/3
  • 父に1/3

となります。

二次相続で父が亡くなると、

  • 配偶者に2/3
  • 兄弟に1/3

となります。

父が先に亡くなった場合は代襲ではなく、次順位への相続人として、

  • 配偶者に3/4
  • 兄弟の取り分は1/4

なのです。

また、遺留分もこの場合ではありませんが、

既に手続きは終わっていないものの父の財産の一部であったということで、遺留分もあると考えられます。

 

被相続人、その後相続人である甥が亡くなった例

配偶者のいる被相続人が亡くなった時、既に親兄弟は無く、配偶者と二人の子どもがいる甥一人が相続人であった場合で考えて見ましょう。

甥は既に兄弟の代襲相続人であり、順番が変われば本来その子であっても再代襲はない関係です。

ただ、甥が後で亡くなっているため、既に最初の相続で権利が発生していたと考えられます。

一次相続の段階では、

  • 配偶者3/4
  • 甥1/4

相続する権利があったと考えられます。

二次相続では、

  • 配偶者3/4
  • 甥の配偶者1/8
  • 甥の子二人は1/16

ずつの法定相続分になると考えられます。

二次相続であっても数次相続は、相続人の配偶者も関わってくることが代襲とは違います。

また、さらに三次相続以上になると、もっと遠く関係性の薄い相続人が出てくることになり、配分も細かく相続の手続きが大変になっていきます。

 

 

必ず数回に分ける?数次相続時の登記

登記は基本、相続毎に行います。

それは数次相続でも変わりません。

二次相続の場合は一次、二次の二回の登記になります。

基本は間の人が亡くなったからといって、飛ばしてすることはできず、手間と費用がかかることになります。

ただ、二次相続が起こった場合、必ず二度登記する必要があるという訳ではありません。

中間の人一次相続の相続人であり二次相続の被相続人となった人が、

一人の場合は間の登記を省略することが可能な場合があるのです。

その場合は登記原因として、

  • 二人の名
  • 死亡日時

を書くことになります。

複数中間の相続人がいる場合は、遺産分割に関して同意してるか否か等確認も必要となり、書類も増えてきて登記は回数の通りに分ける必要がでてきます。

ただ、登記はほとんどの人が司法書士にお願いするかと思います。

そのため、まずは登記の依頼に際し、相談の上より良い方法を選択するのも大事になってくるのです。

では、次は相続税申告に関わる数次相続の特別な面をご一緒に見ていきましょう。

 

 

数次相続が関わる相続税申告の特別な面

数次相続では配偶者控除も使えますし、ある程度は普通の相続と変わりありません。

ただ、数点普通の相続とは異なる考え方をするところがあります。

 

数次相続の基礎控除は、相続人が生きている時と同じ

数次相続になると、次の相続の相続人が前の相続に噛んで、遺産分割に関わる人数が増えるのはお話した通りです。

ですが、相続税の基礎控除上では相続人が単純に増えることはありません。

3000万円×法定相続人の人数×600万円=相続税上の基礎控除額

数次相続で相続財産を受け取る人は増えても、亡くなった一次相続の法定相続人が生きている時と同じ基礎控除となります。

 

前の相続の相続税の申告期限が死亡により伸びます

亡くなった人について相続税の手続きをするには時間がかかります。

前の相続の申告期限は、次の相続の被相続人(前の相続の相続人)は、死亡した日から10ヶ月伸びることになります。

これは次の被相続人の相続税の申告期限と同じになります。

ただ、これは亡くなった人のみに適用されるものなので、他の人は元の申告期限に手続きが必要ですので注意しましょう。

 

相次相続控除が使えることがある

10年以上相続がまとまらず放置していた場合を除き、

前の相続人が亡くなって次の被相続人になった時、相続税が軽減できる場合があります。

それは次で詳しくお話させていただきます。

数次相続はざっと触れるだけでも、これだけ普通の相続税との違いがあり複雑であるということはご理解いただけたかと思います。

 

 

数次相続で相続税軽減できる相次相続控除

相次相続控除とは相続が近い時期に続けて起こった時、

次の被相続人の死亡が、前の被相続人が亡くなってから10年以内であった時に使える制度です。

また、被相続人の相続人なので、

  • 相続放棄
  • 権利を失っていた人

は除外されることになります。

前回相続人であった次の被相続人が10年以内の

  • 前の相続で財産をもらい
  • かつ相続税を支払っている

必要があります。

数次相続では、相続がまとまっていない時なので相続税の支払いはまだ生じていませんが、

適用するには前の相続から順次

  • 遺産分割
  • 相続税の申告
  • 納付

をやっていく必要があるのです。

この制度は人が相次いで亡くなった時に、何度も支払う相続税の負担を軽減するためのものです。

前の相続で払った相続税額を、次の相続発生までの年数で10%の率で逓減し次の相続で控除できるのです。

①×③÷②×④÷③×(10-⑤)=次の相続での相続人一人当たりの相次相続控除

 

  • ①一つ前の相続で被相続人が払った相続税額
  • ②一つ前の相続で被相続人が受け取った純資産-①の相続税額
  • ③次の相続で相続人全員が受け取る純資産合計額
  • ④次の相続で相続人一人が受け取る純資産
  • ⑤一つ前の相続から次の相続発生までの年数、1.年未満切り捨て

相続税額①は納税猶予等で免除された分は含みません。

また、相続積算課税の贈与税控除後金額となります。

  • 延滞税
  • 加算税
  • 利子税

は相続税額には含みません。

また、②の一つ前の相続で被相続人が受け取った純資産は、

相続した財産及び相続時積算課税を使って受け取っていた財産から、債務や葬祭費は除くなどする必要があります。

他にも異なる計算方法がある場合があります。

詳しくは下記の国税庁のホームページをご確認ください。

参照:
http://www.nta.go.jp/

こういった制度を使い相続税の負担を減らすためにも、数次相続になった時は税理士等に急ぎ相談する必要が出てくるのです。

 

 

数次相続における問題点

数次相続の問題点はいくつかありますが、まずは手間が増えることです。

  • 必要な書類が、相続人が増えた分増える
  • 相続人同士の関係性が遠くかつ人数が増え、話し合いも大変
  • 登記の回数が増える
  • 相続税の申告期限までにすることが多くなる

ざっと挙げるだけでも、これだけデメリットがあります。

できるだけ、数次相続になることは避けられるなら避けたいものです。

 

 

できる対策は?数次相続を発生させないために

ほぼ同時に亡くなる事故の場合は仕方ないにしても、

高齢の人が多い今の世の中、誰にでも数次相続の可能性はあります。

ただ、非常に面倒なのはご理解いただけたかと思います。

では、数次相続を発生させないためにはどうするのでしょうか?

 

遺産分割を先送りにしない

遺産分割の話し合いがまとまらず、先送りになっているところに、相続人が亡くなる二次相続が発生すれば、さらに紛糾するのは目に見えています。

相続税の申告の問題もあるので、できるだけ早く相続の話を進め、遺産分割して登記等を変えておくのが大事になります。

 

もめて長引きそうな場合は遺言書を用意してもらう

被相続人の自宅に子どもの一人が住んでいたり、何らかの理由で相続がまとまらない時があります。

その時は相続する予定の人たちで

  • できるだけ財産の振り分けを決めておくか
  • 被相続人に遺言書を書いてもらっておき

というのも一つの方法です。

ただ、相続する配分は、数次相続か否かに関わらず相続税対策その他に考慮し、二次相続の時を考えるのは大事になってきます。

 

 

数次相続はややこしい、相続財産は早目に分割を

数次相続となった場合はとてもややこしいです。

そのため、相続はできるだけ早く話し合い、書類を用意して分割手続きしましょう。

長引くのは財産の行先が決まらず、誰の得にもなりません。

数次相続は、

  • 相続財産の配分や
  • 書類集め
  • 話し合い

等、普通の相続よりややこしくなってきます。

放置すれば、申告ができず相続税がどんとかかり、さらに次の相続が発生することもありえます。

話し合いがまとまらなかった時は、法律の専門家に相談し、できるなら代理人になってもらいましょう。

専門家に間に入ってもらったり、皆に説明してもらえれば早く解決することが多々あるからです。

数次相続はややこしいです。

その際には早目に専門家に相談することが大事になってくるのです。