誰でも、税金はなるべくなら払いたくないものです。

使える制度はなるべく使って、節税を考える人も多いのではないでしょうか。

特に、平成25年の税制改正により、相続税の控除額が引き下げられてから、

相続税は、お金持ちの人だけが気にするものではなくなり、一般の人にとっても身近なものになってしまいました。

そこで、相続税に関して設けられている

  • 控除
  • 特例

についてご紹介したいと思います。

 

基礎控除以外に使える控除

 

配偶者に関する控除

配偶者に関しては、配偶者の税額軽減の制度があります。

これは、配偶者が、

  • 本来の法定相続分以下を相続する場合
  • もしくは、1億6,000万円以下の財産を相続する場合

には、相続税の支払いを免除される制度です。

配偶者の税額軽減の適用を受けるためには、

相続税の申告期限(相続開始日の翌日から10ヶ月)までに遺産分割を済ませて、相続税の申告をすることが必要です。

申告期限までに遺産分割が未了の場合には、

  1. 相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出
  2. 申告期限から3年以内に遺産分割を行う
  3. 遺産分割ができた日の翌日から4ヶ月以内に更正請求を行う

ことによって、配偶者の税額軽減の適用を受けることができます。

さらに、例えば、

  • 相続について調停の申立があった場合
  • 訴えの提起があった場合

のように、3年以内に分割できないことについて、やむを得ない事情がある場合には、

「申告期限から3年を経過する日の翌日」から、2ヶ月を経過する日までに、承認申請書を提出し、

税務署長から承認を得ることが必要になります。

そして、遺産分割を巡る紛争が解決した日(やむを得ない事情がなくなった日)の翌日から、4ヶ月以内に更正請求を行います。

そうすれば、配偶者の税額軽減の適用を受けることができます。

 

未成年者に関する控除

未成年者は、収入がないか、少ないものですから、親の遺産は、大切な生活の糧です。

そのため、

10万円×(20-相続開始時の年齢)

分を支払うべき相続税の額から、控除することが認められています。

控除額が相続税額をオーバーする場合には、オーバー分は、その未成年者の扶養義務者の相続額から差し引くことができます。

扶養義務者とは、

  • 配偶者
  • 直系血族及び兄弟姉妹

のほか、3親等内の親族のうち一定の者をいい、特に順序などの決まりはありません。

 

障害者に関する控除

85歳未満の障害者も、生活の保障のために遺産が必要です。

そのため、

10万円×(85歳-相続開始時の年齢)

分をその人が支払うべき相続税から控除することが認められます。

また、特別障碍者の場合には、控除額は、

20万円×(85歳-相続開始時の年齢)

となります。

特別障碍者とは、下記のような特に重度の障害に当てはまる人です。

  • 身体障碍者手帳に身体上の障害の程度が一級又は二級と記載されている
  • 精神障碍者保健福祉手帳に障害等級が一級と記載されている
  • 重度の知的障害者と判定されている
  • いつも病床にいて、複雑な介護を受ける必要がある等

控除額が相続税額をオーバーする場合には、オーバー分は、その障害者の扶養義務者の相続額から差し引くことができます。

 

 

不動産に関する特例

 

小規模宅地等の特例

被相続人と同一生計であった相続人が、居住用もしくは事業用の小規模宅地等を相続する場合、

その価値が最大80%まで減額されます。

小規模宅地等とは、

  • 居住用であれば、330㎡
  • 事業用であれば、400㎡

までです。

なお、事業が、

  • 不動産の貸付
  • 駐車場業

である場合には、200㎡まで、50%減額となります。

この特例は、相続開始後の利用状況等など細かい条件がありますし、

複数の不動産がある場合に、どの不動産に適用するのがいいのかなどの問題もあります。

適用を受けたい場合には、税理士に相談してみましょう。

この減額特例は、原則として、相続税の申告期限(相続開始の翌日から10ヶ月)までに遺産分割が行われた小規模宅地等に適用されます。

また、申告期限から3年以内に遺産分割された場合には、遺産分割から4ヶ月以内に更正の請求を行うことによって、適用を受けることができます。

遺産分割の調停や審判が長引いて、3年を超えそうなときは、3年を経過する日の翌日から2ヶ月以内に承認申請書を提出しておく必要があります。

 

家なき子の相続と小規模宅地の特例

  • ずっと賃貸住宅に居住していた
  • マイホームを売却もしくは賃貸に出してから、3年以上が経過した

このような相続人(配偶者は除く)のことを「家なき子」と言います。

居住用の小規模宅地の特例は、原則として、同一生計の親族でなければ、その適用を受けられません。

しかし、被相続人が、民法上の相続人と同居していなかった場合で、

家なき子が小規模宅地等を相続し、相続税の申告期限まで保有していれば、小規模宅地の特例が使える場合があります。

 

家なき子と空き家の譲渡特例

通常、不動産を売却して、利益が出た場合には、不動産譲渡税が課税されます。

しかし、マイホームを売却した場合には、3,000万円までが、売却益から控除されます。

これをマイホーム控除といいます。

被相続人と同居していた相続人が、不動産を相続した後、売却する場合には、

自分がこれまでも居住していた家、つまりマイホームを売却するわけですから、マイホーム控除の適用を受けることができます。

マイホーム控除は、相続税の特例ではなく、不動産譲渡税の特例です。

しかし、不動産を相続した人は、売却も一つの選択肢として検討する場合があります。

そのときには、不動産譲渡税のことも頭に入れておいた方がいいでしょう。

家なき子は、被相続人と同居していなかった人です。

そこで、相続した物件はマイホームではないため、マイホーム控除は使えません。

しかし、家なき子が空き家を相続した後、相続税の申告期限まで保有し、

さらに、空き家を耐震改修等して、売却した場合にも、3,000万円まで、不動産譲渡税がかからないという特例ができました。

この特例は、どちらかというと、遺族の生活保障というよりは、空き家対策の側面があるように思います。

この特例では、相続開始後から売却まで、

  • 事業
  • 貸付
  • 居住

の用に供されていないことが要件となっています。

そこで、売却予定である場合、家なき子は、相続した空き家を保有はしても、居住はしないようにしなければいけません。

なお、この特例は、

  • 平成28年4月1日から
  • 平成31年12月31日までに

譲渡した場合に適用されます。

 

相続税の取得費加算

相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までに、相続した不動産を売却した場合、

その不動産を相続するために支払った相続税を取得費として、不動産の売却益から差し引くことができます。

これを相続税の取得費加算といいます。

これによって、相続した不動産を売却した場合の不動産譲渡税を抑えることができます。

 

 

まとめ

税金に関する特例は、知っていなければ損をするものです。

自分に当てはまるものがあるかもしれないと思ったら、無料相談でもいいので、税理士に相談してみましょう。