農地の相続非上場株式の相続については、贈与税及び相続税の納税猶予の制度があることをご存知ですか?

一定の要件を満たした場合には、支払いを猶予されていた相続税が免除され、支払わなくてもよくなります。

後継者がスムーズに農業や事業を承継できるよう、この制度について学びましょう。

 

農地の相続税の納税猶予と免除

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納税猶予とは

農地を相続して、農業を続ける場合、相続税の納税猶予の制度を利用することができます。

納税猶予とは、本来ならば支払わなければならない相続税のうちの一定割合の支払いを猶予してもらえる制度のことです。

そうすると、相続税を支払うために農地を売却したり、物納したりしなければならなくなってしまいます。

それでは農業で生計を立てていた家族が、生活の糧を奪われてしまうことになってしまいますし、農業をする人も減ってしまいます。

そこで、このような制度が設けられているのです。

 

納税猶予の要件

例えば、農業で生計を立てていた父Aが死亡し、相続人として、子B、Cがいる場合で考えます。

Bは、Aの生前から、Aと一緒に農業を行っていたため、農地は、すべてBが相続することになったとします。

被相続人(A)の要件:死亡の日まで、農業経営をしていたこと
相続人(B)の要件:相続税の申告期限までに、農業を開始して、その後も農業の経営を続けていくと認められること

以上が適応要件です。

 

納税猶予の手続き

まず、農業委員会から、「適格者証明書」を発行してもらうことが必要です。

次に、発行された適格者証明書を添えて、税務署に相続税の申告を行います。

この申告は、相続の申告期限内(相続が開始した日の翌日から10ヶ月以内)に行うことが必要です。

また、納税免除が無事認められた後、納税猶予を受けている期間中は、3年ごとに税務署に継続届出書を提出することが必要です。

 

猶予されていた相続税の免除を受ける

支払いを猶予されていた相続税は、下記の場合に免除となり、支払う必要がなくなります。

 

農地の相続を受けて、農業を20年以上続けた場合

上記のBが、相続後、20年以上農業を続けていれば、Bは、相続税の支払いを免除してもらえます。

 

農地の相続を受けて、農業を継続していた人が死亡した場合

相続人は、プラスの財産だけでなく、借金や未納の税金なども引き継がなければなりません。

そこで、例えば、Bが所得税などを滞納したまま亡くなっていたとしたら、Bの相続人は、Bの所得税を支払わなければなりません。

しかし、この納税猶予制度を利用していた場合、Bが支払いの猶予を受けていた相続税は免除となりますので、

Bの相続人が受け継いで払うという必要はないということになります。

 

農地の相続を受けて、農業を継続していた人が、生前に後継者に農地を一括贈与した場合

農業をやり続け、途切れることなく次の人に渡すことによって、相続税の支払いを免除してもらえます。

なお、贈与を受けた人は、贈与税について考えなければいけませんが、贈与税についても、支払猶予及び免除の制度があります。

相続税の免除を受けるには、相続税の免除届出書を提出する必要があります。

 

 

非上場株式の相続税の納税猶予と免除

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なぜ納税猶予が必要か

一族経営である中小企業の経営者が死亡して、相続が起こった場合にも、相続税の納税猶予と免除の手続きがあります。

日本の会社の多くは、中小企業であり、親族経営の会社も多くあります。

経営者が亡くなると、その会社の株式が相続財産になりますが、

経営状態のよい会社であれば、その株式の価値が高くなり、多額の相続税が発生することになります。

そうすると、相続税を支払うために株式を売却しなければならなくなります。

売却によって株式が分散すると、その会社の経営が安定しなくなってしまいます。

そのような状態になることを防ぐためにもうけられている制度です。

ただし、すべての株式が対象になるのではなく、

後継者が相続前から保有していた株式を含めて、発行済議決権総数の3分の2までの株式が対象になります。

中小企業における経営者の承継の円滑化に関する法律(円滑化法)によるこの制度は複雑ですので、

利用を考えている場合には、まず、最寄りの地方経済産業局に相談したほうがよいと思います。

 

納税猶予の要件

会社法の要件

  • 中小企業であること
  • 非上場企業であること
  • 風俗営業を行なっている会社でないこと
  • 資産管理会社でないこと

中小企業に当てはまるかは、資本金や従業員数によって決まりますが、製造業、卸売業など、業種によって、要件が異なります。

ただし、従業員が1人以上いることは最低限必要です。

 

経営者であった被相続人の要件

  • 会社の代表者であったこと
  • 相続の直前まで、被相続人とその親族が所有する株式が、総議決権数の過半数であった場合で、
    その中でも、被相続人が一番多くの株式を所持していたこと

後継者になる相続人の要件

  • 相続開始の直前において、後継者とその親族が所有する株式が、総議決権の過半数であり、
    その中でも、相続人が一番多くの株式を所有していること
  • 相続開始の時点において、会社の役員であり、相続開始から5ヶ月後までに、代表者になること

 

納税猶予の手続き

非上場株式をスムーズに後継者に相続させようと考える場合には、

納税猶予制度の利用について、生前に、経済産業大臣の事前確認を経ておく必要があります。

さらに、相続開始後、8ヶ月以内に、経済産業大臣の認定を受ける必要があります。

その認定を添えて、相続税の申告期限内に税務署に相続税の申告を行います。

このとき、相続税及びその利子税に相当する担保を提供することが必要です。

無事に納税猶予を受けられたあとも、相続税の申告期限から5年間は、毎年、経済産業大臣に「年次報告書」を提出し、

税務署長に、「継続届出書」を提出しなければいけません。

5年経過後は、税務署長への継続届出書届出書を3年に1回提出します。

また、相続税の申告期限から5年が経過するまでは、雇用の8割以上を維持することが必要です。

 

猶予されていた相続税の免除を受ける

後継者が死亡した場合

後継者がなくなった場合、その相続人は、後継者が猶予されていた相続税を受け継ぐことはありません

 

相続税の申告期限から5年の間に、やむを得ない事情によって、後継者が代表権を有しなくなり、その後に、次の後継者に株式を贈与し、次の後継者が贈与税の納税猶予猶予を受けた場合

5年が経過する前に、さらに、事業を次の後継者に渡すには、やむを得ない事情が必要です。

 

相続税の申告期限から、5年経過後に、後継者が次の後継者に株式を贈与して、次の後継者が、贈与税について、納税猶予を受けた場合

5年にが経過したあとは、スムーズに次の後継者に株式が移転したことをもって、相続税は免除となります。

 

相続税の申告期限から、5年経過後に、会社が破産手続開始決定又は、特別清算開始決定を受けた場合

5年間、会社を継続させることができれば、その後、会社が破産等しても、猶予されていた相続税は免除されます。

そもそも、会社がこのような状態になると、会社の株式には、価値がなくなりますので、免除することにしているものと思われます。

免除事由に該当するようになってから2ヶ月を経過する日までに免除の手続きをする必要があります。

まとめ

平成25年の税制改正によって、相続税の基礎控除は少なくなりましたが、

このような制度を上手に使うことによって、この国の農業や産業を守っていくことができます。

自分のやってきた農業や会社を次の世代に引き継がせたいと考えている人は、生前から、税理士と相談しながら準備をしておきましょう。