相続放棄の手続きの方法についてお調べですね。
相続放棄をするためには、家庭裁判所へ手続きする必要があります。
でも、「相続放棄の手続きってどうすればいいの?」と悩んでいる人も多いはず。
そこで今回の記事では、相続放棄の手続きの方法について丁寧に解説。
「手続きに間違いがあって相続放棄が出来なかった!」なんてことにならないよう、弁護士への相談もオススメしています。
しっかり最後まで読んで、相続放棄の方法を学び、借金を相続してしまわないようにしましょう。
相続放棄の手続きの流れ
相続放棄の手続きは、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所で行わなければなりません。
相続放棄の手続きの流れは、以下の4つのステップに分けることが出来ます。
- 必要な書類を集める
- 家庭裁判所へ提出する
- 照会書の確認と返送
- 相続放棄の認定
それぞれのステップについて、詳しく説明していきます。
ステップ1.必要な書類を集める
まずは、相続放棄をするために必要な書類を集めなければなりません。
必要な書類は以下の通りです。
書類名 | 取得場所 | 備考 |
相続放棄の申述書 | 自分で作成 | ― |
申立人本人の戸籍謄本 | 本籍地の市区町村役場 | ― |
被相続人の住民票除票まやは戸籍附票 | 住民票除票は死亡住所の市区町村役場 、 戸籍附票は本籍地の市区町村役場 |
― |
被相続人の死亡記載がある戸籍謄本 | 本籍地の市区町村役場 | 配偶者もしくは子どもの場合のみ |
本来の相続人の死亡の記載がある戸籍謄本 | 本籍地の市区町村役場 | 孫・甥姪の場合のみ |
被相続人の出生~死亡までの戸籍謄本 | 本籍地の市区町村役場 | 両親・祖父母・兄弟・姪甥の場合のみ |
被相続人の子どもに死亡者がいれば その子供の出生~死亡までの戸籍謄本 |
本籍地の市区町村役場 | 両親・祖父母・兄弟・姪甥の場合のみ |
被相続人の直径尊属に死亡者がいれば その者の死亡の記載がある戸籍謄本 |
本籍地の市区町村役場 | 両親・祖父母・兄弟・姪甥の場合のみ |
相続放棄の申述書は自分で作成しなければなりません。
作成方法について、後ほど説明しますので安心して下さい。
これらの書類を揃えたら家庭裁判所へ提出します。
ステップ2.家庭裁判所へ提出する
相続放棄の手続きは、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所で行います。
管轄の家庭裁判所は、裁判所のホームページより確認することが可能です。
提出は、直接窓口か郵送か、どちらかの方法で提出します。
2-1.直接家庭裁判所へ提出する
直接、家庭裁判所へ提出する場合は、準備した必要書類、押印に使用したハンコを持参しましょう。
押印に使ったハンコを持っていくのは、窓口で不備が発覚した場合にすぐに訂正することが出来るからです。
手続きをする際には、収入印紙800円と連絡用の郵便切手1000円程度が必要です。
収入印紙や郵便切手を購入し、指示に従って提出を完了させましょう。
2-2.郵送で提出する
直接、家庭裁判所へ行く時間がない場合は、必要な書類を郵送で提出することが出来ます。
申述書と必要書類、収入印紙800円、郵送用の郵便切手を入れて、発送するだけです。
必要な郵便切手は、管轄の家庭裁判所によって値段が違います。
必ず、事前に問い合わせをして確認しましょう。
また、郵送での提出をすると郵送に時間がかかるだけでなく、不備があった場合にすぐに訂正できません。
できるだけ早めに郵送し、不備があった場合でも対応できる余裕を持つようにしましょう。
ステップ3.照会書の確認と返送
相続放棄の手続きは、これだけでは終わりません。
不備がなければ、手続きをしてから10日ほどで照会書が郵送されてきます。
照会書とは、
- 自分の意志で相続放棄をしたのか
- 被相続人の相続人であることを知ったのはいつか
- 相続財産にはどのようなものがあるか
- すでに相続したものはあるか
などの質問が書かれている書類です。
この照会書には、正直に回答を記入して、家庭裁判所に返送しましょう。
ステップ4.相続放棄の認定
照会書を返送してから約10日後、相続放棄申述受理通知書が届きます。
これをもって、相続放棄の手続きは完了です。
相続放棄申述受理通知書は、相続放棄をしたことの証明ですので、大切に保管しておきましょう。
相続放棄をするときの注意点
ここまでは、相続放棄をするためには、条件があります。
以下の注意点を守らなければ、相続放棄ができない可能性がありますので、気を付けて下さい。
- 期限内に申請をする
- 相続財産を処分してはいけない
- 相続財産を隠してはいけない
相続放棄が認められないと、被総則人の借金を引き継がなければなりません。
これら3つについて、詳しく確認していきましょう。
注意点1.期限内に申請する
相続放棄をするためには、相続することを知ってから3ヶ月以内に手続きをする必要があります。
この期間を熟慮期間と呼びます。
熟慮期間を過ぎてしまった場合には、被相続人の財産を相続するものとみなされてしまうのです。
もし、「必要書類に不備があり、申請を受け付けられなく間に合わなかった」という場合でも、熟慮期間を過ぎてしまえば、手続きは出来なくなります。
そのため、相続放棄をする場合には必ず余裕をもって手続きを行うようにしましょう。
注意点2.相続財産を処分してはいけない
相続放棄をするのであれば、相続財産を処分することは出来ません。
例えば、土地を売却したり、預金を使うことが処分することにあたります。
これは、土地の売却や預金の使い込みの後に相続放棄をすることを認めてしまうと、プラスの財産を自分のものにして、借金だけを相続放棄するということが起きてしまうからです。
さらに注意しなければならないのは、借金を返済してしまうと相続財産を処分したとみなされることがあるという点です。
もし、被相続人に借金があった場合、返済に応じてはいけません。
借金を相続する意思があるとみなされ、相続放棄が出来なくなってしまう可能性があります。
注意点3.相続財産を隠してはいけない
相続財産を隠すことは、不正行為に当たりますので、相続放棄が出来なくなります。
なぜなら、相続人が自分に有利な財産だけを隠して、借金だけを相続放棄する可能性があるからです。
相続放棄する場合には、正直に相続財産を申告して下さい。
相続放棄をしない場合にも、相続財産を隠すことは不正行為なので絶対にやめましょう。
相続放棄申述書の書き方
相続放棄の手続きをするには、相続放棄申述書を作成しなければなりません。
この相続放棄申述所はいわば相続放棄の申し込み書のようなもので、こちらをきちんと記載して裁判所に提出しなければ相続放棄の手続きは始まりません。
相続放棄申述書には、
- 成人用
- 未成年用
の二つがあり、相続放棄をする人の年齢によってテンプレートが変わってきます。
以下よりフォーマットと記入例をダウンロードをして下さい。
ここからは、記入例を参考にしながら、記入方法を説明していきます。
申述書1枚目
引用元:裁判所ホームページ
まずは申述書の1枚目からみていきます。
1枚目は主に、申述人や被相続人の情報を記入していきます。
上から順番に見ていきましょう。
(1)提出する家庭裁判所と申述人の記名・押印
提出する家庭裁判所は、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所です。
その家庭裁判所の名前を記入します。
年月日は、申述書の作成日を記入して下さい。
記名の横の押印は認印でも大丈夫です。
未成年や認知症などで法定代理人がいるときは、「申述人の法定代理人」と記載の上、法定代理人の記名押印が必要となります。
(2)申述人欄
ここには、申述人の本籍・住所・電話番号・氏名・年月日・職業・被相続人との続柄を記載しましょう。
この住所に、裁判所からの郵送物が届きます。
もし、提出書類に不備があった場合などには、ここに記載された電話番号に電話がかかってきます。
間違った記入をしないように気を付けましょう。
(3)法定代理人等欄
ここには、親権者や後見人などの法定代理人が手続きを行う場合のみ記入が必要です。
法定代理人の住所・電話番号・氏名を記載します。
(4)被相続人欄
ここには、被相続人の本籍・最後の住所・死亡時の職業・氏名・死亡年月日を記入します。
申述書2枚目
引用元:裁判所ホームページ
2枚目には、相続放棄をする理由や相続財産について記入していきます。
こちらも、上から順番に確認していきましょう。
(1)申述の趣旨
ここには「相続を放棄する。」という記入をしましょう。
(2)申述の理由
ここには、相続の開始日、相続放棄の理由、相続財産の概略を記入します。
まずは、相続の開始日から見ていきます。
相続の開始日とは、相続の開始を知った日のことです。
多くの人は、被相続人が死亡した日を記載することになります。
しかし、遠い親戚だったり、他の人が相続放棄したことによって相続人になった場合など、後日相続の事実を知った場合にはその年月日を記入して下さい。
次に相続放棄の理由です。
相続放棄の理由は、1~6から選択をしましょう。
「6.その他」を選ぶときには、できるだけ詳しく記入して下さい。
詳しく記入しないと、相続放棄が認められないことも十分に考えられます。
最後に、相続財産の概略です。
ここには相続人が残した相続財産を記入します。
つまり、どんな財産を相続放棄するのかを申請する欄です。
評価額や広さについては、大まかの記入で問題ありません。
代行を頼むなら弁護士に頼もう
ここまでの手続きの流れを見て、不安がある場合は必ず弁護士に相談しましょう。
先ほど説明した通り、相続放棄の手続きには期限があります。
また、正確に手続きを行わないと期限を超えてしまう可能性もあるのです。
弁護士へ相談する一番のメリットは、代理人となってすべての手続きを行ってくれることです。
相続放棄の手続きはやり直しが出来ないため、書類の作成から提出まで弁護士に任せられることは大きなメリットとなります。
「不備があって相続放棄が出来なかった」なんてことにならないよう、余裕を持って弁護士に相談することをオススメします。
相続財産の価値を知りたいなら税理士に相談するのもアリ
相続放棄することを決定する前に、相続財産について詳しく調べてみることをオススメします。
もしかすると、土地や株などが相続財産に含まれているのであれば売却することで、負債が相殺されるかもしれません。
そんなときに頼りになるのは、税理士です。
税理士は相続税の申告だけでなく、土地や株などの相続財産の価値を算出してくれます。
もし「相続した方が良い」となった場合、そのまま相続税の申告の相談になってもらうことも可能です。
「知り合いに税理士がいない」「どうやって税理士を探せばいいか分からない」という人は、税理士の紹介サービスを利用してみるのも一つの方法です。
(税理士の紹介サービスについては、『相続なら税理士紹介サービスを活用しよう!利用の流れや注意点を解説!』に詳しく解説しています。)
もし、相続放棄が必要と判断した場合でも、税理士から相続に強い弁護士を紹介してもらうことが出来ますよ。
まとめ
相続放棄をするのであれば、早めに弁護士に相談しましょう。
また、相続放棄をすると判断する前に、税理士に相談すると、相続財産の価値が分かります。
安易に自分で判断するのではなく、専門家の知識を借りることで、損をしない相続をしましょう!