借金相続に有効と言われる相続放棄は裁判所に必要な書類を提出することによって行います。
急いで手続きをしたくても、事前に「こんな書類が必要」ということがわかっていないと、
個人ではなかなか進め難い手続きと言えるのではないでしょうか。
- 弁護士
- 司法書士
に手続きをお願いすると、代わって取得してもらうこともできるのですが、
手続きを法律家に依頼する前に自分で取得して「こちらで手続きをしてください」とお願いすることもできます。
本来は自分が主体になってしなければならない相続手続きだからこそ、
例え弁護士や司法書士に手続きをお願いするとしても基本的なことは覚えておきたいですね。
基本事項を覚えておくことで、弁護士や司法書士に話しを
- 「難しくてわからない」ではなく、
- 「うんうん、なるほど」
と聞くこともできるのではないでしょうか。
今回は弁護士や司法書士に依頼する人も、もちろん自分で手続きする人も知っておきたい相続放棄の必要書類について解説していきます。
相続放棄と銀行や登記の手続きが似ている?手続きの共通点
まず、相続とは何なのかについて考えてみましょう。
この記事を読んでくださっている方は「そんなことわかっているよ!」という方も多いかもしれません。
しかし、相続放棄の必要書類を考える上で、「相続って何?」を考えることはとても大切なことなのです。
なぜなら、相続が何かがわかれば必要書類が見えてくるからです。
「相続人様でいらっしゃいますか?」という確認に必要
例えば皆さん、自治体の役場に行って、大切な書類を取得しようとしたとします。
自分の個人情報がたくさん載っている書類です。こんな場面を相続してみてください。
役場「失礼ですが、ご本人様でいらっしゃいますか?」
私 「はい、そうです」
役場「本人だと確認できる免許証などはお持ちですか?」
私 「はい、確認をお願いします」
本人の大切な情報が記載された書類を交付するためには、
本人を証明するもので確認してから(免許証やパスポートなど)渡しますよね。
何かのサービスの手続きでも、本人かどうかを確認されることはあります。
では、相続関係の手続きはどうかというと、これは本人かどうかの確認ではなく、「相続人なのかどうか」を確認されることになります。
ですが、
- 保険証
- パスポート
- 免許証
などのように相続人確認書類が発行されるわけではありません。
そこで、相続人かどうかを確認するためには、主に戸籍謄本を使います。
また、相続は誰かが亡くなったからこそ起きることですよね。
だからこそ、
- どなたが亡くなって
- 誰が相続人で
- 亡くなった方とどんな関係で
- 相続人ご本人様?
を確認することになるのです。
確認しなければいけないことが似ていますから、相続の手続きで必要になる書類は似ているものが多いのです。
そう考えると、「あれも必要かな?」なんて、色々想像してしまいますよね。
相続放棄に必要な基本書類とは
さて、では、相続の手続きの中でも特に相続放棄に焦点をあてて必要な書類を解説していきましょう。
相続放棄では、まず相続放棄申述書という相続放棄を裁判所にお願いするための申し込み書のような書類が必要です。
こちらは裁判所のサイトでダウンロードできますので、必要な時にすぐに使うことができます。
しかし、相続放棄はこの書類を提出しただけではできません。
他にも添付しなければいけない書類があるのです。裁判所のサイトでは一覧がまとめられています。
注意点ですが、相続放棄に必要になる書類は、相続のケースにより多少異なってくる場合があります。
また、添付書類をきちんと提出しても裁判所側から「ちょっと確認したいことがあるのですが」
と、追加で書類の提出を求められることもないわけではありません。
しかし、基本的な書面は裁判所のサイトで紹介している通りです。
中には集めるのに時間がかかってしまう書類もあります。
相続放棄には基本的に期限があります。
手続きによって伸長が可能ではあるのですが、なるべくぎりぎりにならないように、集めるのに時間がかかりそうな書類には早めに着手しましょう。
なお、書類は
- 司法書士
- 弁護士
にお願いして集めてもらうこともできます。
戸籍謄本を集めるのが大変!などの時は、早めに相談するのがいいですね。
1、相続放棄申述書
前述した相続放棄手続きの申し込み書のような書類です。
裁判所のホームページで配布していますので、ダウンロードして使ってください。
裁判所提出の書類と聞くと「自分に書けるかしら?」と不安に思うかもしれませんが、裁判所はきちんと記載例を用意してくれています。
まずはダウンロードして、記載例を確認してみましょう。
2、死亡の記載のある除籍謄本・住民票の除籍
相続は誰かが亡くなってはじめて始まります。
誰も亡くなっていないのに相続が起きるわけがないですよね。
ですから、
ということを書類で証明しなければいけないのです。
その証明のために使うのが除籍謄本です。
また、裁判所の管轄を確認するために住民票の除籍も必要になります。
相続放棄は全国どこでもできるのではなく、管轄のある家庭裁判所でしなければいけないのです。
その確認のためです。
参照:
http://www.kanagawa-central.com/
3、戸籍謄本
相続人と被相続人(亡くなった人)の関係がわかる戸籍謄本が必要です。
相続人のために相続手続きをする場合、どこまでの戸籍謄本が必要かそれぞれの相続ケースによって変わって来ることがあります。
- 父親と母親と自分だけ
- 相続人は自分と母親
- そして亡くなったのは父親
父親は出生地から出ておらず、ずっとこの地で生きて亡くなった。
こんな場合は、必要な戸籍謄本の総枚数(ページ数)も少なくて済むかもしれません。
しかし、
- 何度も転居をしている
- 家族もたくさんいる
となると、「戸籍謄本はどこからどこまで必要?」と首を傾げることもあるかもしれません。
また、
- 父親の相続を子供がするケース
- 子供も亡くなっていて孫が代襲相続をするケース
では、やはり必要な戸籍書類の範囲が違ってきます。
たくさんの自治体にまたがっている、取得が難しいなどの事情があるなら、弁護士や司法書士に相談するのがいいでしょう。
代わって取得してもらえます。
- 子供が相続する場合。
- 兄弟姉妹が相続する場合。
孫が相続する場合でちょっとずつ事情や必要な枚数、範囲が変わってくるよということを覚えておきましょう。
参照:
http://www.kanagawa-central.com/
4、その他
前述したように、戸籍などは相続人が誰になるかによって必要な範囲が少しずつ違ってきます。
相続人と被相続人の関係を確認した上で提出することになります。
この他には、「照会書」が必要です。
この照会書は、相続放棄申述書と添付書面を裁判所に提出した後に裁判所から送られてきます。
送られてきたら放置せず、必要事項を記載して送り返すことになります。
また、相続放棄は無料ではありません。
裁判所の利用料ともいえる印紙を提出する必要があります。
印紙は相続放棄一人につき800円分必要です。
封書のやり取りに切手も必要になりますので、あらかじめどれくらいの切手が必要か確認し、もし不安なら多めに添えておきましょう。
多い分の切手は返してもらえます。
最後に
相続放棄には相続放棄申述書をはじめとして
- 自分は相続人です
- この方が亡くなって相続が起きたのです
といった事柄の証明のために添付書面が必要になります。
裁判所のサイトで「こんな書類が必要です」という一覧が掲載されており、
手続き面でわからないことがあれば裁判所に尋ねれば教えてくれます。
ただし、裁判所が教えてくれるのはあくまで手続き相談のみ。
具体的な法律相談は裁判所ではなく弁護士や司法書士の管轄です。
- こういった相続なのですが相続放棄は有効ですか?
- 相続で困っていて
- 書類がわからなくて
- 書類集めが大変で
こんな時は迷わず弁護士や司法書士を頼りましょう。
裁判所に相続放棄をお願いするのは、はっきりと自分の意思が固まってから。
その前の段階、例えば相続そのもので迷っていたり、わからないことがあったりしたら、裁判所の前に法律家の出番です。
まずは気軽に弁護士や司法書士へ相談してみてくださいね。