db92ac3a152b6e922db81c58bc34b2cf_s

俺は会社市長の息子だから、跡取りで社長になる。

企業の大小にかかわらず、こんなセリフはよく聞く話かと思います。

また、親がやっていた会社を子どもが継ぐのも珍しいことではありません。

そう考えると、会社の社長というのは、継いでいく相続財産のようなものに感じるかもしれません。

また、個人が小規模でやっている事業を、相続の時に手続きが増える会社組織にすることは、何かメリットはあるのでしょうか?

会社の相続は、

  • 事業承継
  • 個人の財産
  • 相続と税金

など色々なものが絡み合っています。

どのような手続きをすると損か得かを含め、会社と相続のあれこれを今からお話していきたいかと思います。

 

社長業も相続?社長の父が亡くなった場合

3207bb5f33fef53523ebb03e7cc226b3_s

会社経営者の相続というと、社長の地位を相続させるイメージがあるかもしれません。

会社が自然に後継者のものになるという訳ではありません。

実態はもう少し手続きが複雑で間接的です。

もし、社長業を子どもに継がせるつもりであれば、それなりの準備や根回しも必要となります。

では、会社の種類に分けて、その流れをみていきましょう。

 

株式会社の相続

今は古い会社は別にして、最近できた会社や大企業はほぼ株式会社と考えられます。

株式会社で代表取締役社長兼大株主が亡くなった場合、その相続人は株主としての地位は得ますが、

当然に代表取締役になるわけではありません。

取締役会がある場合は、代表取締役社長はそこで決まるためです。

基本は経営に携わってきた人がなるわけです。

ただ、株を多く持つということは、その人の意向が経営に影響力を持つということです。

株主総会では基本過半数の議決で物事が決まります。

さらに重要なことを決める際には2/3の株主が賛成すれば、会社を解散したり分けたりするような、根幹にかかわることを決めることができます。

つまり株式会社においては株を沢山持つ人が、より多くのことを決めることができるため、

結果として社長になることも多くなります。

 

株式会社以外の相続

株式会社だけが会社というわけではありません。

株式会社に比べて少ないですが、

  • 有限会社
  • 合同会社
  • 合名会社
  • 合資会社

といったものがあります。

有限会社は今もう設立できませんが、昔多く作られた形態です。

株式会社の資本金が1000万だった時代、300万の資本金で設立できたため、小さな会社ですが今でもそのまま残っているものも多いです。

有限会社の場合は株式会社と同じで、社長の地位を当然に受け継ぐわけではなく、出資の持分を相続することになります。

他に合同会社、合資会社、合名会社といった会社形態があります。

それぞれ、

  • 無限責任社員
  • 有限責任社員

というもので構成されています。

特に無限責任社員は、会社のことを人が責任を負う保証人のようなものになっています。

そのため相続に際しては持ち分のみ引き継ぎ清算することになり、地位は引き継ぎません。

  • 合同会社は有限責任社員のみ
  • 合名会社は無限責任社員のみ
  • 合資会社は無限責任社員と有限責任社員の両方

が作れます。

債務がある場合有限責任社員は出資分を失うだけですが、無限責任社員の持分を引き継ぐ場合債務も一緒に引き継ぐことになります。

そのため、合名会社や合資会社の社員をしていた人の相続は、注意して行わなければ大変なことになります。

また、

  • 合資会社は社員の死亡や退社で、有限責任社員だけになれば合同会社に
  • 無限責任社員だけになれば合名会社に

なります。

合同会社は出資の範囲のみ責任を負う有限責任社員のみで、出資した範囲で責任を負うとされています。

ただ相続で当然にその持分と地位を引き継ぐわけではなく、定款でその旨を書いている必要があるようです。

それを定めていない状況で社員がいなくなると、その会社の事業は解散という形で無くなります。

 

相続人がいなかった場合の特別な手続き

特別な手続きとして相続財産法人というものがあります。

これは名前から想像するような、会社や法人を人に相続させるためのものではありません。

相続財産法人は相続人がいなかった時に、会社清算の手続きをとるため作られるものです。

家庭裁判所が相続財産管理人を選任し、公告を出し相続人や債権者が出てくることを待ちます。

その後にその財産をどこにどうするか、決めるための途中過程が相続財産法人となります。

 

 

必要な手続き、株式会社の相続

58cc40a6b9fe830af4b93877a9aa3aa4_s

会社の相続は、地位を当然に相続で引き継ぐわけではないです。

そのため、2段階に渡り手続きをする必要があります。

今ある会社形態として一番多い株式会社で手続きをみていきましょう。

 

株式の相続

一段階目は株式の相続です。

株式を相続した旨、上場している会社であれば証券会社等に必要な書類を出して、株式の名義を相続人に変えます。

非上場の会社の場合は、その会社毎で定められた手続きにのっとって株式の名義を変更していきます。

 

会社の登記変更

二段階目は会社の登記変更です。

相続で株式を取得後、会社の代表として事業承継することになった場合、役員が変わったことを法人の登記変更する必要となります。

平成27年より取締役等の役員の登記変更の添付書類が変わっているので、わからない時は登記に関わる司法書士や法務局に聞き書類を揃えるようにしましょう。

役員の登記の添付書面・役員欄の氏の記録が変わります(法務省)
参照:www.moj.go.jp/

 

相続した株で社長に、会社資産は相続税の対象か?

ed7ee0548bc78d1dd2759cc335fe2271_s

株式の取得から、登記の変更まで済ませて、会社の代表取締役社長になったとします。

その場合、引き継いだ会社の資産も含めて、相続税の計算をするのでしょうか?

 

会社資産は直接相続税の対象にならない

会社での地位を当然に引き継げないように、会社資産はあくまで会社組織の所有であり、個人の持ち物ではありません。

ただ、その会社に関する株式や持分は相続税の対象になります。

その際に会社資産があることで、株式の評価が間接的に高くなることはあります。

また、会社を相続したからといって会社の資産を売って、自由に自分の懐に入れることはできません。

売った利益はまずは会社のものになるのです。

 

個人事業主の場合は事業資産も相続財産

会社組織にしていない個人事業主の場合はどうでしょうか。

確定申告と法人税申告の差はあるものの、帳簿をつけて税金を計算するのは変わりません。

事業で使っている資産として、工場の建物や土地も計上し減価償却もします。

機械や備品もそうです。

ですが、個人事業主の場合は、相続でそれらのものも受けとると、

個人から個人に継承することになり、相続税の対象になるのです。

ただ、代わりに受け継いだものを売った場合、そのまま自分の利益にすることはできます。

その場合、売った収益に所得税がかかるので注意が必要です。

 

必ず相続税対策を、非上場企業の相続

非上場企業の資産は、相続税の対象にならないことでほっとされたかと思います。

ですが、まったく関係ないわけではありません。

所持資産を含め様々な角度から、相続した株式の価値を決めます。

つまり沢山資産がある会社は株式の価格に反映して、非上場会社の株式は売れないのに価格が高くなる可能性があるのです。

そのため、相続税の対策を生前や相続時にしておく必要があります。

事業承継が決まっているなら、生前から株式を少しずつ贈与する等して、相続税対策をします。

また、相続税を払うための現金を用意しておくと、株だけを残すよりずっと安心です。

相続した事業の承継をする場合は、継続して相続税の納税猶予を申請して、8割支払をせずに続けることができます。

ただ、これは事業を継続していることが前提になりますので、場合によっては取り消しされることがあります。

申請を出す場合は取り消しになる条件を確認しておきましょう。

今まで会社と相続の制度のお話をしてきましたが、逆にその制度を利用しての税金対策もあります。

 

 

会社を起こし、相続や贈与の税金対策に

01d542488c30a8493ac354bdbb8b0067_s

土地や建物の資産を個人で事業に使っている場合、そのまま相続になれば資産価値に応じて相続税がかかります。

例えば不動産業を営んでいて、賃貸物件の土地や建物が会社の資産である場合、それに対する相続税は発生しません。

間接的に所持している、相続税の計算時株の価値に反映することはありますが、その点では相続税対策であるといえます。

個人事業から会社に資産を譲渡する際は、どちらにも利益も損もないよう帳簿上の価額で売却という形をとることができます。

また、分割支払いの場合は無利子にしておくこともできます。

また、相続税だけでなく他の税金対策にもなります。

まずは個人事業主であると売り上げから費用を引いて所得税を計算しますが、会社になると役員報酬がもらえます。

これは費用として会社の法人税を下げるだけでなく、個人の収入としても給与所得控除もあることから

  • 所得税
  • 住民税

といった税金が安くすみます。

また、個人の売り上げから会社組織に変えることで、売上が1000万以上がっていても消費税を2年免除により払わずにすみます。

諸々の理由により、個人事業から会社にすることで税金対策になるといえるのです。

 

 

税金対策で、会社に資産を持たせることのデメリット

dfeb5966c01f1ee6823e2c6543a9b6fa_s

個人事業から会社形態に変えることで、税金の対策にもなるということをここまでで述べてきましたが、メリットばかりではありません。

デメリットとしては多くの会社資産によって、株式の評価額が上がり、思わぬ高額の相続税を払う必要が出ることがあります。

相続税対策で会社はお金を持っていても、個人があまり現金を持っていないと相続税がかかったとしても、払うことができなくなり事業の承継ができなくなります。

さらに、会社資産を売ったとしても、そのまま利益を自分で受け取ることはできず、相続税の支払いに充てることもできません。

日常では売上が沢山上がっても、役員報酬は決まっているため自分の懐に反映は遅くなります。

また、個人事業の時のように、接待交際費全てが費用として認められないこともデメリットとなります。

また、少ないながらも存在する合名会社や合資会社といった形態の会社では、無限責任社員の相続は、会社の借金も相続で一緒に背負うことになります。

税金対策で会社を作る場合は色々な対策やその結果も踏まえて、メリットデメリットのバランスをしっかり考えて行う必要があるといえるのです。

 

 

会社の相続、事業承継は計画的に

42b1fa7e31c69818fc32692d466dd279_s

本来相続は人の死がからむだけに、言い出しにくいのが相続です。

ですが、株の相続に伴う事業承継は、単純に相続で株を受け取った時から、いきなりできるようにものではありません。

スムーズに相続を終え、従業員の生活を守って事業を継続するには、

  • 後継者への仕事の引継ぎや勉強
  • 取引先や親族
  • 相続人間の根回し

が必要となります。

生前贈与や相続税分の現金の用意も重要です。

そのため、会社の相続は、経営者が元気なうちから、税理士としっかり相談しましょう。

早めに事業承継計画をたてることが、会社のスムーズな引継ぎにはとても大事なことなのです。