親が借金をしているんだけど、相続のときはどうなるの?

親がしている借金を知る方法ってある?

そのような疑問に答えます。

借金は、

  • 相続放棄
  • 限定承認

相続しない選択肢があります。

これらの手続きについても触れます。

 

 

借金にはどのようなものがある?

借金というといわゆる消費者金融から借りたお金というイメージがあるかもしれません。

実際には、もっと広範囲にわたります。

相続の対象となる借金にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

法律上借金となるもの

一般的にイメージされる借金は、法律上では金銭消費貸借契約と呼ばれます。

  • 例えば、A太郎はB子に○万円を×月×日までに利息年
  • △△%をつけて返す、

といった契約です。

  • カードローン
  • クレジットカードのキャッシング
  • 目的ローン

などがこれにあたります。

未払いのクレジットカードやローンも、借金と同じ債務です。

相続税の計算上は財産の額から引かれますし、分割の対象にもなります。

住宅ローンも借入金なので相続されるのが原則ですが、実際には団体信用生命保険(団信)に加入するケースがほとんどです。

団信が適用されれば、死亡時に保険金で完済されるので住宅ローンの相続はありません。

 

親が事業をしていた場合は要注意

もし親が

  • 個人事業主だったり
  • 法人役員だったり

すると、さらに範囲は広がります。

法人の債務が直接的に役員の相続人に引き継がれることはありませんが、

役員が事業性融資の連帯保証人になるケースは多く、その場合は連帯保証人としての立場を相続します。

個人事業主としては、

  • 仕入代金(買掛債務)
  • 事務所経費

などの未払いも相続の対象に含まれるため、注意が必要です。

 

他人の借金を保証していたら、それも相続される

親の借金ではありませんが、もし親が誰かの借金の保証人になっていたら、その立場も相続することになります。

保証には、

  • 普通の保証
  • 連帯保証

の2種類があります。

普通の保証は、お金を借りた本人がどうしても返せなかった場合のみお金を払う必要がありますが、

連帯保証人は本人とほとんど同等の責任を負います。

親が連帯保証人をしていたら、借金を相続するのと変わらないと考えていいでしょう。

 

自分が貸したお金は?自分が借りていたら?

もし親にお金を貸したのが相続人であったら、その人が相続する部分のみ、借金が帳消しになります。

例えば、相続人が二人兄弟の他にいなく、兄が被相続人(亡くなった人)にお金を100万円貸していたとき。

全相続財産を、法定相続割合に応じて分割することにしました。

この場合、借金を返す義務を兄と弟が50万円ずつ相続し、兄の50万円は貸金と相殺されて消えます。

兄は、弟が相続した残りの50万円を請求することができます。

証拠保全のため、しっかり契約書などの書面に残しておきましょう。

 

 

負債が資産を上回る場合は相続放棄か限定承認を

実際に相続財産のなかに借金が含まれていたら、内容を精査しましょう。

相続財産のなかから払うことができればいいですが、

  • 現金や不動産などのプラスの財産よりも
  • 借金の方が多かった場合

には、相続放棄か限定承認をすれば持ち出しをせずに済みます。

 

相続放棄と限定承認

相続放棄は、一切の相続をしないというもの。

全ての相続財産はほかの相続人のものになります。

限定承認は、資産の分を超える負債は相続しませんというもの。

相続人が全員共同でする必要があります。

相続放棄すると、

  • 自宅
  • ゆかりの品

など、個人にとって思い入れのあるものも手放すことになります。

限定承認は借金を相続するかわりに、本人にとって価値ある遺産を相続できます。

 

手続きはどうする

  • 相続放棄
  • 限定承認

どちらも家庭裁判所に申述という手続きをとります。

相続することを知ってから3ヶ月以内にする必要があり、過ぎると単純承認といって普通に相続することになってしまいます。

 

注意することは

いったん相続放棄か限定承認をすると、撤回することができないので慎重に手続きする必要があります。

全ての財産と相続人を把握してからしないと、後で思わぬ事態になりかねません。

もし相続人のなかでひとりでも相続放棄を忘れると、全てその人が相続することになってしまいます。

  • ほかの相続人に嘘をつかれたり
  • 脅迫されたりした場合

は、取り消せる可能性はあります。

 

生前に自己破産するとどうなるか

亡くなる人の立場に立ってみると、借金を残して家族に迷惑をかけたくないために、

自己破産をしようと考える人もいるかもしれません。

自己破産すると、20万円以下の預貯金や生活必需品を除いて、財産を手放してしまうことになります。

持ち家に人はマイホームも売却しなければなりません。

残された人たちには、思い出のあるマイホームに住みながら借金を返すという手もありますし、限定承認という選択肢もあります。

自己破産すれば、自分自身も最期に不自由な生活をすることになります。

それよりは、判断を委ねたほうが、残された人たちは幸せになれるかもしれません。

 

 

親に借金があるのか、いくらあるのか知らない場合は

家族の借金がいくらあるのか、子供だけではなく配偶者も知らないということは意外にあるものです。

被相続人の借金がどれだけあるのか調べるには、次のような方法があります。

 

まずは生前に確認。財産目録を作成しよう

できれば、被相続人となる人が存命のうちに財産目録を作っておくのがベストです。

財産目録は、資産や負債などの財産を一覧にしたものです。

  • 不動産なら住所地番や土地面積
  • 共有者がいればその氏名
  • 預金であれば口座番号
  • 借金であれば借入先や借入期間、金額

など、特定できる内容を記載します。

元気なうちに財産目録、必要に応じて遺言を作っておくのが、遺族となる人たちへの思いやりです。

遺族としても、相続税の申告にも必要なので、早めに作成しておくに越したことはありません。

 

証拠書類を集める

被相続人となる人が頑固で借金について何も話さなかったり、

相続開始後に借金の有無を調べなくてはならなかったりした場合は、友人や仕事関係など周囲の人に聞いてもいいです。

その場合、口頭だけではなく、必ず契約書の控えなどを手に入れること。

水増ししてくる人もいるかもしれませんし、相続税の証拠資料としても必要です。

 

調査のために利用できる機関

借入先が、

  • 銀行のような金融機関
  • クレジットカード(信販会社)
  • 消費者金融

などであれば、信用情報機関に問い合わせをすることで、借金の調査ができます。

それぞれ

  • 全国銀行個人信用情報センター
  • 日本信用情報機構
  • CIC(株式会社シー・アイ・シー)

に本人死亡開示の手続きをとります。

亡くなった人の戸籍謄本や死亡届、照会する人の本人確認書類などが必要です。

 

 

まとめ

相続される債務には、

  • 金融機関からの借入のほか
  • 保証人としての立場
  • 個人事業主であれば商品仕入の代金

などが含まれます。

借金のようなマイナスの財産が、預金や不動産などプラスの財産を上回るようなら、相続放棄または限定承認をするとよいでしょう。

誰にどのような借金があるのか明らかにしておくために、生前から財産目録を作っておくことをおすすめします。

死亡後には、信用情報機関に問い合わせることで、銀行や消費者金融などに借金をしているかどうかがわかります。

c8417b629d6e34a2ab72fedfe736f0b6_s

この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー ファイコロジスト山田

不動産から為替相場の予想まで、お金に関するテーマについて幅広く執筆。
相続に関連して実家を失ったことがある。
これらの経験から、相続関係業務のモットーは「運用を含めた総合的な人生設計」「関係者全員が納得する分割」。