人が亡くなった時の相続、色々な手続きが必要となるのは皆さんご存知かと思います。

では、その相続とはいつ開始するのでしょうか?

相続人が受け取ると決めた時でしょうか?

ここではいざという時に役に立つ、相続の開始と関連するあれこれについてお話していきます。

 

いつから起算する?相続の開始

相続の開始はいつから始まるのかご存知でしょうか?

答えはズバリ、亡くなった瞬間から開始になります。

では、今からその内容を詳しく見ていきましょう。

 

相続は被相続人が亡くなった瞬間から開始する

被相続人が亡くなったからといってすぐ手続きができるわけではありません。

それなのに、何をもって相続が開始したと言えるのでしょうか?

相続の開始は、被相続人の死の瞬間に、相続人に財産が移動する瞬間なのです。

ただ、相続開始後ですが、相続放棄や何らかの形で、

  • 受け取る
  • 受け取らない

の自由はあります。

ただ、様々な期限をカウントする際は死んだ瞬間を起算して、その日その時間で期限が切れましたというのは非常に不明瞭です。

そのため、様々な手続きに対しては

  • 相続開始日
  • その翌日

から1年以内等、日単位でカウントするように決められています。

時間であれ、日であれ相続の開始を知るのはとても大事なことです。

では、相続の開始と共にどのような期限が進行し始めるのか、次でお話させていただきます。

 

相続の開始からカウントされる様々な期限

相続の開始からは、様々な期限が開始します。

その期限は過ぎてしまうと、相続人にもたらされる利益を逃してしまうものが多いのです。

相続開始で始まる大きな6つの期限をご紹介します。

 

相続税の申告と納付期限

相続開始日の翌日から10ヶ月以内が、相続税の申告と納付の期限となります。

提出の期限に当たる日が土日祝になった場合は、本来の期限の次の平日が提出期限となります。

ただ、誰もが相続税の申告や納付が義務づけられている訳ではありません。

相続税の計算で使う、

基礎控除3000万円+600万円×法定相続人の数

を、相続財産額が下回るようであれば、申告も納税の義務はありません。

相続税の申告と納税が必要な場合、

  • 期限を逃すと無申告加算税
  • 納付が遅れれば延滞税
  • 申告も納付もしなかったことが財産を隠したとみなされる場合は重加算税

がかかってきます。

また、

  • 配偶者の税額の軽減
  • 小規模宅地の特例
  • 農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例

といった、様々な相続税上の特例的な特典を受けるには、申告期限内の申告と届け出等の手続きは必要となります。

ただ、遺産分割の話し合いが進まない等、事情があり相続財産が確定しない場合があります。

その際には特例によっては一旦仮に申告納税し、届け出等の手続きをすれば期限を伸ばすことができる場合があります。

 

相続税の申告期限後に税額控除や特例を使える期限

相続税の申告期限の相続開始日から10ヶ月以内に相続が確定しない場合、税制上の様々な特典が受けられないことがあります。

受けられなくなる特例として、

  • 配偶者の税額の軽減や
  • 小規模宅地の特例
  • 特定計画山林

などが挙げられます。

それらは延長する手続きを申告期限の10ヶ月以内にきちんとすれば、特典を受けるための期限を延ばすことができます。

その期限は相続税の申告書提出期限から3年以内となっています。

ただ、そのためには申告納税を一旦する必要があったり、書類を作る必要があります。

一旦納めた税金も、手続きを適正に行えば返ってきます。

そのため、相続がまとまらない時は早目に税理士等専門家に相談し、申告納税と届け出を考えるようにすることが大事になります。

参照:
https://www.nta.go.jp/

 

相続放棄ができる期限

相続放棄ができる期限は、相続開始を知った日から3ヶ月以内とされています。

ただその3ヶ月の熟慮期間は、その期間内に家庭裁判所で手続きをすれば伸長できる場合があります。

 

限定承認ができる期限

限定承認とは相続するプラスの財産の範囲で、借金等のマイナスの財産を返済すればいいという制度です。

限定承認は相続放棄と同じく期限は、相続開始を知った日から3ヶ月以内とされています。

ただその3ヶ月の熟慮期間は、その期間内に家庭裁判所で手続きをすれば伸長できる場合があります。

 

被相続人の所得税の申告期限

被相続人の所得税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内とされています。

これは事業所得や不動産所得等でいつもは2月3月に行う確定申告と納税を、相続人全員で行うものです。

この手続きは限定承認をした場合も必要となります。

1月1日から死亡の日までの所得を使い計算するこの確定申告は、準確定申告とも呼ばれています。

 

遺留分減殺請求ができる期限

遺留分とは、

  • 配偶者や子や孫といった直系卑属
  • 父母といった直系尊属

が法定相続人であった場合に発生します。

それは基本遺言書で相続から外されたとしても、本来受け取れる法定相続分の1/2を請求し受け取ることができる権利です。

法定相続人が直系尊属のみの場合は1/3となります。

この権利を主張するのは遺留分減殺請求と言い、その期限は

  • 相続開始や遺贈があったことを知ってから1年
  • 相続開始である被相続人が亡くなってから10年

経過した場合は請求できないこととなっているのです。

ここまでは、相続開始から始まる様々な期限のお話をしてきました。

相続の開始が重要なことはお分かりいただけたかと思います。

では、この後は相続開始と手続きの期限に役立つ重要なポイントを、ピックアップしてお話していこうかと思います。

 

相続の開始が無かった事になる相続放棄

相続の開始と、そこから始まる様々な手続きの期限についてお話してきました。

その中で特に相続放棄については、相続の開始と特殊な関係にあります。

それは相続開始を知った時から3ヶ月の期限内にも相続放棄を決めると相続開始が無かったことになるという点です。

相続放棄を決めた後に、借金を返す義務を失うのではないのです。

ただ、この3ヶ月の期限中に、まだ放棄してないんだから返済義務はあるはず、少しでいいので借金を払えと言う人がいるかもしれません。

1000円といった少額でも、気軽に返してしまうと、その時点で単純承認が成立し、相続放棄が使えなくなります。

また、この場合限定承認も同様に使えなくなります。

相続人でプラスもマイナスも財産を受け継ぐと決まっている人であっても、安易に負債を返すのは危険です。

その場での返済は必ず待ってもらい詳細を確認してから、方向性を決めるようにするのが大事になってきます。

 

相続はどうなる?被相続人が知らないうちに亡くなっていた場合

家族がいつも仲よく、連絡をとりあっているとは限りません。

  • 何かのトラブルで疎遠になっていた場合
  • 長い期間被相続人の死亡を知らなかったという場合

があります。

そういった人が借金を抱えていた場合、または相続財産が自分以外の人に贈与されている場合があります。

その場合は、様々な権利がある程度保障されています。

  • 相続放棄
  • 限定承認

の期限として、相続開始を知ってからという言葉が入っています。

つまり亡くなった瞬間に始まる相続の開始とは、違うスタート地点なのです。

これは、遺産を受け取りたい場合、遺留分減殺請求にも当てはまります。ただ亡くなって10年経つとこの権利は消滅しますので、無制限ではないのです。

また、本来相続開始は被相続人が亡くなった瞬間です。

ですが相続人にとっては、亡くなったことを知った時が相続開始だと考えるのが妥当になってきます。

 

相続放棄できる?被相続人の借金を3ヶ月過ぎてから知った時

被相続人の死を知らなかった時は、知った時から相続放棄の期限はスタートします。

ですが、被相続人の死は知っていたけど、借金があったことを3ヶ月過ぎて請求書が来てから知った時はどうなるのでしょう?

これは、

  • 3ヶ月という相続放棄の期限を考えたり
  • 他の相続財産の受け取り手続きをしてしまっている

場合に、そのまま受け取るしかないと考える方もいるでしょう。

請求書を送ってくる側はそれを狙っているからです。

ですが、亡くなって3ヶ月過ぎるまで負債の存在を知らなかった時、相続放棄できる場合があります。

これは法律の知識に沿った説明や手続きが必要となります。

そのため、被相続人の死後3ヶ月を過ぎて請求が来たとしても、いきなり諦めることはありません。

まずは、速やかに弁護士等の法律の専門家に相談し、手続きをすることが必要になります。

 

生死がわからない人の相続の開始はいつ?

唐突に家族が消えてしまった。

不在が続き、生死そのものがわからない時はどうなるのでしょうか?

わからないまま、永遠に財産は動かせないままなのでしょうか?

この場合、通常は生死が分からない人がいなくなってから7年間が満了すれば、家庭裁判所で失踪宣告を求める申し立てができます。

震災等の大きな災害であれば、1年間が過ぎれば危難失踪として申し立てをすることができます。

家庭裁判所で失踪宣告が出れば、その時点で亡くなったものとみなして相続が開始します。

また、その審判結果を持って10日以内に市町村役場で手続きをした結果、死亡として戸籍に載ることになります。

参照:
http://www.courts.go.jp/

つまり、生死がわからない人でも、ある程度の年数が立てば手続きをして死亡扱いにし、相続が開始するのです。

 

相続の開始を知ったら、手続きは早目に済ませよう

このように相続の開始は、様々な期限をご紹介したように、死後の手続きその他色々なことに関わってきます。

ただ一言で言えるのは、相続は開始したら手続きを早目に済ませることが大事です。

長引けば誰も相続財産を受け取れないことになり、生活に影響が出てきます。

相続税の上でも

  • 優遇措置が受けられなくなったり
  • 相続人全体で損をする

ことも出てきます。

相続の開始は唐突で、故人を偲んで泣く時間は確かに必要です。

それでも、遺された者にも生活があります。

相続開始したらできる範囲で早目に話し合い、財産の分割や登記等の手続きを済ませてしまいましょう。

相続がスムーズに済むことは、故人が生きていた証が確かに受け継がれたということでもあるのです。