相続放棄は借金を相続してしまったという時に有効な裁判所での手続きです。

裁判所に相続放棄申述書その他必要書類を提出して手続きをすることにより、

その相続においてはじめから相続人ではなかったことになります。

相続を考える時によく家系図を描くことで相続関係をたどることがありますが、

相続放棄をした人は相続のための家系図から遡って消えてしまっていると考えればわかりやすいかもしれません。

この相続放棄は認められるととても強い効果を持っており、

借金相続において債権者から「借金を返して」と言われても

「私は相続放棄をしたので相続人ではありません。返済の必要はありません」

と言い切ることのできる絶対的な効力を得ることができます。

この絶対的な効力も相まって、借金相続ならとにかく相続放棄という話になるわけです。

しかし気をつけなければならないことがあります。

それは、

  • 必ず相続放棄が認められるというわけではない
  • 相続放棄は一度の相続で一度しかチャンスがない

というものです。

裁判所で手続きをすると「あなたはタブーを犯しました。認めません」と言われてしまい、

けっきょく借金を相続しなければならないこともあり得るのです。

相続放棄を望むなら、してはいけないタブーがあります。

具体的な事例を挙げて、相続放棄でしてはいけないNG行動について解説していきます。

 

これってNG?それともOK?相続放棄の事例

では、ここからは具体的に相続放棄の事例に入っていきましょう。

これからご紹介するのは、Aさん、Bさん、Cさんという三人の相続放棄事例です。

皆さんも事例を読みながら何がNG行動に当たるか考え、最後に答え合わせをしてみてください。

 

相続放棄するのに遺産を使い込み?という事例

Aさんは父親の相続人です。この度、亡くなった父親の遺産を確認していたら、

  • 借金が1,000万円
  • 預金が100万円

であることがわかりました。

不動産は土地建物含め賃貸だったため、遺産ではありませんでした。

借金が多いため、Aさんは相続放棄をすることに決めました。

しかし、相続放棄は

  • 遺産のマイナスだけを手放すだけではなく
  • プラスも同時に手放さなければいけない

手続きだといいます。

相続放棄の手続きが済んでしまえば、せっかくのプラスである預金100万円も手放さなければならないと考えると残念感があります。

そこでAさんは、相続手続きを前提にしつつも預金100万円を手放すのが惜しいと考え、使ってしまいました。

先に使ってしまえば、相続放棄では上手く1,000万円の借金だけ放棄することができると考えたのです。

これってどうなのでしょう?

 

放棄しなければならないなら預金を使う!これはいいの?

借金を返済したくないからといって借金だけを相続放棄することは許されず、

相続放棄したからには

  • 預金
  • 不動産

などのプラスの相続も手放さなければいけません。

そう上手い話はないということです。

では、手続きをすれば手放さなければいけないわけだから、

  • 先にプラスを使ってしまえばいいのでは?
  • 自分のものにしてしまえばいいのでは?

という話です。

 

答えは?相続放棄のタブーの可能性

実はこの行動、相続放棄におけるNG行動の代表的なものなのです。

相続放棄をすることで債権者は借金を返してもらえないだころか大損することさえあります。

例え借金が自分で作ったものでないとしても、相続の美味しいところだけ自分のものにしてしまうのはいけません。

バレないだろうと思うかもしれませんが、裁判所には簡単にバレます。

なぜなら、裁判所は破産から借金まで色々な「財産の問題」を扱っている場所でもあるからです。

あなたはズルをしましたね。

ということで、相続放棄が認められない可能性がありますのでご注意ください。

なお、どうしても被相続人の未払いの医療費を支払わなければならなかったなどの場合は、大目に見てもらえる可能性もありますが、

相続放棄をするのであればプラスには手をつけないことが重要です。

何か支払いをしなければいけないという時は、相続放棄を前提として法律家に相談してみるのがいいですね。

一度しかできない手続きだからこそ慎重に進めたいところです。

参照:
http://www.shiho-souzoku.com/

 

遺品整理や形見分けをしたという事例

では、今度はBさんの事例です。

Bさんは遺産に負債が多いため相続放棄をしようと考えていました。

しかし手続きは手続きとして、故人の遺品を整理しなければいけません。

また、近所の故人の友人から「形見分けして欲しい」とも言われています。

Bさんは故人の不要物は処分し、必要だということに形見分けしてしまいました。

これってどうなのでしょう。

 

判例あり!けれど「処分しない」「動かさない」が基本

遺品も立派な遺産です。

ですから、このBさんの行動は相続放棄のNG行動に該当する可能性があるのです。

グレーゾーンと言える事例です。

遺品を勝手に処分してしまっては、物によっては相続放棄が認められない可能性もあります。

故人が愛用していた

  • 私物の価値によっても判断が分かれ、
  • また、法律上に明確な基準はありません。

相続放棄はとにかくプラスもマイナスも放棄してしまう手続きですから、

形見分けや遺品の処分という理由があっても、遺産のプラスマイナスを勝手に動かしたら駄目ですと怒られてしまう可能性があります。

ただ、使い古した衣服などはなるべく早く処分したいと思うでしょうし、

賃貸住宅の場合は遺品を処分して早々に退去しなければいけないという理由もあることでしょう。

遺品を処分してしまっては絶対にいけないというわけではなく、

相続放棄が認められない可能性があるグレーゾーンのため、弁護士や司法書士に相談しながら慎重に進めてもらいたい事例です。

参照:
http://ameblo.jp/nagoyasogo-souzoku/

 

借金返済を催促されて返済したという事例

今度はCさんの事例です。

負債が多いため、Cさんは相続放棄をすることにしました。

しかし相続放棄手続きが完了する前に、知人のDさんから

「被相続人に貸したお金を返して欲しい」

という相談がありました。

故人は負債が多かったため、他にもたくさんの債権者がいましたが、

Dさんとは懇意であるため、こっそりDさんにだけCさんは自分の預金から返済しました。

これってどうなのでしょう?

 

判例では「問題なし」!けれどまずは専門家に相談を

とてもよくある事例です。

債権者がたくさんいるのに一人だけ特別扱いしては駄目ですし、

例えマイナスであっても相続放棄をする時は

  • 触らない
  • 動かさない

が鉄則です。

しかし事例では遺産ではなく相続人の財産で返済しています。

同様の事例でNGにはあたらないという判例があります。

法律では

  • こんな行動をすると相続放棄が認められない可能性がありますよ
  • 単純承認したとみなしますよ

という行動が民法921条に規定されています。

これらの行動に触れてしまうと絶対に相続放棄が認められないというわけではありません。

ただ、本来なら認められていたはずなのに、認められない可能性がありますという話になります。

最終的に認めるかどうかは裁判所の判断です。

相続放棄では遺産のプラスにもマイナスにも、

  • 触れず
  • 使わず
  • 動かさず
  • 変動させない

が基本です。

もし自分の行動が相続放棄のタブーに触れるかどうか心配な場合は、なるべく司法書士や弁護士に相談してから行うと安心です。

 

最後に

相続放棄は必ず認められる手続きではなく、

しかも一度の相続において一度しか手続きのチャンスがありません。

「認めません」と裁判所が決めてしまえば、泣く泣く多額の借金返済をしなければならないことも。

ここの挙げたのは相続放棄におけるNGになる可能性のある行動のほんの一例です。

もっと詳しく知りたいという人はあるべく早めの弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談するのがいいでしょう。

法律の専門家はこういったNG行為を把握しており、相談するとときちんと教えてくれます。

一度しか認められずNG行動もあるからこそ、相続放棄はなるべく専門家に代理してもらうのが賢明かもしれないですね。