相続が発生して、「弁護士に頼ったほうが良いのかな?」と悩んでいらっしゃいますね。
相続において弁護士に相談した方が良いのは、相続で揉める可能性があるときです。
「でも、弁護士に相談すると高いんじゃないの?」と心配になっている人もいると思います。
しかし、相続で揉めそうな場合には最初から弁護士に相談しておくことで、公平に遺産分割や手続きを進めることが出来るのでオススメです。
今回の記事では、具体的にどのような場合に相談するべきか、弁護士にかかる費用の相場、弁護士の選び方を詳しく説明。
最後まで読んで、弁護士に相談し、トラブルの種をつぶしましょう。
目次
相続で弁護士に依頼できること
弁護士は、相続全般についての業務を依頼することが出来ます。
特に、争いに発展した場合には、弁護士にしか解決できないことがたくさんあるのです。
まずは、弁護士が行うことのできる業務について説明していきます。
1.遺言書の検認
被総則人の遺言書が見つかった場合は、遺言書の検認をする必要があります。
遺言書の検認は家庭裁判所で行いますが、弁護士に全て任せることが可能です。
2.相続人調査
戸籍謄本などを辿って、だれが相続人なのか確定させます。
もし、相続人の中に行方不明者がいる場合にも、所在調査を依頼することが可能です。
3.相続財産調査と査定
なにが相続財産なのかを確定させます。
たとえば、「不動産の所在が分からない」「どこの金融口座を持っているのか分からない」といった場合に調査を依頼することが可能です。
また、不動産や証券などの査定をすることも出来ます。
4.借金調査
被相続人に借金がなかったのか調査を頼めます。
借金がある場合には、どのように対応するべきか、明確な指示をしてもらえます。
5.遺産分割
相続人と相続財産が確定すると、だれが何を相続するのか、遺産分割協議を行います。
その際、弁護士に立ち会ってもらうことで円滑に遺産分割することが可能です。
また、遺産分割協議に必要な財産目録や相続人説明図、遺産分割協議後に作る遺産分割協議書の作成も依頼できます。
6.預金・自動車・年金などの相続手続き
遺産分割の内容が決定すれば、名義変更などを行う相続手続きをします。
そのときの手続きのサポートをしてもらうことが可能です。
7.相続放棄・限定承認などの裁判所手続き
借金が多い場合、相続放棄や限定承認を選択する場合があります。
そのとき、弁護士に頼むとすべての手続きを代理人として完了してくれます。
8.遺留分減殺請求など訴訟の代理人
どうしても遺産分割がまとまらず、争いに発展してしまった場合は弁護士が代理人として訴訟を起こしてくれます。
訴訟に発展することが多いと言われているパターンについて、次の章で説明していきます。
当てはまる人は早く弁護士に相談しよう
遺産分割や相続手続きは、どちらかというと司法書士に頼んでもそんなに変わりません。
弁護士の一番の強みは、代理人として裁判所での手続きや訴訟ができることです。
そのため、相続人同士で争いに発展しそうなときには、弁護士に相続について相談することをオススメします。
よく争いやに発展してしまうケースや、裁判所手続きが必要なケースでは、弁護士に相談しましょう。
具体的に、どのような場合に相談するべきなのか、確認していきます。
1.疎遠な相続人がいる
疎遠な相続人がいる場合、争いに発展してしまうケースが多いです。
例えば、複数の子どものうち1人が死亡している場合、被相続人の子どもと孫が相続人となることもあります。
このような場合、孫とだけ疎遠という可能性もあるのです。
なかなか連絡が取れずに遺産分割が進まないこともあります。
逆に、疎遠な相手だからこそ、自分の取り分を強く主張することもあり得るのです。
2.後妻や非嫡男子がいる
後妻や非嫡男子が相続人にいる場合には、争いに発展する可能性があります。
実の母ではない後妻と子どもが同じ相続人になったり、愛人の子ども(非嫡男子)と正妻の子どもが同じ相続人になると、どうしても感情的になりやすいのです。
「権利があるのは分かるけど、後妻や非嫡男子には相続財産を譲りたくない!」という気持ちもよく分かる気がします。
また、非嫡男子となかなか連絡が取れず、遺産分割が出来ないというケースも多いです。
3.遺言状の内容に明らかな偏りがある
遺言状に明らかな偏りがある場合は、トラブルに発展する可能性があります。
例えば、子どもが3人いるのに、遺言書には「長男に全ての財産を相続させる」などと書いていることもあります。
このような場合、遺言書を無効にして、遺産分割をやり直すことも可能です。
しかし、長男が「遺言書に従おう」とやり直しに反対すると、遺産分割協議をすることが出来ません。
遺留分減殺請求に発展することもあり得るのです。
1~3のように、争いに発展する可能性があるケースに当てはまる人は、早めに弁護士に相談することで、訴訟まで発展せずに解決する可能性が高くなります。
4.相続放棄・限定承認したい
相続財産に借金が多い場合、相続放棄や限定承認を考えている人もいると思います。
このとき、家庭裁判所での手続きが必要です。
相続放棄や限定承認は、一度手続きにミスがあると、やり直しができず、相続放棄や限定承認ができなくなってしまいます。
特に、限定承認は手続き自体が複雑なため、素人が手続きすることは困難です。
確実に相続放棄・限定承認するには、弁護士に頼ることが安心です。
弁護士に相談する4つのメリット
「弁護士に相談するべき場合は分かったけど、なんで弁護士に相談したらいいの?」と疑問に思っている人もいるかもしれません。
この章では、弁護士に頼るメリットを4つ説明します。
1.知らないことを教えてくれる
弁護士は法律のプロです。
ほとんどの人は、相続をする経験が人生で数回しかありません。
そのため、相続の手順ややらなければならないことに戸惑うことも多いです。
そんなとき弁護士は、何をどうすれば良いのか事細かにアドバイスをしてくれます。
2.第三者介入をして、感情的対立をおさめる
相続人同士で話し合いを進めていると、感情的になって話し合いが進まないことがよくあります。
そんなとき、第三者として話合いに立ち会ってもらうだけで、冷静な話し合いができることも多いです。
弁護士がいるだけで解決することもたくさんあります。
3.法的根拠を話すことができる
あまり主張しづらいことを、法的根拠を持って相手を説得させてくれます。
「長男だけが取り分が多いのっておかしくない?」と感情的に思っているだけでなく、「自分には取り分がこれだけあるんだ」と法的根拠があると相手も納得します。
法的根拠をしっかりと示すことで、話が前に進むことも多くあるのです。
4.複雑な手続きを代行してくれる
万が一、調停や訴訟に発展した場合には、難しい手続きをすべて弁護士に任せることが出来ます。
もちろん、相続放棄や限定承認などの裁判所手続きも、すべてを任すことが出来るのです。
時間や手間が省くことができますし、自分の利益を考えると確実な手続きや主張が出来るので安心できます。
弁護士の費用相場
ここで気になるのが、弁護士に相談したときの費用ですよね。
もし、弁護士に相続の相談をした場合、どれくらいの費用が発生するのか確認しておきましょう。
1.弁護士の費用の相場
弁護士への報酬額は法律事務所ごとに、異なる料金体系が設定されています。
しかし、平成16年3月まで使われていた報酬規定に沿った報酬体系を適応させている弁護士事務所は多いです。
その報酬規程を以下にまとめたので確認して下さい。
(1)初回の法律相談料
30分ごとに5,000円~1万円。
中には、初回のみ完全無料としている法律事務所もあります。
(2)2回目以降の法律相談料
30分ごとに5,000円~2万5,000円。
初回と2回目以降では、法律相談料が異なる設定がされていることが多いです。
(3)着手金
着手金とは、弁護士に業務をしてもらうために支払う費用です。
以下の表をご確認ください。
獲得予定の相続財産額 | 着手金 |
300万円以下の部分 | 8% |
300万円~3000万円以下の部分 | 5%+9万円 |
3000万円~3億円以下の部分 | 3%+69万円 |
3億円以上の部分 | 2%+369万円 |
着手金は返金されることはありません。
(4)報酬金
報酬金とは、訴訟や調停など、争いごとの決着がついたときに発生する費用です。
以下の表をご確認ください。
獲得した相続財産額 | 報酬金 |
300万円以下の部分 | 16% |
300万円~3000万円以下の部分 | 10%+18万円 |
3000万円~3億円以下の部分 | 6%+138万円 |
3億円以上の部分 | 4%+738万円 |
もし、最終的に獲得できた金額が0円だった場合は、報酬金を支払う必要はありません。
(5)実費
裁判所手続きや相続人との話し合いのためにかかった交通費や、戸籍謄本の取得費用は別途、実費で請求されます。
2.だれが負担すべき?
基本的には、依頼人が弁護士費用を支払います。
例えば、3人兄弟の遺産分割協議で、長男が弁護士を依頼したのであれば、長男が弁護士費用を負担するのです。
しかし、事前に「円滑に遺産分割するため」と決めて、相続財産の中から支払うケースもあります。
優秀な弁護士の選び方
ひとことで弁護士といっても、さまざまな弁護士がいます。
強い分野も違えば、1人1人の人柄も異なります。
そこで、相続トラブルについて弁護士に依頼するときに、事前に確認しておきたいチェックポイントをお伝えします。
しっかりとポイントを押さえて、優秀な弁護士に相談をしましょう。
ポイント1.相続に強い弁護士を探そう
まずは、相続に強い弁護士を選ぶようにしましょう。
せっかく弁護士に頼るのに、離婚問題に強い弁護士に頼ってしまうと、相続トラブルの経験のない弁護士にお金を払うことになってしまいます。
インターネットでも「相続トラブル 弁護士」と自分の住んでいる地域を入れれば、簡単に検索できます。
相続関係に強い弁護士は、ホームページにも、その旨が書かれていることが多いです。
必ず相続に強い弁護士を選ぶようにしましょう。
ポイント2.相続トラブルや相続放棄の経験を確認しよう
相続に強い弁護士事務所を見つけたら、さっそく相談に行ってみましょう。
初回の相談は無料としている事務所も多くありますので気軽に訪問できます。
訪問でまず尋ねるべきことは、相続トラブルの経験についてです。
「どのような相続トラブルを解決してきたのですか?」と、単刀直入に聞いてみましょう。
実績が多い弁護士だと自信を持って答えてくれるはずです。
過去に経験が多いと、スムーズに話が進むので相談料も安くなります。
ポイント3.初めに見積書を出してくれるか
初回の相談時に、最終的にいくらかかるのか、確認をしましょう。
経験・実績のある弁護士だと、過去のパターンから、すぐに見積書を出してくれます。
最初に支払う報酬額が分かっていると、依頼人としても安心して任せることが出来ますよね。
初めに必要な報酬額を提示してくれる弁護士は、信頼が出来る弁護士です。
必ず、初回の相談時に確認をしましょう。
相続税申告が必要なら税理士にも相談しよう
「相続税申告が必要だ」「相続税申告の対象か分からない」という人は、税理士へ相談をしましょう。
税理士ができる仕事は大きく2つです。
1つ目は、相続財産額の算出です。
預金はその額がそのまま相続税評価額となりますが、不動産や株などが相続財産に含まれるときには評価額を算出する必要があります。
もちろん一般人でも不動産や株の評価額を算出することはできます。
しかし、不動産の評価額を算出するためには対象の不動産を管轄する法務局や市役所へ出向き、膨大な時間が必要です。
また、株の評価額算出にはさまざまな方法があり、どの算出方法が相続税を節税できるかなどの知識も求められます。
そもそも、相続財産の合計額が相続税申告をする必要があるかどうかを左右するため、不動産や株の相続財産すべての額を算出しなければならないのです。
少しでも知識に不安がある場合には、必ず税理士に頼ってください。
2つ目は、相続税申告の手続きです。
相続税申告では、正確に相続税の評価額と相続税を算出して申告する必要があります。
配偶者には特別に減税がされる配偶者控除制度など、相続税にはさまざまな控除制度があり、それらを適用させることで減税することが可能です。
これらの控除制度を適用させるためには幅広い知識がないとできません。
万が一、間違った控除をしてしまったり、計算ミスをした状態で申告してしまうと、申告虚偽とみなされることがあります。
また、申告後の税務調査の対象となった場合にも、申告時に税理士に頼っていれば税理士が立ち会ってくれるので安心です。
この記事を読んでいる方は、「相続をすること自体初めてだ」という人がほとんどだと思います。
必ず相続税申告の可能性があるのであれば税理士を頼りましょう。
弁護士から税理士を紹介してもらうことも出来ますし、先に税理士に相談をしてから税理士から弁護士を紹介してもらうことも出来ます。
「知り合いに税理士がいない」「どうやって税理士を探せばいいか分からない」という人は、税理士の紹介サービスを利用してみるのも一つの方法です。