贈与には、贈与税が課税されるということは、よく知られていることです。

そうすると、身近なものに贈与税がかかるのかどうかが気になってくることもあるでしょう。

この記事では、

  • 子供に対するお年玉に贈与税がかかるのか
  • 子や孫に生前贈与するための方法

について解説します。

 

お年玉は贈与か?

 

贈与とは?

  • 贈与とは、贈与をしたいと思う人(贈与者)が
  • 贈与を受けたいと思う人(受贈者)に

無償で財産を譲るという意思を表示し、受贈者がこれを受ける意思を表示することで成立する契約です。

お年玉も無償で財産を譲る行為ですから、贈与にあたります。

つまり、「はい、お年玉」「ありがとう」というやりとりで、贈与契約が成立し、履行されているわけです。

 

お年玉への贈与税

では、なぜ、お年玉に贈与税が課税されていないかというと、

個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの

は、贈与税が課税されないとされているからです(国税庁のホームページ)。

お年玉は、「年末年始の贈答」と考えることができます。

もっとも、社会通念上相当ではないものは、含まれませんから、例えば、生前贈与の100万円をお年玉だと言い張るのは、厳しいでしょう。

なお、社会通念上相当とはいえない金額のお年玉であっても、贈与税の基礎控除額(1月1日から12月30日までに受ける贈与額が合計110万円まで)を超えなければ、贈与税は課税されません。

 

小遣いとの違い

普段、子供にあげている小遣いはどうでしょうか?

そもそも、

  • 夫婦間
  • 親子間
  • 兄弟姉妹間
  • 祖父母と孫

などの間には、扶養義務があります。

そして、扶養義務のある者に定期的な生活費や教育費の送金することは、

扶養義務の履行であって、贈与契約ではありませんから、贈与税の課税対象ではないとされています。

国税庁によると、

  • 「生活費」とは、その人にとって通常の日常生活に必要な費用
  • 「教育費」とは、学費や教材費、文具費などに充てるための費用

をいうとされています。

名目が生活費や教育費であっても、

  • それを預金したり
  • 株式や不動産の購入資金に充てられたり

しているような場合には、課税されることになっています。

お年玉は、社会通念上相当な範囲であれば、使っても貯金しても、課税対象ではありません。

一方、小遣いは預金したりすると、課税対象になるという点が違うところです。

もっとも、一般家庭の子供の小遣いは数千円~数万円でしょうから、

1年で110万円も貯金できることはないと思われますので、通常、問題になることはありません。

一方、節税の観点から、子や孫にお年玉やお小遣いの範囲を超えて、まとまった額を贈与したい場合には、

毎年、基礎控除額110万円の範囲内で贈与するか、下記のような優遇制度を利用していくことになります。

 

20歳以上の子や孫への贈与

 

住宅取得資金等の贈与

平成31年6月30日までに、

父母や祖父母から、20歳以上の子や孫が、

  • 居住用家屋の新築、取得
  • 又は増改築の資金(住宅取得等資金)

の贈与を受ける場合、一定額が非課税になる制度です。

この居住用家屋の敷地となる土地の取得も含みます。

この制度は、住宅の種類(省エネ住宅か否か)や床面積等細かい条件がありますので、よく確認して利用することが必要です。

 

結婚・子育て資金の一括贈与

平成31年3月31日までに、

父母や祖父母から、20歳以上50歳未満の子や孫の

  • 結婚
  • 出産
  • 子育て

を支援するための資金を一括贈与する場合には、1,000万円まで、贈与税が非課税になる制度です。

ただし、結婚に際して支出する費用は、300万円までです。

父母や祖父母は、

  • 信託会社
  • 金融機関
  • 金融商品取引業者

いずれかと信託契約を行います。

 

相続時精算課税制度

  • 60歳以上の父母や祖父母から
  • 20歳以上の子や孫に

贈与を行う場合、2,500万円までの贈与には、贈与税がかからない制度です。

2,500万円を超えた部分については、20%の贈与税が発生します。

その後、相続が発生したときに、この贈与した財産を相続財産に含めて、相続税を計算します。

すでに納めた贈与税は、相続税から差し引かれます。

贈与する財産は、

  • 現金
  • 預貯金
  • 株式
  • 不動産

などあらゆる場合に利用できます。

この制度は、税金を基礎控除額が少なく、税率が高い贈与税から、相続税へと税金の支払いを繰延する制度です。

本当に繰延をした方がトクなのかについては、税理士にきちんとシュミレーションしてもらった方がいいでしょう。

 

未成年の子や孫への生前贈与の方法は?

上記のように、20歳以上の子や孫に財産を生前贈与するには、いくつかの優遇制度があるのですが、

未成年である子や孫にまとまった額を生前贈与するときに使える優遇制度は、

暦年贈与を除くと、現時点では1つしかありません。

それが、教育資金の一括贈与の制度になります。

この制度は、平成31年3月31日までに、

  • 父母や祖父母から
  • 30歳までの子や孫、ひ孫に

教育資金を一括贈与する場合には、1,500万円まで非課税となる制度です。

ただし、学校以外の者(例えば学習塾など)に支払われる金銭は500万円までです。

また、30歳までに使い切れなかった残金については、課税対象になります。

父母または祖父母は、

  • 信託会社
  • 金融機関
  • 金融商品取引業者

のいずれかと教育資金管理契約を締結する必要があります。

 

まとめ

一般の家庭において、小遣いやお年玉が贈与として問題にならないのは、

社会通念上相当な金額に収まっているからです。

また、社会通念上、相当な額を超えても、1年間でもらう額の通算が110万円を超えることもそうはないことでしょう。

一方、まとまった金額を子や孫に贈与したい場合には、「お年玉」や「小遣い」だと言い張って、高額な金額を渡すのではなく、

利用できる優遇制度がないかどうか検討しましょう。