遺産分割協議で誰がどの財産を受け継ぐか決まったら、

次にするのは名義変更の手続きです。

相続財産には、

  • 自宅のような不動産
  • 預金や株式
  • 自動車

などがあり、名義変更をすることではじめて相続手続きが完了します。

それらに共通するポイントと、それぞれの手続について簡単にまとめました。

 

相続財産の名義変更で大事なポイントはだいたい同じ

名義変更とは、もっとも強力な権利である所有権の持ち主を変えることです。

後ほど主な4つについて個別に記しますが、まずは共通することを先に書いておきます。

 

所有者は順に、被相続人所有→相続人共有→単独

相続財産の所有権は、次のように移ります。

被相続人(亡くなった人)が所有していたものは、

遺産分割協議がととのうまでは、全相続人の共有財産となります。

その後名義変更をすることによって、その財産を相続することになった相続人のものになります。

 

必要書類は戸籍謄本などもろもろ

必要書類は基本的に次のとおりです。

このほかにも物件によって増減します。

  • 被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺言書または遺産分割協議書
  • 公正証書遺言以外の遺言書の場合は検認書

など。

 

名義変更しなければ、自分のものにならない

当然といえば当然ですが、名義変更しなければ相続人のものにはなりません。

遺産分割協議はあくまでも当事者間での取り決めであり、

売却などの際に第三者に持ち主であることを証明するためには、名義変更が必要です。

手続きの期限は基本的にありませんが、先に伸ばせばそのぶん権利の不安定な時期が続くことになります。

 

不動産の名義変更(相続登記)について

不動産の名義変更は、所有権移転登記といいます。

そのなかでも相続の場合は相続登記といいます。

 

相続登記をしないと発生するデメリット

相続登記が行われる前、相続人は各自法定相続割合分のみ自分の名義に登記することができます。

口頭で形見分けをして相続登記をしないと、悪意をもった他の相続人が勝手に登記してしまう可能性があります。

また、売却や担保に入れるなどの利用が難しくなります。

 

相続登記はどうやってする

相続登記は法務局で行います。

間違いなく記入するために対象となる物件の登記簿謄本を取得します。

固定資産税評価明細書も必要です。

納付する登録免許税の金額を計算するためです。

司法書士に依頼すれば、戸籍謄本を集めることから一括して委託できます。

 

相続登記の注意点

  • 生前贈与
  • 遺言
  • 相続

それぞれ手続きが違うので注意します。

被相続人が農家で農地を相続した場合には、農業委員会に届出が必要です。

 

預金の名義変更について

財産の残し方でもっともポピュラーなのが預金でしょう。

金融機関によって異なりますが、どこもトラブルを避けるために厳格な手続きを求めています。

 

預金の名義変更をするということはどういうことか

預金は基本的に名義変更をすることができませんが、相続に限ってのみ認められます。

むしろ、亡くなったことが銀行にわかると入出金ができなくなってしまいます。

ひとつの口座を複数の相続人で分割する場合でも、

  1. 一度相続人の代表者名義に変更
  2. 次に他の相続人の口座に振り込む

などの手続きが必要です。

 

名義変更はどうやってする

金融機関所定の申請書に記入し、必要書類とともに窓口に提出します。

  • 遺言書がある場合
  • 遺産分割協議書がある場合
  • 家庭裁判所の審判書がある場合
  • いずれもない場合

それぞれ手続きが異なり、金融機関によっても差があります。

まずは窓口に相談しましょう。

 

預金を名義変更するときの注意点

窓口に連絡をしてから名義変更までに2週間以上かかることがあります。

余裕をもって行いましょう。

必ず相続人全員の同意が必要で、自分が相続した分だけ払い戻してもらうということができません。

足並みを揃えて手続きする必要があります。

 

株式の名義変更について

資産を

  • 株式
  • 債券
  • 外貨

などさまざまな金融商品の形で持っている人も多いでしょう。

株式をメインに、簡単に他の金融商品についても触れつつ説明します。

 

金融商品の名義変更をしないとどうなるか

名義変更を後回しにしておくと、売りたいときに売れないという事態になる可能性があります。

価格が下がってきたので慌てて手続きを始めたが、終わった頃には暴落していた……

ということのないように、早めに手続を済ませましょう。

 

株式の名義変更はどうやってする

預金同様、証券会社所定の申請書に記載して、戸籍謄本などの添付書類とともに提出します。

多くの場合、同じ証券会社に相続人名義の口座が必要で、なければ名義変更の手続と同時に開設します。

被相続人が利用していた証券会社が多ければ、そのぶん手続きは煩雑になってしまいます。

 

債券、投資信託、FXなど株式以外の金融商品はどうする?

債券や投資信託などは基本的に株式と同様の手続きで、相続人の口座に移管されます。

  • 株の信用取引
  • FX
  • 先物

などレバレッジをかけられる(手持ち資金よりも大きい金額で取引ができる)ものについては、

移管されずに決済されるのが一般的です。

 

自動車の名義変更について

クルマは生活に密着しており、亡くなった家族のそれには愛着を持っている人も多いでしょう。

自動車の名義は登録番号(ナンバープレート)とともに陸運局で管理されており、相続の際には手続きが必要となります。

 

自動車の名義変更は必要か

自動車も不動産や株式と同様に、名義変更をしておかないと

  • 売却や廃車をしたくてもできない
  • または時間がかかる
  • 手続きが煩雑になる

などのデメリットがあります。

 

自動車の名義変更はどうやってする

自動車のナンバーを管轄している陸運局で手続きします。

  • 戸籍謄本
  • 遺産分割協議書
  • 自動車検査証(いわゆる車検証)
  • 車庫証明

が必要です。

車庫証明は原則40日以内に発行されたものですが、

被相続人と相続人が同居しており、保管場所が変わらないなどの場合は不要になることがあります。

売却などで第三者に名義変更する場合でも、いったん相続人名義にする必要はなく、一度の手続きで済ませることができます。

その場合、新しい所有者の実印と印鑑証明書が必要です。

廃車する場合であっても、名義変更と同様に戸籍謄本などの書類が必要です。

 

自動車を名義変更するときの注意点

ローンで購入してまだ完済していない場合、自動車の名義はディーラーか金融業者のものになっているのが一般的です。

残りのローンを一括返済すれば所有者名義を相続人に移すことができます。

一括返済できない場合は、

  • 売却して足りない分を現金で支払うか
  • 売却せずに相続人がローンを払い続ける

ことになります。

ローンを引き継ぐ場合、所有者名義はディーラーや金融業者のままで、使用者名義を変更することになります。

戸籍謄本など相続関係の添付書類は不要で、

  • 車検証
  • 住民票

などが必要となります。

 

まとめ

  • 不動産
  • 自動車

などは、名義変更してはじめて自由に売却したり担保に入れたりすることができるようになります。

預金にいたっては、名義変更しないかぎり引き出すこともできません。

いずれも

  • 戸籍謄本
  • 印鑑証明書

など多くの書類を必要とし、数週間かかることがあるので、すみやかに手続きすることをおすすめします。

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー ファイコロジスト山田

不動産から為替相場の予想まで、お金に関するテーマについて幅広く執筆。
相続に関連して実家を失ったことがある。
これらの経験から、相続関係業務のモットーは「運用を含めた総合的な人生設計」「関係者全員が納得する分割」。