遺言書は作成者の死後に効力を持つものだからこそ、要件に厳格さが求められます。

亡くなった人に意思を確認するわけにはいきませんから、意思が明記されていることだけでなく、

  • 本人が書いた
  • 何時書いた
  • 本人の意思に則ったものだ

ということが確認できなければいけないのです。

遺言の中でも自筆証書遺言は自分で簡単に作ることのできる遺言ですが、よくルールでミスをしてしまうことがあります。

せっかく作った遺言書が「要件を書いているので無効です」では意味がありませんよね。

もっと確実性の高い遺言はないのでしょうか。

遺産の額が大きければ大きいほど、そして伝えたい遺産分割法があるほど、ミスをすることは故人にとっても相続人にとっても痛恨になります。

なぜなら、相続トラブルの引き金になる可能性があるからです。

要件ミスをなくしたい。

確実性の高い遺言書は作りたい。

今回はそんなニーズに応える公正証書遺言についてお話しします。

 

公正証書遺言の基礎!公証役場ってなに?

公正証書遺言とは、公証役場で作成する遺言書のことです。

公証役場で作成する遺言には二つのパターンがあり、

  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

という形でわけて呼ばれることが一般的です。

それぞれの中身については後述します。

どちらの遺言書も公証役場で作成することから、中身が厳密には違っていても、

  • 公証役場で作る遺言書
  • 公正証書の遺言書

と呼ばれることがあります。

確かにどちらも公証役場で作る遺言書ですので間違ってはいません。

公証役場とは、主に法的な効力のある書類を作成する場所です。

よく契約書を作成する人は足を運ぶ機会も多いことでしょう。

しかし反対に、普段あまり契約書を自分で作らないという人にはほとんど馴染みのない場所かもしれません。

公証役場は各地の自治体にあります。

公証役場には法律のプロである公証人がおり、主に法的な書類作成の相談に乗ってくれます。

また「こんな書類を作りたいのですが」「代わりに作っていただけますか」「こんな内容にしたいのですが文面はどうしたらいいでしょうか」という相談や書類作成の代行を行ってくれます。

 

自分で作成できる遺言書をなぜ公証役場で作成するの?

公証役場で作ることができるのは、

  • 契約書
  • 遺言書
  • 定款

などです。

しかし、ここで多くの人は疑問を覚えるのではないでしょうか。

遺言書や契約書を作る時は別に公証役場で作る必要はないのではないか、と。

確かに、普通に生活していて契約書を書くとしても公証役場にわざわざ足を運ぶ機会はまずありません。

遺言書は自筆証書遺言という自分で作成できる遺言書形式があるのですから、

いちいち公証役場に足を運んで書類を作る必要はあるのか?

と思ってしまいますね。

確かに、遺言書や契約書を作成するためには、必ずしも公証役場に手助けをしてもらう必要はありません。

契約書を作成する場合にインターネット上からダウンロードした雛形を使い、記名押印してもらってもそれは立派な一枚の契約書です。

公証役場が介在しなければ法的な効力がある契約書が作れないというわけではありません。

では、なぜわざわざ公証役場で契約書や遺言書を作るのでしょう?

公証役場に手助けしてもらうと、所定の手数料が必要になります。

自分でも作成できる書類をわざわざ公証役場に作るってもらう意味はあるのでしょうか。

 

公証役場で遺言を作成するメリット、費用は掛かるが確実

もちろん意味はあります。

公証役場の公証人は法的な書類作成のプロですから、法的な要件の不備ということがほとんどありません。

遺言書を作成するにも、自分で作成すると後で要件不備であったということもあり得ます。

対して公正証書遺言であれば、法的な書類作成のプロである公証人が

  • 相談
  • 文面
  • 書類作成

までサポートしてくれますから、後でミスが発覚するということがほとんどないのです。

特に遺言書は要件不備があると無効になってしまいます。

不備があっても亡くなった人に確認するわけにはいかないわけですから、

  • 遺言書の不備がない
  • 無効になる可能性が限りなく低い

ということは相談・報酬などの費用を払うに足るメリットであることでしょう。

この他に、条件を満たした公正証書は裁判の判決や調停の調停調書をもらわなくても即座に強制執行ができるというメリットもあります。

遺言書においてはほとんど関係のないメリットですが、作るのがお金の貸し借りの書類の場合、この即座に強制執行できるというメリットはとても大きいものになります。

公証役場で書類を作成することには、このように意味があるということですね。

参照:
http://www.courts.go.jp/

 

公証役場で作ることのできる2種類の遺言書

公証役場で作成することのできる遺言書には二つの種類があります。

  • 一つは「公正証書遺言」
  • もう一つが「秘密証書遺言」

です。

両者のどちらを作成しても公証人が介在するため、公正証書として作成することができます。

二種類の遺言書の大きな違いは、中身を秘密にするかどうかです。

 

公正証書遺言とは

公正証書遺言は公正証書で作る中身を秘密にしない遺言書です。

公正証書遺言の作成には証人も関わります。

やり取りも「秘密ではない」という前提で行われますので、証人に中身が知られる他、家族にもやり取りが知られてしまう可能性があります。

  • 遺言書の中身を証人などに知られても差し支えない
  • 遺言書を公正証書で作成できれば問題ない

という人に向く遺言書です。

参照:
http://www.abe-gyoseioffice.com/

 

秘密証書遺言書

秘密証書遺言も公正証書として作成されます。

ただしこちらは名前通り、遺言書の中身を極力秘密にしておきたい人向けの遺言書になります。

遺言書の中身は自分で作成し、公証役場の関与のもとで封をします。

名前通り極力秘密として作成されますので、やり取りを注意してもらえるほか、証人にも知られないというメリットがあります。

遺言書の中身を知られてしまうと、生前に相続争いの可能性があるという場合に使える遺言です。

参照:
http://www.tokyo-intl.com/

 

公正証書遺言の費用相場

公正証書遺言を作成するには、

  • 内容を秘密にしたい
  • しなくていい

を問わず費用が必要になります。

  • 弁護士
  • 司法書士

に相談しても基本的に費用が必要になりますよね。

もちろん公証人も法律のプロですから、遺言書の作成を手伝ってもらうには相応の費用が必要になるのです。

  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

作成費用目安は数万円~です。

遺産の額によって変わってくるため、一概にいくらと言い切ることはできません。

遺産が高額になればなるほど費用も高額になります。

加えて、公正証書遺言・秘密証書遺言とも証人が必要になります。

証人を用意してもらうためにはやはり費用が必要になります。

各種の手数料や証人の費用を総計して数万円~が相場といったところです。

自分のケースではどれくらいの費用が必要になるか気になる場合は、事前に公証役場に確認しておくといいでしょう。

弁護士や司法書士に間に入ってもらい、遺言書作成を代理してもらうと、別途、

  • 弁護士費用
  • 司法書士費用

が必要になります。

 

最後に

公正証書遺言とは、公証役場という法的な書類の作成やアドバイスをしてくれる場所で作成する遺言書のことです。

  • 内容を秘密にして進めるか
  • それとも一部の人に知られることを許容した上で進めるか

によって、公正証書遺言と秘密証書遺言にわかれます。

確かに遺言書は費用を限りなく抑え自筆で作ることもできるのですが、

時に「作ったのはいいけれど要件を満たしておらず無効になってしまった」などのトラブルが発生することがあります。

その点、公正証書遺言には公証人が関与するので安心して作ることができます。

遺言書失敗のリスクを減らしたいのであれば、弁護士や司法書士にも相談し、自分に合った遺言書を選ぶことが大切です。