裁判所と言うと、犯罪者が裁判で裁かれる場所というイメージがあります。

あるいは、民事の裁判で泥沼の争いを演じている場所と感じる方もいるでしょう。

そのような印象で、裁判所というだけで、ちょっと身構えて考える人も多いかともいます。

ただ、実はその中でも家庭裁判所が、私たちに大事な手続きが行える場所だというのはあまり知られていません。

家庭裁判所が訴訟までいかない争いを

  • 間に立って調整
  • または判断したり
  • 様々な権利関係の手続き

もできます。

特に相続に関してはいくつも手続きができるため、家庭裁判所とは非常に縁が深いと言えます。

皆様も気になる家庭裁判所でできることや費用を、まずご一緒に確認していきましょう。

 

相続がらみ他、家庭裁判所の仕事は裁判だけじゃない!

家庭裁判所は裁判だけをやるわけではありません。

家庭裁判所でする相続に絡む手続きは、非常に沢山あります。

その中で代表的なのが、

  • 調停
  • 審判

です。

相続に絡む手続きも、裁判以外でほぼこの二つに分けられます。

家庭裁判所でする調停や審判の手続きとはどういうものなのでしょうか?

 

相続に絡む調停とは何か?

調停とは基本、当事者同士では冷静になれないので、第三者である家庭裁判所を利用して話し合う手続きです。

相続に関連しては、下記のような種類の話が調停で話し合いできる内容になります。

  • 遺産分割に伴い相続人間での話し合い
  • 遺産分割に伴い、特別寄与分についての話し合い
  • 遺留分減殺請求をした場合の、不足分を回収するための話し合い
  • 遺産に関わる紛争についての話し合い

調停でまとまらなかった場合は、審判や裁判へと進む場合があります。

 

相続に絡む審判とは何か?

では、相続に関する調停が話し合いなのに対して審判とは何なのでしょうか?

裁判所が審査して、ある一定の判断を下せるものです。

それは法的にも効力が大きく、戸籍にも影響を与える決定が、審判というものになります。

当事者同士で決められなかったり、自分たちの意志を認めて確定させてもらう等様々な方向性で審判が影響してきます。

  • 相続放棄
  • 限定承認
  • 遺留分放棄
  • 相続財産管理人の選任
  • 遺言書の検認

など、家庭裁判所が要望を認めたり、確定させたり、何らかの判断を下すタイプのものになります。

では、それぞれの手続きで若干変わってくるかと思いますが、

まずは調停の具体的な必要書類と費用を今から見ていきましょう。

 

家庭裁判所での相続に関わる調停と必要な書類

家庭裁判所の調停は、中立な第三者として

  • 裁判官(家事審判官)
  • 調停委員で構成それる調停委員会

が、申立人話し合いが必要な相手とそれぞれから話を聞きます。

聞いた上でお互いの納得いくように話を調整したり、解決する方法の提示等で、話し合いで穏やかに解決を目指すものです。

調停は法廷での裁判や審判と違い、あくまで話し合いであるため、裁判所が何か判断を下すということではありません。

調停において裁判所は独立かつ中立の立場で話を行い、どちらかの肩を持つものではありません。

また、その内容が漏れたり、調停室が公開されることもありません。

調停でまとまらなかった場合は、家庭裁判所で審判に移行して相続に向けての手続きをしていくことができます。

 

調停の流れを例として遺産分割調停で見る

調停は一定の人の間で話し合いをすることで、何らかの解決がある場合にのみ行えます。

まず、例として遺産分割の調停の場合は、

  • 相続人の一人
  • 全体から割合を決めて遺贈される包括受遺者

が申立人となれます。

申立人以外の相続人等の当事者は、全て話し合いの必要がある相手方とされます。

その申し立ては、

  • 相手の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 相続人の中、当事者たちで決めた家庭裁判所

に行います。

これは、審判の場合は少し違い被相続人の住所地の管轄もしくは当事者で決めた家庭裁判所になります。

遺産の範囲が確定していることがまず必要です。

ただ、

  • 遺言書
  • 遺産分割協議書

が既にあって、財産の振り分けが既に明確である場合は、調停をする余地はありません。

さらに、調停を行うには相続人が確定しており、その全員が当事者として参加する必要があります。

未成年の場合は本来親権者が当事者の代理人となります。

ただ同じ立場の人が複数いる場合は利害がぶつかるため他の代理人が必要となります。

その他行方不明者や自分で判断する能力がない人には、

  • 不在者財産管理人
  • 成年後見人

といった代理人を用意する必要があります。

養子や結婚の無効が絡み、相続人が未確定の場合訴訟等で、確定してからでないと調停は行えません。

遺産分割調停は、

  • 話し合うべき相続人がはっきりして全員参加できる
  • その話し合いによって何か得られるものがある

場合に調停の申し立てができるのです。

 

遺産分割調停に際し、必要な書類と費用

遺産分割の調停の必要書類は

  • 遺産分割申立書
  • 当事者目録
  • 遺産目録
  • 相続関係図
  • 申し立ての実情
  • 特別受益目録
  • 被相続人の一生分の除籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票
  • 相続人全員の住民票

といった書類を用意します。

その他財産目録の内容を証する書類として、

  • 登記事項証明書
  • 固定資産税評価証明書
  • 預貯金の残高証明書の写し

等が、場合に応じ必要となります。

また、手続きには印紙が必要であり、連絡のための切手も必要となります。

・収入印紙 被相続人人数×1200円
・郵便切手 500円×当事者数×2、100円×当事者数×2、500円×当事者数×2
82円×20、10円×20、2円×10、1円×10
(相手が5人を超える時は1名毎に82円、10円、2円、1円は2枚ずつ追加)

収入印紙や郵便切手以外に必要な費用としては、

  • 戸籍謄本(除籍謄本)
  • 住民票(除票)
  • 固定資産税評価証明書
  • 登記事項証明書

等を用意するのに発行手数料がかかります。

これらの書類は発行3ヶ月以内のもので原本が必要となります。

参照:
http://www.courts.go.jp/

 

相続に関し家庭裁判所の調停でできないこと

預貯金等の財産が、相続人の一人に勝手に使いこまれていたなどで、

正当な権利として相続財産の返還本来の分配を望む場合は、家庭裁判所の調停ではできません。

不当利得返還訴訟という裁判を地方裁判所や簡易裁判所で起こす必要があります。

また、財産の所有権がはっきりしていないものが、相続財産に含まれると考える場合も、遺産確認の訴えという裁判起こす必要があり、調停することはできません。

 

相続に絡む審判

審判とは裁判まではいかないものの、

  • 裁判官が話し合いの内容
  • 調査結果
  • 書類その他

を根拠に一定の判断を下す手続きです。

個人間の話し合いや、家庭裁判所での調停とまらなかった時に、審判手続きをすることになります。

相続に関連しては下記のような種類の話が、家庭裁判所の審判で判断を仰ぐことができます。

  • 相続放棄の手続き
  • 相続を限定承認する時の手続き
  • 相続の承認もしくは相続放棄できる期間の伸長
  • 相続財産管理人を選任する時
  • 家庭裁判所が遺言書の検認をする時
  • 遺言執行者を選任するための手続き
  • 相続財産管理人がいる場合に、特別縁故者の相続財産分与をする手続き
  • 遺留分放棄に対する許可
  • 遺留分の算定に対しなされた合意の許可

相続に絡んで被相続人が生前あるいは遺言書で行う相続廃除も、家庭裁判所で行う審判手続きになります。

これは調停が行われる場合もあります。

審判のいいところは裁判ほど大きな費用がかからないのに、

裁判の判決と同様の効果が得られ、その調書が様々な手続きに使えます。

費用として基本は、

  • 印紙代800円
  • その他切手代や必要書類の発行手数料

となります。

審判でどうしても納得できない場合は、審判結果が出て2週間以内に即時抗告で高等裁判所での審理を求めることができます。

それでも遺産分割がまとまらない場合は、裁判をすることになります。

具体的に相続放棄と限定承認で、審判にかかる費用や手続き内容を見てみましょう。

 

相続放棄は1日でできる、必要な書類と費用

相続関連の家庭裁判所で行う手続き、ニーズとして大きいのは相続放棄です。

これは話し合いをする訳ではなく、結果が効力を持つので、審判手続きとされています。

相続放棄にかかる費用は、自分でやる限りは多くありません。

  • 収入印紙、相続人一人800円
  • 切手代 400円前後、手続きする裁判所毎に差違あり
  • 被相続人の住民票の除票、300円前後が多いが、自治体毎に差違あり
  • 戸籍謄本450円
  • 除籍謄本750円

他に書類が必要な場合もありますが、相続放棄申述書を出すのに、

必要な費用はおおむね3000円程度ですむこととなります。

また、全ての書類を一日で役所を回り自分で手続きすれば、相続放棄の手続きそのものは1日で終わるのです。

受理通知書が1週間程度で家庭裁判所から送られてきて、相続放棄が認められたということになります。

相続放棄は比較的簡単な手続きです。

他に委託して書類集めや手続きをしてもらうとその分費用はかかってきます。

安くあげるのであれば、自分で手続きした方がいいのが相続放棄です。

ただ、相続放棄には3ヶ月の熟慮期間があります。

それを過ぎての相続放棄は、認められない場合がありますので、

まずお金はかかっても専門家に相談し手続きをしてもらった方が、相続放棄の可否も含めて不安とトラブルを減らすことができます。

 

限定承認は時間がかかる、必要な書類と費用

家庭裁判所でできる相続関連の手続きで相続放棄と比較されるのが、

プラスの財産の範囲でのみマイナス財産を返済する限定承認です。

これは家庭裁判所で審判手続きに分類されます。

一見便利そうな限定承認、実は行う人が少ない手続きです。

それは限定承認が相続放棄と比べて非常に複雑で難しいからです。

そのため、専門家に頼む必要が高く、その分費用もかかってきます。

書類を揃えて出したら終わりではなく、

  • 相続財産管理人を選任したり
  • 公告を出して相続人を探す

必要があります。

また、相続放棄は相続人一人でできますが、限定承認はその性質上相続人全員で行う必要があります。

  • 収入印紙、相続人一人800円
  • 切手代 手続きする裁判所毎に差違あり
  • 被相続人の住民票の除票、300円前後が多いが、自治体毎に差違あり
  • 戸籍謄本450円
  • 除籍謄本750円

他にも必要とされる書類が出てくる場合があります。

また、これ以外に

  • 官報公告の掲載料
  • 被相続人の準確定申告による所得税納付
  • 相続財産管理人への支払手数料
  • 債権者への催告を行う際の内容証明郵便などの郵送料

といった費用がかかってきます。

もちろん、手続きを専門家に依頼したことに対する手数料もかかってきます。

手続き上官報公告期間が2ヶ月以上と指定されている途中過程も含め、限定承認の手続きそのものも何か月もかかってきます。

  • 相続放棄に比べ手続きが複雑
  • 費用も期間もかかる

ことはご理解いただけるかと思います。

このように審判手続きは、裁判よりは費用はかからないといっても、手続きによっては時間と費用がかかるものもあります。

わからない時は弁護士等の専門家に相談し、どう手続きをしてどう費用がかかるか確認してから進める方が後で困ることが少なくなります。

 

家庭裁判所、裁判になった時の費用はどうなるのか?

家庭裁判所での裁判になった時は、基本訴訟で負けた側が必要費用を負担することになります。

  • 収入印紙
  • 郵便切手代
  • 証人に支払う日当
  • 交通費

も含まれます。

弁護士費用は基本訴訟の際の必要費用ではありません。

ただ、裁判になる状況では頼むのが一般的です。

その場合は成功報酬としてその訴訟でとれた金額や、手付金から事務所毎に費用が変わってきます。

それなりにまとまった費用が必要になるため、皆が使えるわけではありませんが、様々な支援制度があります。

裁判所では訴訟費用の支払が猶予できる制度があります。

ただ明確に勝訴できない場合には利用できないようになっています。

また、法テラス(日本司法支援センター)で、審査が必要にはなりますが、

弁護士費用を立て替えてもらう制度も利用できます。

裁判になった時の費用は、千差万別となります。

相続でもめてご不安な場合は、法テラス等で弁護士にまず相談してから動くことが大事となります。

 

相続がまとまらない時は、家庭裁判所を利用しよう!

  • 家庭裁判所でできること
  • 費用

はご参考になりましたでしょうか?

このように、家庭裁判所は上手に使えば、相続がまとまらない時に強い味方になります。

ただ、沢山の手続きができる分、手間が多いもの少ないもの、費用が高いもの安いものと様々です。

家庭裁判所での費用や手続きの複雑さなどは、先に知っておいた方が選択肢を選ぶ際に賢明です。

相続がまとまらない時、まずは弁護士などの専門家に相談してみてください。

家庭裁判所で行う手続きについてどれくらいの費用がかかるかも含めて、その人に合わせて教えてくれます。

身内だけではまとまりづらい相続、家庭裁判所を上手に利用することが、うまい着地点を探すことにもつながるのです。