遺言書にはいくつかの種類があります。

中でも特に馴染み深いのは、自分自身で手書きする自筆証書遺言ではないでしょうか。

自筆証書遺言の要件は

  • 自筆(自書)
  • 押印
  • 記名
  • 年月日の記載

です。

この要件さえおさえておけば10分で作ってしまうことができます。

自分の遺言の内容を書いて、完成したら名前と日付を入れて判子を押すだけ。

しかもこの判子は実印でなくても遺言書としての効力は失われないとあって、自筆証書遺言は遺言書の中でも簡単お手軽な部類に入ります。

法学部の学生が遺言書を勉強する時にまずはこの自筆証書遺言について勉強するのではないでしょうか。

遺言書の中でも基本となる遺言書です。

今回は遺言書の中でも最も有名な遺言書である自筆証書遺言の

  • メリット
  • デメリット

について迫ります。

遺言書の中で最も身近で自分でも簡単に作ってしまえるこの遺言書を相続対策として使う上で覚えておきたい知識です。

 

自筆証書遺言のメリットとは

自筆証書遺言とは、言葉通り「自筆」で作成する遺言書のことです。

この自筆とは非常に狭い意味で、自分で作ればいいという意味ではなく、

自分の手で書いてくださいという意味です。

日付は年月日で、記名は自分の名前です。

後は判子を押すだけとあって、遺言書の中でも最もお手軽に作れてしまう遺言書です。

そう、遺言書について知識を持っている人であれば、10分でこの自筆証書遺言を作ることができるでしょう。

自筆証書遺言のメリットはまさにこのお手軽さに起因するものなのです。

以下に自筆証書遺言の3つのメリットを順番に見ていきましょう。

  • ①簡単に作れる
  • ②失敗してもすぐに書き直せる
  • ③費用が安い

 

自分の部屋で作れる!簡単というメリット

先ほどから何度も

  • 自筆証書遺言は手軽に作れる
  • 知識がある人なら10分で作れてしまう

という話をしています。

この簡単に作れてしまうところが自筆証書遺言のメリットです。

遺言書という名前を耳にすると、どうしても厳格な法律上の書類というイメージを抱いてしまうことでしょう。

確かに遺言書は法的な要件を満たしていなければ無効です。

しかしその要件は主に前述した4つであるため、

公正証書遺言などのように公証役場に足を運んで作る必要がありません。

自分の部屋で紙とペンと判子を用意して、さらさらと内容を書き付け、記名押印をして年月日を書き入れるだけです。

  • 紙は高級な紙を使わなければならない
  • 筆記用具も、墨でなければいけない

なんていう決まり事はありません。

自分の部屋にあるメモ帳とボールペンで簡単に作れてしまうのが自筆証書遺言の第一のメリットなのです。

参照:
http://souzoku.yabuuchi-office.com/

 

費用が安いというメリット

チラシの裏に書いても、法律上のルールさえ満たしていればOKです。

中には紙や筆記用具にこだわりのある人もいることでしょう。

特にこだわりがなければ、自筆証書遺言は殆ど費用を掛けずに作成できてしまいます。

新聞の折り込みチラシの裏に遺言の内容を書き、法律のルール通りに

  • 名前
  • 押印
  • 年月日

の記載を入れる。

筆記用語は家にあるもらいもののボールペンなどを使ってしまえば、思い立った時に材料費ゼロで遺言書を作ることも可能なのです。

公正証書遺言はどうしても公証役場で作成しなければならないという関係上、

大体数万円からという費用相場になります。

  • 司法書士
  • 弁護士

に依頼するとこの相場費用にさらに報酬が加算されます。

また、遺産額に従って遺言書の作成費用が変わってくるため、遺産が多いと、遺言書の作成費用もさらにお高い金額になることでしょう。

秘密証書遺言も同じく公証役場への支払いが必要になるため、費用がかかります。

それを考えると、手元の紙とペンと印鑑で作れてしまう自筆証書遺言はとても懐に優しい遺言であるといえるのではないでしょうか。

参照 :
https://www.gyouseishoshi-everest.com/

 

訂正は法律通りに!けれど書き直しは楽

簡単に作れて費用も徹底的に安くおさえることができるということは、失敗しても簡単に作り直しできるということでもあります。

公正証書遺言は後で心変わりするなどして作り直しとなると、再び費用が必要になります。

しかし自筆証書遺言は材料費をほとんどゼロ円で作ることもできるわけですから、

後で心変わりをしても「また作り直せばいいや」と気楽に考えて作り直しが可能です。

これも自筆証書遺言の大きなメリットなのです。

余談ですが、遺言書は心変わりなどの理由により丸ごと作り直すことも可能ですが、修正を施すことも可能です。

既に作ってある遺言書に対し法律に則った加除のルールで訂正することができるのです。

しかしこの訂正は面倒であるため、費用をおさえて制作が可能な自筆証書遺言においては作り直しをすることも少なくありません。

文面が少なければ「加除ルールに従って訂正するより書き直した方が早い」と思うかもしれないですね。

実際に、その通りであることも多いようです。

参照:
http://www.asahi-net.or.jp/

 

自筆証書遺言のデメリットとは

今度は自筆証書遺言のデメリットについて考えてみましょう。

自筆証書遺言はとにかく手軽であり、公正証書遺言などの比べると費用をおさえることもできるというメリットがあります。

作り直すにしても費用負担が少なく有り難いという話もしましたね。

遺言書を作りたくても費用が気になってしまう、簡単に作りたいという人にとって自筆証書遺言はもってこいの遺言書なのです。

しかし、この「簡単(手軽)」さはデメリットにもなります。

  • ①遺言書として使えない可能性
  • ②検認が必要
  • ③遺言があっても諍いの可能性

自筆証書遺言のデメリットは、メリットと同じく手軽さに起因するものなのです。

 

自筆証書遺言のデメリット①折角作ったのに使えない?

実は、自筆証書遺言には、この「せっかく作ったのに使えなかった」という困った事態がよくあるのです。

簡単に作ることはできますが、自筆証書遺言は法律上のルールに則っていなければいけません。

則っていなければ無効です。

自分では法律の要件を満たしたつもりでいても、実は欠けていたということもよくあることです。

また、自筆証書遺言で気をつけなければならないのは法律上のルールだけではありません。

自筆証書遺言については、様々な判例があります。

二人で一つの紙を使って一緒に遺言をしたという共同遺言は、

たとえ自筆や押印、記名捺印といった要件がそろっていても、

判例では「駄目です」

という判断が下っています。

自筆証書遺言は簡単にできると考えて、うっかり判例で「駄目」といわれている失敗を犯してしまう可能性があります。

遺言は死後に効力を持つわけですから、死後に「実はルール違反だった」ことがわかったとしたら取り返しがつきません。

自分が望む形で遺産分割したいから遺言書を作ったのに、これでは意味がありません。

参照:
http://www.nagareyama-park.com/

https://www.o-basic-souzoku.net/

 

自筆証書遺言のデメリット②検認が必要

もう一つのデメリットは、自筆証書遺言は検認という手続きが必要になることです。

検認とは、遺言者の死後に裁判所に遺言書を確認してもらう手続きのことです。

公正証書遺言は法律の専門家である公証人が手伝って作っていますから、この検認という作業は必要ありません。

自筆証書遺言は法律の専門家以外でも簡単に作ることができるからこそ、遺言者の死後に裁判所での手続きが必要になるのです。

検認は相続人が手続きすることになりますので、

  • 作るのは簡単だけれどその後が面倒
  • 相続人が大変

な遺言書であるというデメリットがあります。

参照:
http://www.courts.go.jp/

 

自筆証書遺言のデメリット③遺言があっても相続が争族に

自筆証書遺言があっても、相続で揉めてしまう可能性があるというデメリットがあります。

公正証書遺言であれば公証人が介在していますので、「実際に本人が作った」という点で揉めることは少ないといえます。

しかし自筆証書遺言の場合、改ざんなどを相続人が疑う可能性があります。

簡単に作れてしまうからこそ「本物なの?」という疑いも生じかねません。

 

最後に

自筆証書遺言のメリット、デメリットについてお話ししました。

  • 費用を安くおさえることができ
  • 自分でも簡単に作ることができる

というメリットは嬉しいものです。

しかし、簡単に作れてしまうからこそ、法律や判例の見落としがあり、無効になってしまうというリスクがあります。

遺言は相続対策に有効ですが、無効になっては対策にも何もなりませんね。

もちろん自分で作っても構いません。

しかし、自分で作るとしても、法律家の無料相談などを活用してミスなく相続対策をしたいですね。