遺族年金とは、被保険者が死亡したときに、残された遺族に対して支給される公的年金のことです。

でも、「遺族年金ってどうやって受け取れるの?」と疑問に思う人も多いはず。

そこで今回は、遺族年金を受け取る手続き方法や受給額について詳しく解説しています。

遺族年金を受け取るには5年以内に申請しなければならないので、この記事を参考にして、できるだけ早く手続きを済ませてしまいしましょう。

遺族年金とは

遺族年金とは、被保険者が死亡したときに、残された遺族に対して支給される公的年金のことです。

遺族年金には2種類あります。

死亡した被保険者が自営業などで国民年金加入者だった場合は、遺族基礎年金

死亡した被保険者が会社員や公務員で厚生年金加入者もしくは共済年金加入者だった場合は、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金を受給することが可能です。

もちろん、年金の種類によって受け取る条件や金額が変わってきます。

遺族年金を受給できる条件と遺族年金でもらえる金額を確認していきましょう。

1-1.遺族基礎年金の受給条件と受給額

遺族基礎年金とは、18歳未満の子どものいる配偶者と18歳未満の子どもに対して支給されます。(障害等級1級もしくは2級の場合は20歳未満)

つまり、遺族年金は、子供が成長するまでもらえる遺族年金なのです。

支給される条件や受給額を詳しく確認していきましょう。

(1)遺族基礎年金の受給条件

遺族基礎年金がもらえる条件を以下の表にまとめましたので、確認しましょう。

給付条件
・加入期間の2/3以上が保険料納付済期間であること
・支給対象に年850万円以上の収入または年655万5千円以上の所得がないこと
・支給対象が、亡くなった人によって生計が維持されていた場合
給付対象
・18歳未満の子どもがいる妻・夫
・18歳になった年度の3月31日を超えていない子ども(1級・2級障害者なら20歳未満)
支給期間
・子どもが18歳になるまで(18歳の年度末まで)
※夫・妻の死亡時に30歳未満だった配偶者が受け取る場合は、遺族基礎年金の受給資格を失ってから5年間

基本的には、どんな人も国民年金保険に加入しているので、条件が合えば必ず利用できる制度となっています。

必ず確認すべきなのは、18歳未満の子どもがいるかという点です。

18歳未満の子どもがいれば、受給できる可能性が高いので、市区町村役場の年金担当窓口に問い合わせてみましょう。

(2)遺族基礎年金の受給額

受給額は子どもの人数によって、変動します。

年金額は779.300円に、子どもの人数によって加算されていくという計算方法です。

779,300円+子の加算

子の加算は、第1子・第2子には各224,300円、第3子以降は各74,800円となります。

表にまとめると以下の通りです。

18歳未満の子どもの人数 給付額
1人 年間1,004,600円(780,100円+224,500円)
2人 年間1,229,100円(780,100円+224,500円×2)
3人 年間1,303,900円(780,100円+224,500円×2+74,800円)
4人以降 年間1,303,900円+4人以降の子ども1人につき74,800円

18歳未満の子どもが何人いるかによって、支給額は変動しますので注意しましょう。

1-2.遺族厚生年金の受給条件と受給額

遺族厚生年金とは、子どもがいる・いないに関わらず、残された遺族に受給される遺族年金です。

支給される条件や受給額を詳しく確認していきましょう。

(1)遺族厚生年金の受給条件

遺族厚生年金がもらえる条件を以下の表にまとめましたので、確認しましょう。

給付条件
・加入期間の2/3以上が保険料納付済期間であること
・支給対象に年850万円以上の収入または年655万5千円以上の所得がないこと
・支給対象が、亡くなった人によって生計が維持されていた場合
給付対象
・妻
・子ども
・孫
・55歳以上の夫
・55歳以上の父母
・55歳以上の祖父母
※(支給開始は60歳で、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせた受給になる)
支給期間
【妻】一生涯
※夫の死亡時に30歳未満だった妻が受け取る場合は、遺族厚生年金の受給資格を失ってから5年間【子ども・孫】18歳の年度末まで※(1級・2級障害者なら20歳まで)
【夫・父母・祖父母】60歳から一生涯

遺族基礎年金とは違い、18歳未満の子どもがいなくても、残された遺族は遺族年金を受け取ることが出来ます。

18歳未満の子どもがいる場合には、遺族厚生年金に遺族基礎年金が加算されて支給されるのです。

注意しなければならないのは、対象者全員に支給されるわけではないという点です。

子どもがいる配偶者→子ども→子どものいない配偶者→父母→孫→祖父母、という優先順位で、支給されます。

(2)遺族厚生年金の受給額

遺族厚生年金の受給額は、死亡した本人が本来受け取るはずだった厚生年金のおよそ3/4です。

例えば、被相続人が厚生年金の毎月の受給額が16万円だったとき、遺族厚生年金は9万円となります。

詳しい受給額が知りたいときには、住んでいる地域の都道府県の年金事務所に問い合わせましょう。

また、18歳未満の子どものいない妻が40歳以上だった場合、65歳になるまでは特別な手当てがあります。

中高齢寡婦加算といい、年間585,100円が増額されるのです。

遺族年金の手続きの期限はいつまで?

遺族年金を受け取るためには、遺族年金の申請が必要です。

遺族年金の請求の時効は受給権が発生してから5年となっています。

つまり、被保険者が死亡したと診断されてから、5年以内に申請しなければなりません。

遺族年金の受給が出来なくなると、生活が大変になる人もいるはずです。

必ず早めの手続きを行いましょう。

遺族年金の手続き方法

遺族年金は5年以内に申請しなければ、受給することが出来ません。

では、「一体どうやって申請すればいいの?」と疑問に思う人がいると思います。

遺族基礎年金と遺族厚生年金では、申請する場所が異なるので注意して下さい。

自分に当てはまる箇所をしっかりと確認していきましょう。

3-1.遺族年金の申請場所

まずは、遺族基礎年金と遺族厚生年金で申請する場所が変わります。

それぞれの場所を確認していきましょう。

(1)遺族基礎年金の申請場所

遺族基礎年金だけを申請する人は、住んでいる地域の市区町村役場の年金担当窓口で申請しましょう。

(2)遺族厚生年金の申請場所

遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給者の申請場所は、住んでいる地域の都道府県の年金事務所となります。

最寄りの年金事務所が分からない場合は、日本年金機構のホームページから、確認することが可能です。

3-2.遺族年金の必要書類と取得方法

遺族年金を申請するためには、亡くなった被保険者が家計を支えていたことを証明しなくてはなりません。

そのため、受け取る家族の収入が確認できる書類や被保険者と家族の関係を証明する書類などが必要です。

全員が必要な書類と死亡原因によって必要な書類に分かれますので、しっかりと確認しましょう。

(1)全員が必要な書類

以下の書類は必ず必要な書類です。

死亡の事実や死亡者との続柄、請求者の収入などを確認する書類が求められます。

書類名 備考
年金手帳  ―
死亡者と請求者の続柄が分かる戸籍謄本 6ヶ月以内の交付
世帯全員の住民票の写し  ―
死亡者の住民票の除票   ―
請求者の収入が分かるもの 所得証明書や課税証明書、源泉徴収票など
子どもの収入が分かるもの 義務教育終了前は不要・高等学校に在籍している場合は学生証など
死亡診断書のコピー 死亡の事実と死亡年月日を確認するため
金融機関の通帳 受給のための金融口座・請求者本人名義のもの
印鑑 認印でも可

(2)交通事故など第三者による死亡の場合に必要な書類

交通事故などの事故・事件に巻き込まれ、第三者の行為による死亡の場合には、別途書類が必要です。

傷害や殺人の場合にも当てはまります。以下の表を確認して下さい。

書類名 備考
第三者行為事故状況届 書式はこちら
交通事故証明など事故が確認できる書類 確認書申請場所で取得被害者に被扶養者がいる場合、扶養されていたことが分かる書類源泉徴収票や健康保険所の写しなど
損害賠償金の算定書 すでに決定済みの場合のみ

ここでのポイントは、第三者行為による死亡である場合、事故の相手から賠償金や給付金を受け取っている場合があることです。

この場合、遺族年金は一定期間支給停止となります。

遺族年金の支給停止期間は、受け取った賠償金によって変動しますが、最長でも24ヶ月です。

詳しい期間については、パターンによって変わるため、申請する窓口に確認を取りましょう。

遺族年金の手続きから支給開始までの流れ

「申請後はいつから遺族年金を受け取るの?」と不安ですよね。

遺族年金を申請してから定期受け取りまでには、約4ヶ月かかります。

この章では遺族年金の申請から受け取りまでの流れを確認していきましょう。

5-1.年金証書・年金決定通知

日本年金機構から、年金証書・年金決定通知が送られてきます。

申請後、約60日後に家に郵送されてきますので、特に申請者がすることはありません。

年金証書・年金決定通知には、受給資格を取得した旨が記載されています。

5-2.初回受取り

初回受取は、年金証書・年金決定通知が送られてきてから、50日程度経ってからです。

年金振込通知書および年金支払通知書が届きます。

原則として、受け取り開始年月から直前の受取月の前月分までが支給されます。

5-3.定期受け取り

年金の受け取りは、2ヶ月に一度、偶数月の15日に受け取ることとなります。

15日が、土日祝日の場合には、直前の営業日に振り込みがされているはずです。

分からないことは「ねんきんダイヤル」に問い合わせよう

ここまで読んで、分からないことや不安なことがある場合には、ねんきんダイヤルに問い合わせをしましょう。

平日と第2土曜日は、相談をすることができます。

分からないことや不安な点があるのなら、電話をして、すぐに解決しましょう。

ねんきんダイヤル 0570-05-1165
受付時間 月曜日   午前8:30~午後7:00
火~金曜日 午前8:00~午後5:15
第2土曜日 午前9:30~午後4:00

手元に年金証書などを準備して、電話しましょう。

その他の相続手続きは終わっていますか?

遺族年金の受け取り方について説明してきましたが、家族が死亡してしまうと相続が発生します。

相続をするためには、預金や家などの相続財産の手続きや相続税の申告が必要です。

遺族年金以外の手続きも漏れがないか、チェックをしておきましょう。

  1. 銀行口座の相続手続きについて→『預金の相続手続きはどうやるの?凍結口座を解除する方法を解説』
  2. 家の相続手続きについて→『家の相続の疑問をスッキリ解決!相続人の決定から相続登記まで解説』
  3. 相続税申請の手続きについて→『普通自動車&軽自動車の相続手続きの全て【名義変更~廃車方法まで】』
  4. 家の相続手続きについて→『遺産相続にかかるお金は相続税だけじゃない!相続手続きに必要な費用まとめ』

【Q&A】遺族年金の疑問を解消しよう

最後に、遺族年金に関して、よくある質問をQ&A方式でまとめました。

しっかり読んで、遺族年金の疑問を解消しましょう。

Q1.本人じゃなくても手続き出来るの?

A.委任状を書けば、代理人の手続きでも大丈夫です。

遺族年金の申請は、委任状を書けば代理人が手続きを行うことができます。

原則としては、死亡者の遺族である配偶者や子どもが手続きを行うこととなっています。

しかし、事情があって手続きが出来ない場合には、委任状さえあれば、だれでも手続きが可能です。

このとき必要な委任状は日本年金機構のホームページでダウンロードすることができます。

さらに、以下の書類も併せて必要となります。

  • 代理人の本人確認書類
  • 申請者本人の印鑑
  • 申請者本人の基礎年金番号やマイナンバーが分かるもの

遺族年金の手続きでは、とても重要な個人情報を扱うことになります。

頼める人がいない場合には、資格を持っている社労士に頼むことも選択肢に入れてみましょう。

4~5万円程度で依頼をすることが出来ます。

1人で申請するのが不安という人も社労士に依頼すると安心です。

Q2.内縁の妻も遺族年金をもらえるの?

A.内縁関係者でも遺族年金は受給できる可能性があります。

法律上、婚姻届が受理されていない内縁の関係では、一般的に遺族年金は支給されません。

しかし、国民年金法・厚生年金保険法では、事実上の婚姻関係にある人も遺族年金が受けられる可能性があるのです。

遺族年金の受給において、内縁関係を認定するには、生計を一緒にしていることが証明できるかどうかがカギとなります。

必ず必要となる書類は、生計同一関係に関する申立書です。

この書類には2親等以外の方に第三者証明をしなくてはなりません。

生計同一関係に関する申立書は、日本年金機構のホームページよりダウンロードすることが出来ます。

また、申請者の状況によって求められる書類もありますので、確認しましょう。

(1)健康保険の被扶養者になっている場合

健康保険被保険者証のコピー

(2)給与計算上、扶養手当の対象になっている場合

給与簿または賃金台帳等のコピー

(3)同一の死亡について、他制度から遺族給付が行われている場合

他制度(共済等)の遺族年金証書等のコピー

(4) 挙式、披露宴等が最近に行われている場合

1年以内に行われた結婚式等の証明書または挙式、披露宴等の実施を証する書類

(5) 葬儀の喪主になっている場合

葬儀を主催したことを証する書類
会葬御礼のコピー      など

(6)その他、(1)~(5)のいずれにも該当しない場合

その他内縁関係の事実を証する書類、連名の郵便物、公共料金の領収書、生命保険の保険証など

(1)~(5)に当てはまる場合には、1点の提出で問題ありません。

ただし、(1)~(5)に該当しないときには、書類を複数求められることとなりますので、窓口に相談しましょう。

まとめ

遺族年金とは、被保険者が死亡したときに、残された遺族に対して支給される公的年金のこと。

遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、残された家族の大切な生活費となります。

また、遺族年金を受け取るには5年以内に申請しなければなりません。

この記事を参考に、できるだけ早く手続きを済ませましょう。