遺産分割協議は、相続人の話し合いによって遺産の分割を決める方法です。
名前を聞いただけの印象ではとても難しく厳格な手続きのように感じるかもしれません。
しかし遺産分割協議はルールさえ守れば決して難しいものではありません。
皆さんは役所で手続きをしようとして「こういった書類を書いていただく必要があります」と言われたことはないでしょうか。
書類のタイトルを見るともの凄く難しい印象を受けました。
しかし実際に書類を見てみると、記載欄は記名とシヤチハタ印の押印、住所の記載だけだった・・・こんな経験はないでしょうか。
相続というだけで多くの人は「大変な手続きなのでしょう」「難しいのでしょう?」という印象を受けるようです。
確かに遺産分割協議にもルールがありますので、ルールは守らなければいけません。
今回は遺産分割協議の方法とルールについて5分で簡単解決できるようにまとめてみました。
皆さんは名前の難しさに惑わされていませんか?
遺産分割協議は相続人の話し合いで分割を決める方法
遺言は被相続人が生前に法的なルールに則って記載することにより、
- 遺産の分割方法
- 遺贈、認知など財産や身分
について死後に被相続人の意思を反映させることを目的とした方法です。
死後に意思を伝えるわけですから、「死人に口なし」という言葉があるように、遺言には法律上の厳格なルールが定められています。
このルールを逸脱してしまうとアウト(無効)になってしまうのは有名な話ではないでしょうか。
一例をお話しすると、自筆証書遺言(被相続人が自分自身で記載して作成する遺言)の場合は、
- 自筆(被相続人が自分自身で手書きすること)
- 記名押印
- 日付の記載
が求められます。
今回はこれらを細かく語ることはできませんが、遺言という被相続人の意思で遺産を分割することにもきちんとルールがあるということを、まずは心に留めてください。
その上で、遺産分割協議の話に移ります。
テレビを見ながら話し合ってもOK!ただしルールあり
遺産分割協議は遺言が被相続人の意思で遺産分割をすることに対して、相続人の意思を話し合いという形でまとめて遺産分割をする方法です。
話し合いをするといっても、裁判所でするような格式張った形式である必要はありません。
居間でテレビを見ながら相続人全員が「こうしよう」「OK」で済みます。
もちろん蜜柑を食べながらでもいいですし、ワイドショーについて感想を話しながら何となく会話の流れで遺産分割について決めてしまってもまったく問題ありません。
遺産分割協議は名前が難しいので勘違いされがちで、時に「遺産分割協議をしてみたらいかがですか」という話をすると、
「いいえ、うちは裁判所にお世話になるほど遺産で揉めているわけではないので!」と驚かれる方もいるようです。
名前が難しく厳格な手続きであるという印象を持たれがちなせいで、勘違いが起きることがあるということですね。
ふたを開ければ、遺産分割協議はルールさえ守っていればとても簡単なことなのです。
遺産分割協議のルールとは
遺産分割協議は名前に反してとても簡単にできてしまうのですが、簡単なりにルールがあります。
このルールに則って相続人で話し合いをして遺産分割を決めていなければいけません。
そのルールとは次のようなものです。
- 相続人全員で行わなければならない
- 相続人全員が合意しなければいけない
「え、これだけなの?」と思いませんか。
遺産分割協議といえば、話し合った内容を遺産分割協議書にまとめるといったことも想像するはずです。
確かに遺産分割協議をしたら、遺産分割協議書に話し合いで合意した内容をまとめることが一般的です。
文書という目に見える形にまとめないと、法務局や金融機関の人は「本当に遺産分割協議があったの?」と疑います。
- 金融機関
- 法務局
の人は遺産分割協議に参加しないわけですから、話し合いの内容を形にして示してもらわないとわからないのは当然ではないでしょうか。
相続の手続きには遺産分割協議書が必要になりますが、遺産分割協議書を絶対に作らなければいけないという決まりはありません。
遺産分割協議成立上のルールではないけれど、手続きに必要だから作ることになると覚えておくのがいいでしょう。
遺産分割協議書については、今回はこの程度の解説に留めさせていただきます。
参照:
https://makoto-souzoku.jimdo.com/
相続人全員で!一人でも欠けてしまえばNG
遺産分割協議は「相続人全員」で行わなければいけません。
相続人が全員そろってしなければ、遺産分割協議は無効になります。
なぜかというと、遺産は相続人が五人いれば五人のものであるからです。
皆さんは自分の財布の中の一万円札の処遇を勝手に他人に決められてしまったらどう思いますか。
「勝手に決めるな!」と腹立たしくなりませんか。
遺産分割協議も同じです。
五人のうちの三人だけが遺産分割協議をして遺産すべての権利を持っているわけではありません。
残りの二人の相続分も遺産の中に含まれているわけですから、相続人の一人であっても抜きにして遺産分割協議をすることはできません。
その時に知られていない相続人がいたとしても、「知りませんでした」ではいけません。
もし隠し子がいて相続人が六人であったなら、相続人が五人では一人足りないということになります。
このように、相続人全員で行っていない遺産分割協議は無効です。
ただ、全員で行っていれば、例えそれがテレビを見ながらお茶の間で雑談のついでに行われていても問題はないということです。
参照:
http://www.adachi-souzoku.com/
相続人全員の合意で!ただしメールや電話でもOK
遺産分割協議は相続人全員が合意しなければいけません。
ただし、合意さえすればいいので全員が顔を合わせて確認する必要はありません。
- 長男が実家を相続することに賛成する相続人は挙手(全員が無言で手を挙げる)
- 全員が遺産分割協議の内容に合意したので成立とする
ここまで厳格で会議のようなものである必要はありません。
合意ができれば問題ありませんので、
- 遺産分割協議の内容を記載した書面を送付
- 電話でやり取りしながら判子を押して返信してもらう
という流れでも差し支えありません。
実務上では遠方の親族に先に連絡しておいて、遺産分割協議の内容を書面で確認してもらい判子を押して返送してもらうといったことがよく行われています。
参照:
http://www.adachi-souzoku.com/
最後に
遺産分割協議は名前に反してルールさえ守れば簡単にできる分割方法です。
実際に「長男に田畑と実家を相続させよう」「賛成」というふうに相続人の合意で遺産分割を決めることはよく行われています。
遺産分割協議のルールは相続人全員が参加し、合意することです。
ただし特別な会場を借りて一同に会さなければならないというほど厳格ではなく、相続人全員がきちんと内容を確認して合意できればそれでよしとなります。
遺産分割協議をした場合は相続手続きに遺産分割協議書が必要になります。
遺産分割協議をスムーズに進めるためにも、
- 弁護士
- 司法書士
に介入してもらうと安心です。
書面の記載からやり取りまでお願いすることができますので、相続をスムーズに失敗なく進めたいという方はやはり専門家に依頼するのが一番です。
ただ、依頼するとしても、簡単に遺産分割協議というものを、
- 「相続人全員でしなければいけないのですよね」
- 「相続人全員が合意しなければならないのですよね」
と知っておくと、それだけ司法書士や弁護士の話を理解しやすいことでしょう。