遺産相続にはいくつかの方法があります。

最も一般的な方法は、よく知られた分数を使う分割方法ではないでしょうか。

また、インターネットで相続情報を検索するとよく「借金も相続してしまうから要注意」という情報が出てきます。

実際に法律事務所には、遺産相続で借金というマイナスを受け継いでしまうからこそ「どうしたらいいの?」という相談が非常に多いようです。

相続を経験していない人でも、相続の計算をする分数と借金も相続してしまうということはよく知っているようです。

さて、今回は、相続の中でも「遺産分割協議」についてお話しします。

遺産分割協議はここまででお話しした相続方法とはちょっと違うのですが、日本では主流の相続方法の一つです。

遺産分割協議の方法について考えてみましょう。

 

遺産分割協議とは?

遺産分割協議とは、遺産を相続人の話し合いによって分割割合を決める方法です。

  • 「遺産をどうやってわける?」
  • 「遺産と言っても不動産だからな。兄弟でわけるより兄さんが相続したらどうだ?」
  • 「じゃあ、そうしようか」

こんな感じです。

こんな感じに話し合いで遺産をわけてしまう方法が遺産分割協議なのです。

葬儀が一段落してテレビを見ながらでも、お茶を飲みながらでもいいです。

相続人全員で話し合いをして「じゃあそうやって分けよう」と決めたら遺産分割協議が成立です。

一般的に遺産分割協議の内容は遺産分割協議書という文書に書き残すことになります。

この遺産分割協議書は、

  • 相続登記
  • 金融機関の相続手続き

に必要になりますが、法律上、遺産分割協議書を必ず作らなければいけないというわけではありません。

前述の通り手続きで必要になるから作ることが基本になっているだけです。

相続人全員の話し合いで分割を決めれば、それで遺産分割協議は成立ということになります。

参照:
http://123s.zei.ac/

 

遺産相続で耳にする分数では解決できない相続も

遺産分割といえば「配偶者は1/2」などの分数がとても有名です。

相続を経験したことのない人もこの分数については何となく耳にしたことがある人が多いようです。

具体的にはこんな感じです。

  • 第一順位 被相続人の配偶者、子供
  • 第二順位 被相続人の両親
  • 第三順位 被相続人の兄弟姉妹

この順位に従って遺産相続を行います。

第一順位の人が優先的に遺産を受け継ぐことができ、後順位の人と一緒に相続する場合は先順位の人の方が遺産をたくさん受け取れるような仕組みになっています。

また、相続人のうちでどの順位の人が存在しているかによっても遺産の分割が変わってきます。

  • 子供だけがたった一人の相続人として存在している場合は、遺産はすべて子供へ。
  • 妻と子供が相続人の場合は1/2ずつ。
  • 妻と亡き夫の両親が相続人になる場合は妻が遺産の2/3を受け継ぎ、両親合わせて1/3。

このように、「誰が相続人になるの?」「相続人の組み合わせは?」によって分数が変わってくるわけです。

皆さんが相続と言われて連想する分数はこの分数のことです。

亡くなった方の配偶者や子供は亡くなった人と生計を共にしていた可能性が高いわけですから、その分だけ遺産の取り分が多くなっています。

遺産は「もらってラッキー」というものというより、「亡き人に残される家族の生活のため」という側面が強いからです。

旦那さんが亡くなっても子供と奥さんの生活は続きます。

配偶者と子供の順位が高いのは、亡くなった人の財産で生活を維持する必要性が高いからです。

兄弟姉妹は別に家計を持っている可能性が高いからこそ配偶者や子供より相続順位が低いわけです。

このあたりの分数や相続についての基礎知識を知りたいという方は国税庁のホームページが非常にわかりやすいので、ちらっと見てみてはいかがでしょう。

今回は遺産分割協議についてなので、詳細は割愛させていただきます。

参照:
https://www.nta.go.jp/

 

遺産分割協議のメリットとは?例1

遺産の分割法方としてよく知られているのは前述した分数を使う方法です。

しかし、この方法だけでは時に不具合が出てしまいます。

なぜなら、

  • 分数で分けられたら計算が大変
  • 財産の一部だけ分けられても困る

という人がいるからです。

代表例は相続人がもの凄く多い場合です。

例えばおじいちゃんが亡くなったとします。

おばあちゃんは早くに亡くなっているため、相続人はおじいちゃんの8人の子供たちとなりました。

しかし8人兄弟の中にも既に亡くなっている人がいて、その子供が代わって相続(代襲相続)することになりました。

8人兄弟の中の二人が亡くなっていた場合、6人は相続人になります。

亡くなった2人の兄弟にそれぞれ八人ずつ子供がいれば、相続人は総勢で22人という大人数になります。

しかも子供の子供たち(おじいちゃんにとっては孫)が仕事や家庭の事情で日本各地に散っていたらどうでしょう。

相続手続きや分数計算だけで大変な事態になってしまうことでしょう。

とても大変です。

 

相続人が大人数!計算や手続きが大変という時にメリット

現代社会においてこんなことってあるの?と思うかもしれません。

しかし、実際に法律実務に携わっていると、このような事態に直面することが少なくありません。

こんな時は遺産分割協議をして「分数計算をせず相続人の話し合いで決めてしまいましょう」と提案するメリットがあります。

もちろん相続人の皆さんも「大変なので遺産分割協議でお願いします」と考えることは少なくありません。

 

遺産分割協議のメリットとは?例2

誰か一人が遺産を相続したいという場合も遺産分割協議が行われます。

例えばおじいちゃん名義の家・土地に前述した例の8人兄弟の長男が住んでいたとします。

本来であれば総勢22人の相続人で家屋敷を相続分に応じて相続することになるのですが、22人で家屋敷を分割するというのもちょっと困ってしまいますね。

それに、もう長男家族が住んでいるなら、長男が実家の家と土地をすべて相続してしまった方が都合もよいのではないでしょうか。

 

誰か一人に特定の遺産を相続して欲しい時にも

土地や屋敷を相続すると、相続税が課税されない場合も毎年の固定資産税の支払いは免れられません。

長男家族が住んでいる家の固定資産税を、そこに住んでいない、住む気もない、今は別々に日本各地に住んでいる他の相続人たちが相続分に応じて毎年負担しなければならないというのも何だか困った話です。

こんな場合は、長男だけが家を相続するように遺産分割協議をすることによって家屋敷を長男が相続するという形で決着させることができるのです。

実際にこういった相続はよく行われています。

誰か一人に実家などの特定の遺産を相続させたい場合は、よく知られた分数を使って遺産分けをしてしまうと相続人の希望が叶わなくなってしまうからです。

遺産分割協議という言葉は知らなくても、知らないうちに遺産分割協議をしていることも珍しくないのです。

参照:
http://www.mf-realty.jp/

 

最後に

実例を挙げながら遺産分割協議のメリットについてお話ししました。

遺産分割協議は相続人の都合で遺産を分割する方法です。

  • 相続人が多く分割や手続きが大変な場合
  • 長男などの一人に特定の遺産を相続させたい場合

にメリットのある方法です。

遺言が亡くなった人の意思による遺産分割であるならば、この遺産分割協議は今を生きている家族(相続人)の都合に合わせた遺産相続の方法であるといえます。

相続における分数はとても有名な話です。

しかし世の中の相続はそれだけで計算しては困ってしまう相続人もたくさん出てしまうということですね。

相続と一言にいっても、そこには相続ケースに合わせた色々な方法があります。

それを簡単に覚えておくだけでも、相続手続きがスムーズに進みやすくなることでしょう。