家族が亡くなって、さあ相続が起きました。
相続ではどんな手続きが必要かインターネットサイトで確認しようとしたら……
- 用語が難しくて読めない!
- そして意味がわからない!
相続は法律の絡む手続きが多いです。
法律が絡むということは、使われている用語も法律用語だということ。
皆さんは「瑕疵」という言葉はすらすら読めますか?
そしてすぐに意味がわかりますか?
法律用語はとっても難しいものがたくさんあります。
用語が難しくては、手続きを説明されても首を傾げてしまいますね。
相続が起きてからでは遅い!?
相続の用語と基礎知識を覚えましょう。
民法で使われる法律用語は難しい!
瑕疵と書いて「かし」と読みます。
意味は、
- 物に欠陥
- 傷があること
です。
「隠れた瑕疵」で「目に見えない(外観からは窺い知れない)欠陥」という意味です。
商品を購入したのに一見してわからないような欠陥があったらどうするの?
といった問題でよく登場する言葉です。
読み方も難しければ、意味も難しいですね。
いきなり「かし」を漢字で書きなさいと言われて書くことのできる人が何人いることでしょう。
普段あまり法律に馴染みのない人も苦心することは確かです。
いざ相続となって色々な手続きの手引きを読んでも、
- 被相続人って何?
- え、相続人に被がつくとどんな意味になるの?
と戸惑ってしまうこともあることでしょう。
相続にも色々な用語が?「被相続人」とは
相続人に「被」がついた「被相続人」は、亡くなった人を指します。
- 相続人は遺産を受け継ぐ側
- 被相続人は財産を残す側
つまりその相続の対象になる亡くなった人を指します。
説明されるとすぐに意味がわかるのですが、説明がなければちょっと戸惑ってしまいますね。
このように、相続に関わる法律用語も慣れていない人は首を傾げてしまうことでしょう。
推定相続人?法定相続人?どういう意味?
同じく相続に関係する言葉として「推定相続人」という言葉があります。
相続においては
- 相続人
- 被相続人
という言葉の方が頻出しますので、二つの言葉よりは登場する頻度が少ないのが「推定相続人」です。
しかし頻度が少ないからこそ、どういう意味?
と首を傾げてしまいますね。
被相続人という言葉に対しある程度意味が想像できた人であっても、
相続において相続人と被相続人以外に何か登場人物がいるのだろうかと不思議に思ってしまうかもしれません。
一体どんな意味の言葉なのでしょう。
推定相続人は未来の相続人!財産を受け継ぐと「推定」される人
推定相続人とは、相続人と推定される人のことをいいます。
「おそらく相続人になるだろう人」と言い換えてもいいかもしれません。
現状で相続が発生した場合に相続人になるだろうと推定される人のことをいいます。
なぜこんな言葉が存在するかというと、それは相続関係が時と共に刻々と移り変わるからなのです。
参照 :
https://www.houteikouken.jp/
相続開始!死亡により相続人になるのは?解説
とても簡単なケースで説明しましょう。
- 父親のお母さん(おばあちゃん)
- お父さん
- そしてお母さん
- A君
- Bさん
という家族がいたとします。
おばあちゃんにはお父さん以外にもう一人子供がいて、AくんとBさんの叔父さんにあたります。
おばあちゃんの旦那さんであるおじいちゃんは既に亡くなっています。
この場合に、お父さんが「亡くなった」、あるいは「亡くなるかもしれない」と仮定して話を進めましょう。
まずは法定相続人の順位を確認
お父さんが亡くなった場合、相続人は誰になるでしょうか。
相続人には順位がありましたね。
- 順位一位 配偶者と子供
- 順位二位 被相続人の両親
- 順位三位 被相続人の兄弟姉妹
お父さんが亡くなった時点で存命の順位上位者から相続人の立場が確定します。
この法律で定められた相続人たちを「法定相続人」といいます。
まさに法律が定めた相続人だからこその名前。
そのままです。
相続人が遺言書で指定された順位以外の相続人も全て含めた相続する人全員の総称であることに対し、
法定相続人はこの法律で「この人たちが相続人になる」と法律で指定されている人のことを指します。
では遺産を受け継ぐ未来の相続人は誰と推定?
お父さんが「亡くなった」として、
- 一位に該当するのはお母さんとA君とBさん
- 二位に該当するのはおばあちゃん
- 三位に該当するのは叔父さん
となります。
子供と配偶者がいれば相続人は確定しますので、相続はおばあちゃんまで回ってきません。
相続人は、
- お母さん
- A君
- Bさん
で決まりです。
では、同じ例で、3月末でお父さんが亡くなると「仮定」し、3月1日の時点での推定相続人を考えてみましょう。
推定相続人はその時点で相続が発生したらおそらく相続人になるだろうという人のことです。
3月1日時点での推定相続人は同じく
- お母さん
- A君
- Bさん
になります。
参照:
https://www.souzokuhiroba.com/
配偶者や直系血族は推定相続人になる可能性大
同じ家族例で、今度は別のケースを考えてみましょう。
3月1日時点のお父さんの相続の推定相続人はお母さん、A君とBさんでした。
では、3月10日におばあちゃんが急に亡くなったとしたらどうでしょう。
状況は変わるでしょうか?
おばあちゃんが亡くなっても、お父さんの相続の推定相続人は変わりません。
3月10日時点でのおそらく相続人になるだろう人たちは同じく
- お母さん
- A君
- Bさん
ですね。
10日時点でも「推定相続人は誰?」と訊かれたらこの三人になります。
相続人候補が亡くなると相続関係の推定も変化
では、20日時点でもしお母さんが急に事故で亡くなってしまったとしたら、末日に起きると仮定したお父さんの推定相続人はどうなるでしょうか。
順位一位の相続人が配偶者だけであれば、両親や兄弟姉妹も相続人になる可能性があるのですが、
子供は相続において最高位の相続人であるため、もしおばあちゃんが存命であったとしても相続人になることはありません。
- おばあちゃんが存命→A君とBさん
- おばあちゃんが亡くなっている→A君とBさん
と状況は変わらないことになります。
お母さんは亡くなってしまった時点で推定相続人ではなくなります。
亡くなってしまえば、例え未来の相続の仮定であったとしても相続はできませんものね。
なお、この時点でお父さんは生きていますが、あくまで末日に発生するお父さんの相続の推定相続人であるため、お父さんは除いて考えましょう。
本人が本人の相続人にはなれません。
もちろん本人が本人の推定相続人にもなれません。
存命の人の中で候補を考えると推定相続人が見えてくる
ではさらに日付を進めましょう。
仮に、25日の時点で
- A君
- Bさん
という二人の子供たちが事故で命を落としたとしましょう。
さて、子供二人が急に亡くなったことにより推定相続人には変化が起きます。
相変わらず末日にお父さんの相続が発生すると仮定して考えましょう。
子供二人が亡くなったわけですから、子供は相続人にもなれませんし推定相続人の枠からも外れます。
推定相続人関係も動きます。
家族の誰が存命かによって推定相続人は変わってきます。
誰かが亡くなった瞬間に始めて相続人が確定しますので、それまでは「おそらくこの人が相続人になるだろう」という不確定な状態です。
現在の段階で相続が起きたと仮定した場合に、相続人になるだろうと推定される人を「推定相続人」といいます。
不確定だからこそ、誰かの相続が発生するまではあくまで推定という存在であり、誰が存命かによって変わってしまうのです。
まとめ
相続人になるはずだった推定相続人が亡くなってしまい、推定相続人ではなかった人が相続人になるということもよくあることです。
また、法定相続人であっても、亡くなった人が遺言で遺産を全て寄付してしまい、推定相続人止まりで相続人にはならなかったということだってあるのです。
相続関係は絶えず移り変わります。
用語は難しいですが、相続の基礎知識として覚えておきたいですね。