財産を贈与されたら、贈与税の申告をして納税しないといけない。

でも、法人から贈与された場合も、贈与税の申告が必要なのでしょうか?

また、法人に贈与した場合は?さらに、法人から法人に贈与したら?

この記事では、法人と贈与についてまとめました。

 

贈与税は課税されない

贈与税は、個人から個人へ財産の無償譲渡があった場合に財産を受け取った人に対して課税される税金です。

なぜなら、贈与税は、相続税を補完するものであるという位置づけだからです。

そこで、本来、相続税を納税することが予定されていない法人は、贈与税の納税対象ではありません。

もっとも、贈与税が課税されない=無税ではありません。

別の税金が課されます。

 

法人から個人への贈与の場合

 

贈与した法人に課される税金

個人から個人へ贈与をした場合、贈与税を払わなければいけないのは、贈与を受けた人だけです。

しかし、法人から個人への贈与の場合は、贈与をした側の法人にも払わなければいけない税金があります。

贈与を受けた個人が、その法人の、

  • 役員
  • 従業員

である場合、贈与した法人は、会計上、その贈与を「賞与」として扱います。

従業員に対する賞与は、損金ですが、法人の会計上、役員賞与は、損金ではありませんので、

贈与額に対しても法人税の課税対象となります。

一方、贈与を受けた個人が、その法人の役員、従業員ではない場合、法人の会計上、その贈与は、「寄付金」となります。

法人の寄付金は、一定限度までは、損金処理できます。

これを損金算入限度額といいます。

寄付金のうち、損金算入限度額を超える額には、法人税が課税されます。

 

損金とは

通常は、

利益=収益−費用

ですが、法人税は、利益ではなく所得に課税されます。

そして、

所得=益金−損金

として計算されます。

費用であっても、法人税法では、損金として認められないものもあります。

損金算入できると、所得が少なくなり結果的に税金も少なくてすみます。

 

従業員の賞与と役員賞与の違い

会社は従業員への賞与は、全額損金算入できます。

そのため、従業員にたくさん賞与を払うと、法人の所得は少なくなり、課税される法人税も少なくなります。

一方、役員への賞与は、損金算入できません。

外国などでは、損金算入できることも多いそうです。

 

寄付金とは

民法上、贈与とは、贈与をしたいと思う人(贈与者)が、贈与を受けたいと思う人(受贈者)に無償で財産を譲るという意思を表示し、

受贈者がこれを受ける意思を表示することで成立する契約(贈与契約)による行為です。

この契約は、もちろん、法人も行うことができます。

寄付とは、公的なことや事業のために金銭や品物を贈ることとされていますが、民法上は、贈与の一種です。

法人や国、地方公共団体などを相手に贈与契約を行うことを一般に寄付といっています。

 

贈与を受けた個人に課される税金

贈与を受けた個人がその法人の、

  • 役員
  • 従業員

の場合、給与所得になります。

給料が増えるわけですから、所得税、住民税の課税が多くなります。

一方、贈与を受けた個人がその法人の役員、従業員ではない場合、一時所得として所得税等が課税されます。

 

一時所得とは?

一時所得とは、営利を目的とする継続行為から生じた所得以外の所得で、

  • 労務や役務の対価としての性質
  • 資産の譲渡による対価としての性質

を有しない一時の所得のことをいいます。

一時所得にあたるものは、例えば、

  • 懸賞や福引きの賞金品
  • 競馬や競輪の払戻金
  • 生命保険の一時金
  • 損害保険の満期返戻金
  • 遺失物取得者
  • 埋蔵物発見者の受ける報労金

等です。

一時所得は、

「総収入金額−収入を得るために支出した金額−特別控除額(最高50万円)」

という計算式で求めます。

そして、その2分の1に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合算して総所得金額を求めて、納税額を計算します。

 

個人から法人への贈与の場合

 

贈与をした個人に課される税金

個人から法人への贈与は、「寄附」になります。

贈与した財産を時価で譲渡したものとみなして(みなし譲渡)、その譲渡益に譲渡所得による所得税が課税されます。

みなし譲渡益とは

譲渡所得とは、資産を譲渡して得た所得のことです。

譲渡所得は、

収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除

で計算します。

例えば、1,000万円で購入した土地を1,500万円で売却できれば、

500万円の譲渡益が発生します(ここでは、費用と特別控除は無視しています)。

みなし譲渡とは、例えば、1,000万円で購入した土地を法人に無償で譲渡したとしても、

時価1,500万円で譲渡したとみなして、譲渡益が発生したと考えます。

そこで、このみなし譲渡益に所得税が課税されるのです。

 

贈与を受けた法人に課される税金

贈与を受けた額が全額、受贈益として益金に参入され、法人税等が課税されます。

また、同族会社の場合、贈与を受けたことにより、株価が上がると、株主に贈与税が課税されることがあります。

受贈益とは

法人が資産を贈与された場合、資産を時価でもらったものとされて、その資産の時価を受贈益として、益金に算入されます。

益金が多くなるわけですから、これにかかる法人税も多くなります。

益金とは

益金とは、法人税法上の概念です。

法人税の課税対象となる所得は、益金−損金で求められます。

会計上の利益と益金とは、重なる部分もありますが、同じではありません。

 

法人から法人への贈与は?

 

贈与した法人に課される税金

贈与した法人は、贈与した額を寄付金として、一定限度、損金算入し、これを超えた部分は、法人税等の課税対象になります。

 

贈与を受けた法人に課させる税金

贈与を受けた法人は、受贈益を得たことになりますので、益金が増えますから、法人税等が課税されます。

 

法人に遺贈した場合は?

 

遺贈とは

遺言によって、自分の財産を譲ることを遺贈と言います。

遺言をする人は、自分の財産を個人だけでなく、法人に遺贈することもできます。

個人が遺贈を受けた場合には、相続税を支払うことになります。

 

遺贈を受けた法人に課税される税金

遺贈を受けた法人は、時価での受贈益が益金となり、法人税等の対象となります。

また、同族会社の場合、遺贈を受けたことにより、株価が上がると、株主に贈与税が課税されることがあります。

 

法人に遺贈した個人に課税される税金

法人に遺贈した個人には、みなし譲渡による、

  • 譲渡所得税
  • 住民税

が課税されます。

もっとも、遺言でもらうということは、遺言を書いた人は亡くなっているわけですから、相続人が払います。

相続人は、相続開始の翌日から4ヶ月以内に準確定申告を行なうことになります。

 

まとめ

  • 個人から法人に贈与された場合
  • 法人から個人に贈与された場合
  • 法人から法人に贈与された場合

のいずれも贈与税の課税対象ではありません。

でも、他の税金がいろいろとかかりますから注意が必要です。