皆さんは「限定承認」という言葉を耳にしたことがありますか?

この言葉を今回の記事で目にした方の中には「何だそれ?」「聞いたことがないぞ?」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

では、質問を変えましょう。

皆さんは「相続放棄」という言葉を耳にしたことはありますか?

この相続放棄という言葉に関しては、多くの人が

  • あ、知っている!
  • 借金を相続した時に有効な方法だとニュースで見たことがあるぞ

と答えてくださるかもしれません。

  • 相続放棄
  • 限定承認

は実は同じ相続上の手続きで、どちらも裁判所でしかできない手続きなのです。

しかし、相続放棄については知っていても、限定承認については知らないという人は少なくありません。

今回は相続の中の一つの手続きであり、検討すべき方法でもある「限定承認」についてお話しします。

 

限定承認ってなに?どんな相続方法なの?

限定承認とは相続の一つの方法です。

一般的な相続は、

  • 遺産の預金や不動産だけでなく
  • 借金というマイナスもすべて

遺産として相続人が受け継ぐものです。

もしマイナスが多ければ相続放棄という手続きを裁判所ですることによって、

遺産のプラスとマイナスを全て受け継がないという方法があります。

このように、

  • 全部受け継ぐか
  • 全部放棄するか

という印象が、相続にはあるのではないでしょうか。

しかし、相続においてできることは「全て受け継ぐ」「全て放棄する」ことだけではありません。

限定承認という方法で「一部だけ受け継ぐ」という選択肢があるのです。

参照:
http://www.courts.go.jp/

 

「一部だけ受け継ぐ」とは?自分の好きな遺産を選べるの?

ただし、「一部だけ受け継ぐ」といっても、それは決して、

「預金は必要だけれど借金はいりません」というような都合のいい相続方法ではありません。

遺産のプラスが全部欲しいならやはりマイナスもきっちり受け継ぐしなかいのです。

それでは、

  • 限定承認は何なのか?
  • 一部だけ受け継ぐとはどんな意味なのか?

というと、それはつまり名前通りの「限度」という意味なのです。

限定承認はプラスの限度においてマイナスを相続する方法です。

  • プラスがちょっとならマイナスもプラスに応じてちょっと
  • プラスがたくさんならマイナスもプラスに応じてたくさん

という具合に相続します。

相続放棄では遺産は全て放棄しなければいけません。

自分の育った実家も遺産であるなら放棄しなければいけないというデメリットがあります。

対しこの限定承認を使えば、やり方によっては思い出の残る不動産を手元に残すことができるというメリットがあります。

プラスの限度においてマイナスを相続する。

これが限定承認という方法です。

参照:
http://souzokuhouki-with.com/

 

限定承認はどこで手続きをするの?

限定承認は相続放棄と同じく裁判所で手続きします。

自宅で他の相続人と一緒に「じゃあプラスの限度でマイナスを受け継ごう」「そうしよう」と取り決めても、

これは限定承認ではありません。

また、相続人の勝手な判断でマイナスを受け継がないということを決めることはできません。

  • 相続放棄
  • 限定承認

裁判所で手続きをすることによってしかできません。

裁判所の管轄は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所になります。

相続人が行きやすい裁判所ならどこでも手続きできるというわけではないので要注意です。

もし管轄裁判所が遠いなら、管轄裁判所の近くの弁護士に相談するのも一つの手です。

参照:
http://www.courts.go.jp/

 

他の相続人は反対!自分だけ限定承認できる?

限定承認は相続人全員でしなければいけません。

「私は限定承認をする」「じゃあ私は普通に相続する」という相続人がばらばらの相続方法を選んでしまったら、限定承認は使えません。

あくまで全員でしなければいけないのです。

なぜかというと、限定承認は裁判所で手続きする中で、遺産のプラスとマイナスをきちんと計算することになるからです。

相続人がばらばらな相続方法を選んでしまっては、計算が煩雑になり、大変です。

だからこそ相続人全員で「限定承認をお願いします」と申し立てをしなければいけません。

相続放棄が相続人一人で他の相続人の承諾なくできてしまうことと比較して考えてみてください。

 

限定承認にも期限あり!ただし事情により伸長も

裁判所で手続きをする相続放棄と同じく、限定承認にも、

「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」

という期限が定められています。

ただし事情により期限を伸長することも可能です。

期限ぎりぎりだけれど限定承認を検討しているという人は、弁護士に相談し、まずは期限伸長の手続きをとってもらいましょう。

基本的に期限が決められていますが、場合によっては伸長できると覚えておくのがいいですね。

ただ、事情によってですから、何もせずにごろごろしていたら期限を過ぎていたという場合まで裁判所が期限伸長を認める保証はありません。

参照:
http://www.courts.go.jp/

 

限定承認の費用はどれくらいかかるの?

限定承認の費用は、

  • 印紙800円
  • プラス郵送費用の切手代

となります。

ただし気をつけなければならないのは、この他にもたくさんの費用が必要になるということ。

まず印紙プラス切手代の費用だけでは収まりません。

弁護士に依頼して限定承認を進めてもらう場合、弁護士費用が必要になります。

弁護士費用は、

  • それぞれの事務所
  • 限定承認をする人数
  • 遺産の多さ

などによっても変わって来ることがあります。

また、遺産の中に不動産があれば、時に不動産の鑑定なども必要になります。

こういった諸経費は裁判所側が負担してくれるわけではなく、全て相続人が負担することになります。

不動産の鑑定費用は一概に言えませんが、不動産の規模により時に数十万円は見なければならないことも。

限定承認は遺産のプラスとマイナスを計算して行いますから、その分だけ費用は必要になると考えておくことが重要です。

 

限定承認を使う人は少ないって本当?

冒頭で「限定承認」という名前をご存知ですか?とお尋ねしました。

実際に色々な方とお話をすると、相続放棄は知っていても限定承認を知っている人はあまり知らないのが現状です。

知名度の低さから、利用者の少なさもうかがい知ることができるというものです。

相続上の一つの方法ではありますが、限定承認を使う人は少ないのが現状です。

弁護士や司法書士も「借金を相続して困っています」となると、まずは相続放棄を勧めることでしょう。

真っ先に「プラスの範囲でマイナスを受け継ぐ相続方法があってですね」と限定承認について話し始める弁護士や司法書士はほとんどいないはずです。

ですが、相続の一つの方法であり、選択肢として知っておくと、いざという時に役立つことでしょう。

利用者が少ないということは別として、覚えておいて損はありません。

限定承認を一つの相続方法として考えてみたい。

そう考える方は、弁護士や司法書士に相談してみるのが早道です。

 

最後に

相続放棄は知っているけれど、

同じく裁判所でできる相続手続きである限定承認について知っているという方は少数派かもしれません。

あるいは名前だけ知っていて、中身はあまり知らないという人もいるかもしれないですね。

限定承認は

  • 「全て放棄する」という相続放棄
  • 「全て受け継ぐ」という一般的な相続

と異なり、遺産を計算した上で、プラスの限度でマイナスを相続するという方法です。

相続放棄であれば借金を相続しない代わりに実家などの思い出のある遺産も放棄しなければいけませんが、

限定承認は進め方によっては思い出の財産を残しておくことも可能です。

もし「実家は残したいけれど借金相続が心配」という人がいたら、弁護士に相談するのがいいでしょう。

ただし、遺産を計算しなければならないため、裁判所と何度も連絡をしなければならず、時間もかかります。

そういった意味でも、限定承認をしたい、限定承認を検討しているという人は弁護士を頼るのが安心ではないでしょうか。