不動産を相続した後は相続人の意思に従って不動産を処分することが可能です。

  • 不要であれば売却する
  • リフォームをして人に貸し出す

こともできます。

もちろん相続をした不動産は被相続人の財産から相続人の財産になっているわけですから、相続人次第というわけです。

ぼろぼろの家を残しておく必要がないと考えるなら、財産であるはずの不動産をすら解体することが可能です。

自分の財産になったわけだから処分は自由自在というわけです。

しかし、これはあくまで相続人が一人だった場合の話です。

相続人が二人ないしは三人であった場合はどうでしょう。

不動産を一人の相続人ではなく、二人以上の相続人が共同で相続した場合の不動産処分の問題点について知っておきましょう。

 

相続後の不動産について考える

一人で相続をしたなら、相続財産はすべて一人のものです。

難しい話はありません。

しかし相続人が二人以上の場合は別です。

自分だけ相続人だと主張して相続財産を自由に処分することはできません。

二人以上相続人がいる場合は、

  • 相続順位
  • 遺言
  • 遺産分割協議

に従って、それぞれの割合で遺産を相続します。

 

相続後は持ち分に応じて「共有」

例えばABという二人の相続人がいたとして、同順位で遺産を受け継ぐ場合に1,000万円の預金を考えると、

それぞれ500万円ずつ相続することになります。

お金の場合はこのように簡単に半分こできますね。

しかしこれが不動産だったらどうでしょうか。

二人以上の人間が不動産を相続したからといって、家を半分に切ることはできません。

せっかく2億円の価値がある家を相続しても、相続人の相続割合に応じて家を切ってしまうと、家自体の価値がどんと落ちてしまいます。

不動産を二人以上の人間が相続した場合は、登記上の所有権に持ち分を設定するという形で所有します。

  • 1/2はA
  • 1/2はB

という形で登記し所有することになります。

三人いても同じです。

また、必ず1/2ずつでなければいけないという決まりはなく、遺産の分割割合によっては、

  • 1/1000
  • 999/1000

というような登記も可能です。

二人以上の人間が不動産を相続しても家を切る必要はないということです。

ここまでは相続の基本事項です。

まず、二人以上の人間が不動産を相続したら不動産そのものを物理的にわかるのではなく、

登記上で持ち分を設定してわけるということを頭に入れてこの先の話を聞いていただければと思います。

 

不動産は持ち分で分割

二人以上の相続人が不動産を相続した場合、所有権に持ち分を設定することにより所有が可能です。

不動産を見ただけでは誰のものかわかりませんが、登記簿を確認すると

  • 「なるほど、AさんとBさんのものか」
  • 「二人は相続により所有権を共有するに至ったのか」

ということがすぐにわかるように管理されています。

問題はここからです。

共有状態の物は一人の勝手な判断で売却することはできません。

確かに相続によって不動産は相続人のものになりました。

しかし、所有権に持ち分が設定されている以上、「完全に自分の物」ではない状態です。

完全に自分のものなら自分が自由に処分できるのですが、

共有状態の場合、相手も処分の意思を有していなければ処分することはできません。

例えば先の例ですが、

  • Aさんは家を売却したいと考えていて
  • Bは売却に反対している

場合、Aの持ち分はAの財産なので自由に処分(売却)できますが、Bの持ち分まで売却することはできません。

基本的に家を購入する人は、購入後に「自分名義の家」にしたいわけですから、

「持ち分を半分だけ買いませんか?」と切り出しても、なかなか買い手がつかない現状にあります。

これは一戸建てだけではなく、

  • アパート
  • マンション

でも同じです。

アパートやマンションの一部屋も「半分はBのものだけど買ってくれない?」と誰かに商談を持ち出したとしても、

「知らない人と共有は嫌です」と断られる可能性も高いことでしょう。

自分が相続した不動産であっても、他の相続人と共有状態になっている場合はできることが限られます。

 

不動産の共有状態でできる事とは

前述した通りに、他の相続人の同意なく、勝手に他の相続人の持ち分まで売却することはできません。

例えば

  • AとBが不動産を共有
  • 持ち分がそれぞれ1/2

だった場合、

自分の持ち分に関しては自由に売却できますが、他人の持ち分に関しては自由に売却することもできません。

外観からは一軒家ですが、共有状態だからこそ不動産の処分に制限がでてしまうのです。

不動産を共有している場合は、勝手な処分ができません。

他に人の持ち分に関係する行為の中で、できることは限られています。

「保存行為」という用語を耳にしたことはありませんか?

不動産が共有だった場合に、相続人の一人が勝手にしても問題のない行為がこの保存行為になります。

参照:
http://office-imayoshi.jp/

 

保存行為とはどんな事?

保存行為とは、不動産を維持管理する行為のことをいいます。

まさに建物を「保存(不動産の現状を維持するための行為)」、言葉通りの行為のことです。

具体的には、

  • 建物のメンテナンス、小・中規模の修繕
  • 雑草の除去、木や竹の剪定、塀や工作物の修理や補修など
  • 固定資産税の納付
  • 建物の耐震検査を受けること
  • 不動産の不法占拠者に明け渡しを請求すること
  • 不動産の不法占拠者に対して必要な措置を講じること

などです。

これらは共有持ち分の多い少ないに関わらず、共有者一人で行うことが可能です。

例えば持ち分につき、

  • Aが1/100
  • Bが99/100

だったとします。

Aは持ち分の面で圧倒的に少ないわけですが、たった100分の1であっても、

持ち分を有していればそれだけで保存行為は可能であるということです。

共有者の分もまとめて固定資産税を支払うこともできますし、不法に不動産を占拠している者がいれば妨害排除請求をすることも可能です。

参照:
http://www.showa-juchi.com/

 

不動産の賃貸や売却には制限が

不動産を賃貸物件として運用することなどを主に管理行為といいます。

また、

  • 不動産の売却
  • 大修繕などを変更・処分行為

といいます。

管理行為の場合は持ち分の過半数で決定するものと民法252条に定められています。

変更・処分に関しては共有者全員の意志決定で行います。

これは民法251条に定められています。

前述した「建物を売却していい?」という話は共有者の持ち分に関わらず全員で決めてくださいということです。

賃貸運用なら自分の認めないうちに過半数の同意で賃貸として使われていても、

その分だけ収益を生むわけですから決して悪いことではありません。

過半数で賃貸をすることに決まったとしても、共有者にはリターンがあるあけです。

また、保存行為の場合は共有者全員のためになる行為ばかりですから、共有者の一人が勝手に行っても全員にメリットがあります。

しかし変更・処分行為は全員一致で処分しなければ「知らないうちに自分の財産(持ち分)まで共有者に売られてしまったぞ」となりかねません。

日本では、その人の財産を処分できるのは基本的にその人本人です。だからこそ全員一致でなければ処分できないというわけです。

参照:
http://law.e-gov.go.jp/

 

最後に

不動産に対してどんな行為をするか、不動産をどう使うかによって、

  • 共有者の一人が自由にできるのか
  • 全員一致でなければいけないのか
  • 過半数で決するのか

が異なります。だからこそ考えたいのは相続のことです。

不動産が相続前は一人の名義でした。

その後、兄弟に不動産が相続され、相続割合にしたがって持ち分が設定されました。

不動産を所持していても仕方がないので処分を検討しましたが、兄弟のうちの片方が処分に反対しています。・・・いかがでしょう。

相続が起こって持ち分が設定されることにより、不動産処分が難しくなってしまいます。

相続によって生まれた共有関係においては、誰か一人が反対すると売却できません。

しかし、一人が反対しているからといって税金や管理費用の支出を免れることがでいないのが苦しいところです。

不動産相続はこういった「相続によって後に処分が難しくなる」ということを念頭に計画を立てておくことが重要なのです。