不動産を相続した場合に不動産が不要という場合は、
- 売却
- 解体
といった処分方法があります。
どうせなら有効活用して賃料収入を得たいなどの場合は、賃貸物件として運用することも可能です。
生前に相続の対策をしていた場合は、
リバースモーゲージローンなどの活用により、不動産の名義人の死と共に不動産を処分する方法もあります。
他には贈与といった方法も考えられます。
もちろん相続人が住むこともできますし、相続人の許可で親族や友人に無償で貸し出し、住まわせることもできます。
- 最終的に不動産自体が不要である
- または不動産がぼろぼろで活用のために多額の費用を必要とする
場合などは解体という方法もあります。
不動産は「相続財産」といっても、預金などの価値そのものの財産とは異なっています。
価値を知り、売却や運用など相続人に合った方法を選択して初めて価値を生む財産であると言えるのではないでしょうか。
また、預金などの通帳一枚で価値を証明できるような財産ではなく、
不動産は家・土地問わず一定の大きさや規模があります。
だからこそ取り扱いが難しく、人によっては相続しても困るという場合があります。
相続した不動産が不要という場合、売却と解体以外にどんな処分方法があるのでしょうか。
また、いらないからといって国や自治体に寄付してしまうことはできるのでしょうか。
相続した不動産の処分に関する気になる疑問に迫ります。
相続不動産の「いらないな」をどうやって解決?
不動産を相続した場合に「いらないなあ」と考えてしまうことは、決して悪いことではありません。
むしろ、よくあることであると言えます。
預金は通帳一枚で管理をすることができますが、不動産は通帳一枚で管理をすることはできません。
所有する限り
- 固定資産税などの税金が課税され続け
- 管理のために費用も必要
です。
節税のためだからといって空き家を放置しておくと、今度は行政の指導が入る可能性もあり、
- 大きな形があるからこそ難しい
- 課税や管理が関わってくるからこそ大変
なのが不動産の相続です。
持っているだけでどんどんお金が入ってくる賃貸物件を相続した、などの場合は大喜びかもしれません。
また、銀座の一等地を相続し、次から次へと購入希望者が現れるということなら、やはり大喜びかもしれないですね。
しかし、日本の不動産相続の現状は決して喜ばしい状況ばかりではありません。
むしろ、もらっても嬉しくない不動産を相続によって手に入れることになり「どうしよう」という状況なのです。
相続というと預金や不動産が手元に転がり込んでくる、それ自体が美味しい制度という印象を持つかもしれません。
しかし、相続によって嬉しいどころか困るという人が後を絶ちません。
そうだ「人にあげてしまおう!」・・・できますか?
そこで、考えないでしょうか。
皆さんはこんな想像をしたことがありませんか。
「不動産を放置しておけば行政の指導や近隣住民からの苦情の可能性もある。
税金だって払い続けなければいけない。
それだったら誰かにあげてしまえばいいのではないか」
と。
しかし、バブル時代のようにどんどん不動産が売れた時代とは異なり、
地方都市の空き家あ田畑を「あげます」と誰かに言ったとしても、欲しい人はなかなか見つからないことでしょう。
欲しい人が名乗り出てくれるなら、相続人は贈与という形で不動産をあげてしまうこともできるのですが、
地方都市ではかなり条件のいい中古物件でもなかなか売れないという状況です。
タダでどうぞといっても、もらい手を見つけることはやはり難しいと言えます。
もらう側も、不動産は長期に渡って所有するという頭がありますから、条件をかなり厳しく見ます。
個人での贈与は難しいです。
では、皆さんはさらにこんなことを考えないでしょうか。
相続財産を受け継いだら、その財産をどう処分するかは相続人の自由です。
もちろん、寄付という選択肢もあります。
相続不動産を寄付で処分!できるのか?
実は、「不動産を寄付したい」という相談はかなり多いといわれています。
皆さんも相続した時、ないしは今後の相続を考えて
と、ちょっとでも考えたことはないですか。
確かに国や自治体にあげてしまえば
- 税金もかかりません
- 管理も新たな持ち主になる国や自治体がしてくれる
わけですから、面倒さがありません。
それに、隣の家と土地問題で揉めている土地を寄付してしまえば面倒なトラブル関係から脱却できるわけですから、こんなに嬉しいことはありませんよね。
土地や不動産、相続の話を聞いていると、「じゃああげちゃえ」という結論に達する人がかなりいるようなのです。
自治体や国へ寄付は難しい
しかし、現在はこの寄付という手段は非常に難しいと言わざるを得ません。
寄付を受ける側にも選択権があります。
自治体や国が土地や建物を受け取った場合、その土地や建物は国有・自治体有となります。
そうすると、本来は入るべき税金が入ってきません。
特に固定資産税は重要な県税で、自治体の収入としてはとても大きなものです。
不動産の相続人にさらに相続が発生した場合、不動産も相続税の課税対象になります。
国としては将来的な相続税の収入に繋がる財産を簡単に「じゃあもらいます」とは答えられませんよね。
個人の「いりません」だけで国や自治体が受け取るはずがありません。
以上のような理由で、国や自治体への寄付は現状として非常に難しいのです。
多くの人が「いらないならあげちゃえ」と考えるようですが、
これに関しては、難しいし、まず受け取ってもらえません。
が答えになります。
ただし、その土地や建物が自治体や国にとって非常に有用だと判断される場合は寄付を受けてもらえることがあります。
しかし、有用な土地や不動産は相続人だってなかなか手放したくないでしょうし、手放すのなら寄付ではなく売買でお願いしますと考えることでしょう。
特に、自治体や国から土地を一定の条件で購入してもらった場合、
売買代金には税金上の優遇措置が適用される場合があります。
一般の人同士で売買するより、売買代金がお得になる可能性があるということです。
国や自治体だって有用なら欲しい。
有用でない土地や建物は、たとえ「タダでどうぞ、寄付します」と言われてもお断りしたい。
これが現状です。
最後に
不動産を相続したけれどいらない。
それだったらあげてしまえばいいのではないか?
そう考える人は一定数いるようで、FPや法律家に相談が来ることもあります。
しかし、答えは「難しい」としか言いようがありません。
相続人がお荷物に感じるような不動産は国や自治体だって「いりません」と答えることでしょう。
もし寄付として受け取ってもらえる可能性があるとすれば有用な不動産なのですが・・・
有用な不動産は相続人だって寄付として手放したくはないですよね。
難しい問題です。
どうしても不動産を手放したい場合、相続放棄という手段もあります。
しかしこの相続放棄という手続きを使っても、不要な不動産だけを都合よく手放すことはできません。
また、次の管理者が見つかるまで相続人が管理しなければならない他、
相続放棄によって相続人がいなくなった場合は相続人不存在という手続きを進めることになり、
その手続きや費用を考えると「うちには難しいかも」という人が多いかもしれません。
だからこそ考えたいのは、早め早めに動くことです。
不動産は時間をかけるとその分だけ買い手が見つかる可能性も高くなります。
相続が始まってからでいいとは考えず、思い立った時に相続対策を始めてしまうことが重要なのです。