死に際して自分の希望を書き記しておくものといわれれば、

  • 遺言書
  • エンディングノート

の二つが思い浮かびます。

どちらも自分の死後に関わるという点で同じではあるのですが、用途と効力がまったく異なっています。

どのように活用すべきなのでしょうか。

今回は特にエンディングノートに焦点をあてて、活用法について考えてみましょう。

死は身近にある存在だからこそ、年齢に関わらず普段から考えておきたいですね。

 

遺言でできることとは?エンディングノートとの違い

遺言書とは、遺産分割方法をはじめとして、

  • 相続の時の財産のこと
  • 子供の後見人のこと
  • 遺産をどう分けるか

などの、財産や家族のことを指定する時に使う一種の相続対策の方法です。

実は子供の認知も遺言書でできるということはあまり知られていません。

認知に関しては余談ではありますが・・・このように家族のことや財産のことを指定するのが遺言書の本文です。

財産の分割方法の指定はとても大切なことですし、死後は本人に確認するわけにはいきません。

だからこそ遺言書は法律で指定された要件を満たしていなければ無効になるという特徴があります。

また、遺言書には法的な効果もあります。

対してエンディングノートには法的な効果は一切ありません。

エンディングノートで遺産分割の方法を指定しても無意味です。

いいえ、無意味は言い過ぎですね。

エンディングノートは遺言書のような法的拘束力がないため、あくまで「お願いね」止まりなのです。

こう書くと、

  • それってエンディングノートに意味はあるの?
  • 遺言を使った方がいいのでは?

と思ってしまうことでしょう。

決してそんなことはありません。

エンディングノートにも素晴らしい点があるからこそ、これだけ有名になっているのです。

参照:
http://www.resonabank.co.jp/

 

エンディングノートは遺言と同じものだと勘違い?

書店や文具店に足を運ぶと、「エンディングノート」という文言をよく目にします。

エンディングノート自体を販売していることもありますし、エンディングノートの書き方本を販売していることもあります。

インターネットで検索すると、エンディングノートについての記事がたくさんヒットします。

映画で一躍有名になったエンディングノートは、終活や相続対策を考えている人以外にも有名になりました。

しかし、現状として、名前は知っているけれど使い方やメリットがよくわからないという方が多いようです。

法律事務所では、

  • 遺言書の代わりにエンディングノートを買って書いている
  • いえいえ、遺言書とエンディングノートは違いますから!代わりになりませんよ!

とやり取りする光景が見られることがあるとか。

前述しましたが、エンディングノートと遺言書はまったくの別物です。

遺言のような法的な効果もエンディングノートにはありません。

 

エンディングノートの正しい使い方とは?

  • 自分の死後の財産分割方法
  • 家族のこと(主に後見人や認知など)

について指定する遺言書と、エンディングノートの違いは何なのでしょうか。

実は、法律上にエンディングノートという言葉は存在しません。

存在しないからこそ、「こんなことを書かなければいけない」という決まりもありません。

自由に書いてもいいのです。

「遺言書とは違って法的な効果はまったくない」ということを把握した上であれば、

もちろん遺産分割方法についての希望を書き記してもまったく問題ありません。

「自分の人生と死を見つめ直す」ことがエンディングノートの目的の一つですから、

「今後の人生と自分の死後に役立つことをまとめる」という使い方が基本です。

しかし、これではあまりにざっくりし過ぎているので、相続対策を考える上でのエンディングノートと使い方を考えてみましょう。

 

エンディングノートは連絡先のまとめとして活用

エンディングノートのよいところは、何を書いても自由であり、遺言書のように法的な要件が存在しないところです。

本屋や文具屋で販売されているエンディングノートを見ると、

  • 連絡
  • メモ欄
  • 日記
  • 住所録

のような欄がとても充実しています。

それを利用するのはいかがでしょうか。

相続の話は一般的に葬儀が終わってからすることが多いです。

どうしても葬儀中はばたばたしてしまい、葬儀にかかりきりになってしまうことが少なくありません。

だからこそ、

  • 遺産の取り分を遺言書で指定し
  • 補足事項の記載

にエンディングノートを使うという方法です。

基本的に遺言書には自分の死後に連絡して欲しい知人の連絡先などは書きません。

親族の連絡先も、過去の手紙や年賀はがきを見てはじめて調べがつくというケースも珍しくありません。

諸手続きがスムーズに進むように、親族と知人の連絡先一覧をエンディングノートに記載しておくという使い方はとても有効な使い方です。

 

財産や加入サービスの一覧として活用

遺産の分与を遺言書に記載したとしても、それぞれの遺産がどこにあるかわからないという困った事態がよくあります。

「預金は全て長男に相続させる」と遺言書に記載していても、では当の預金はどこにあるのか?

という話ですね。

実は遺産相続では、実際に「遺産がどこにどれだけあるのか」がわからず、

手続きを進める中で、

  • A銀行に預金が!
  • さらに不動産がでてきました!

ということも珍しくないのです。

確かに法律家が調べれば見つけることができるのですが、できれば本人にきっちり教えて欲しいですよね。

だからこそエンディングノートを相続対策として活用するメリットがあるのです。

  • 預金がどこの銀行にどれだけあるのか?
  • 不動産はどこに所有しているのか?

特に見つけ難い、共有不動産などはしっかり記載しておいてもらうと相続人も助かることでしょう。

有価証券はどんなものを持っているのかなど、エンディングノートに一覧で記載しておけば相続手続きがスムーズに進みます。

確かに遺産といえば遺言書で分割を指定するものですが、

  • 保険や遺産の内容
  • 加入しているサービス

などはエンディングノートに一覧として記載しておくのがいいでしょう。

 

遺言書に記載しない希望をエンディングノートに書き記す

基本的に遺言書には記載しないような死後の希望も、エンディングノートを使って伝えることができます。

遺言書のように法的な力はありませんが、

  • 生前にこんなことを望んでいたのか
  • こうして欲しいのか

という相続人の指針になります。

例えば、

  • ペットのこと
  • 自分の大切にしていた蔵書や楽器

といったものの形見分けなどの希望があれば記載しておくといいでしょう。

不動産を形見分けとなると、それは遺産でしょうという話になってしまいます。

しかし本や雑貨などは、もし「この人に渡して欲しい」ということであれば、希望を書いておくのは悪いことではありません。

エンディングノートには、遺言書に記載しないような

  • 希望
  • 一覧
  • 情報

を中心にまとめておけば、相続対策のための資料になります。

 

最後に

  • エンディングノート
  • 遺言書

まったく違うものです。

法的効果のある遺言書と、法的効果のないエンディングノートでは使い方にも違いが出ます。

どちらがよいというわけではなく、それぞれに合った使い方をすることが大切なのではないでしょうか。

死後、役に立つ二つの「書」。

上手く使いこなしたいものですね。

なお、エンディングノートは前述した通り、法的な効果がないために記載事項に決まりはありません。

対して遺言書は法的な効果のあるものですから、要件を踏まえていなければ無効になってしまいます。

きちんとした遺言書を作り、相続の失敗を無くすためには、まずは弁護士や司法書士に相続対策を相談し、

その一環として遺言書作成を手伝ってもらうのがいいでしょう。

どちらも「死後」のためのもの。

失敗してしまっては、取り返しがつきませんものね。