皆さんは諸外国の相続とはどんな方法により行われるかご存知でしょうか。

日本の一般的な相続は法律により「その瞬間に」行われることと定められています。

自分が気づかないうちに、自分が相続人であれば被相続人の死によって順位や分割割合に応じていきなり遺産を相続しているということです。

ちょっと不思議だなと感じませんか。

そう、日本の相続はちょっと不思議なものなのです。

財産の権利というものは目に見えません。

その目に見えない権利が目に見えないまま移ってしまうという掴みどころのないようなもの、それが相続であるともいえます。

しかし、それはあくまで日本の「当たり前」です。

国が違えば相続も違います。

また、国が違えば相続問題も違ってきます。

今回は日本以外の国の相続問題についてお話します。

日本と外国の相続制度はこんなに違うのです。

 

日本の相続制度の基礎の基礎

海外の相続制度を知るためにはまず自分の国の制度を知らなければ比較しようがありません。

「海外の国はこんなふうに相続を進めるのです!」とご紹介しても、日本の相続を知らないと「へ~、それって日本とどこが違うの?」という話になってしまいます。

これでは面白味も驚きもありません。

だからこそ、まずは日本という国の相続を知って、その上で他国の相続に注目してみましょう。

 

相続は死の瞬間!よく聞く相続の分数も特徴

日本の相続は冒頭でも述べたように、「いきなり遺産の権利が相続されてしまう」というところです。

皆さんが故人の死の連絡を受ける場合、おそらくいくらかのタイムラグがあることでしょう。

社会人の方は仕事中に訃報を受け取ることも少なくないはずです。

  • 「もしもし、おじいちゃんが〇時〇分に亡くなったよ」
  • 「え!」

これはよくあるパターンであると言えるでしょう。

日本の法律は訃報を受け取った瞬間に相続人に順位や分割割合に応じて相続されるのではなく、被相続人の死の瞬間であると定めています(民法882条)。

上記のワンシーンで訃報を受け取っている時には、もう相続人に遺産が相続されてしまっているということです。

また、よくあるのがこんなワンシーン。

  • 「亡くなったのが〇月〇日で、葬儀を予定していた日が友引だから・・・葬儀はその後だな」
  • 「そうだな。色々な手続きはまずじいちゃんの葬儀が終わってからだな」

親族の誰かが亡くなると、まずは葬儀という印象があるのではないでしょうか。

確かにその通りで、相続手続きは相続で揉めている場合やなるべく急ぎで手続きしなければ期限の問題がある手続き(相続放棄など)をのぞき、

  • 葬儀
  • 遺品整理

よりも後回しにされることが多いです。

まずはばたばたと葬儀から四十九日法要を済ませてしまって、それから相続の手続きという印象がないでしょうか。

よく勘違いされるのですが、「相続手続きをした時が相続の時」と考える人がいます。

確かに銀行で相続の手続きをして故人の預金を手に入れなければ、具体的に「遺産を受け取ったな」という実感がありません。

しかし前述したように、葬儀でばたばたしている時には既に相続は起きているのです。

死とタイムラグがない。

これが日本の相続の最大の特徴ではないでしょうか。

 

日本の遺産は不動産が大きな割合を占める

もう一つの日本の相続の特徴に、不動産がとても多いというものがあります。

日本人の財産に占める不動産の割合が高いからこその話です。

日本にはバブル期というものがありました。

その時はとにかく土地や建物を持っているとどんどん値上がりして、不動産は財産的価値が非常に高いものでした。

また、昔から土地をたくさん持っていると長者という印象が強いのが日本です。

だからこそ、日本では遺産に占める不動産の割合が非常に高い状態が続いていると言えます。

「我が家は10億円の資産がある!」

こんな言葉を聞くと、「お金持ちで凄い」と思ってしまうかもしれません。

しかし、この10億円を現金で所持している人は少数派です。

不動産が何割か占めることがほとんどですし、中には9億9千9百万円は不動産で残りの100万円だけ現金で所持というケースもあり得ないわけではありません。

資産家だからといって現金をたくさん持っているとは限らない。

これも日本の特徴といえるでしょう。

 

他国の相続はどうなっているの?

ここからは具体的に他国の相続についてお話します。

前述した日本の相続の特徴と比較しながら想像してみてください。

なお、これはあくまで他国のスタンダードな相続ですので、それぞれの国の

  • 法律
  • 判例
  • 制度

によって例外的なケースもあることを付け加えておきます。

あくまで「基本的にこんなふうに相続をしている」という感じで覚えておください。

 

アメリカの相続とは

アメリカの相続は、日本の相続のように自動的に法律で分割…という流れではありません。

遺言書記載の代表者(人格代表者)が裁判所で手続きをすることにより相続手続きを進める流れになります。

この代表者は遺言書に名前の記載があるのですが、もしない場合は裁判所側が代表者(遺言執行者)を選定します。

遺産は裁判所での検認手続きを経て分配されます。

「遺言書があれば検認を経るのは日本と大体同じじゃないの?」と思うかもしれません。

しかしアメリカの相続は日本と大きく違っています。

日本の場合は検認手続きを経る場合(検認が必要と定められた遺言書を所持している場合)の方が少数派です。

多くの相続人は「実家は長男が継ぐことにしよう」などの形で遺産分割協議をするか、法律により定められた遺産分割の割合で相続を行います。

そう、裁判所の関与があるのは、

  • 相続放棄や遺産分割が揉めた場合
  • 検認が必要な遺言書がある場合

などに限られ多くの相続では裁判所の関与はないのです。

しかしアメリカの場合は、相続があれば基本は裁判所の主導で遺産分配まで行われることになります。

アメリカでは、

  1. 遺産の管理や相続の手続きをする代表者が決まる
  2. 諸手続きをする
  3. 遺産税の申告と課税
  4. 遺産の分配

という流れになります。

相続に必要な期間は、

  • 少なくとも数カ月以上
  • 長ければ年単位

の手続き期間が必要であるといわれます。

日本とかなり違いますね。

参照:
https://www.happy-souzoku.jp/

 

中国の相続とは

中国の相続は相続人の遺産の分割割合が基本的に均等であることが特徴です。

日本の場合は、

  • 配偶者がいるのか
  • 子供がいるのか
  • 親兄弟は存命なのか

によって分数による計算は変わってきます。

また、第一順位の配偶者が1/2など、分数で遺産分割の割合が法律に定められています。

しかし中国では相続人の順位によって分数が決まっているのではなく、基本的に均等です。

ただし、扶養義務をきちんと果たさなかった場合や自活が難しいなどの相続人にはいくらかの調整が行われることになっています。

また、中国の相続の面白い特徴としては、日本の限定承認のような形が基本であるという点です。

限定承認とは、遺産のプラス(預金や不動産など)とマイナス(借金など)を計算し、プラスの範囲内で相続をするという相続方法です。

裁判所に申し立てることによってのみ可能な相続方法です。

日本では選択する人が少ない相続方法であるといわれます。

参照:
http://legacy-cast.com/

 

最後に

いかがでしょうか。

今回は外国の相続について二つの国を取り上げてご紹介しました。

「日本とはかなり違うぞ」という印象を受けたのではないでしょうか。

そう、国が違えば文化や言語が違います。

考え方だって違ってきますし、財産をどのように扱うかという価値観だって違ってきます。

相続は「遺産をもらってラッキー」という制度ではなく「自分が培ったものを子孫に伝える」という性質を持つわけですから、

その国の地位ある人が子供の誰に遺産を渡すべきかという思考によっても変わり、現在の形になったのではないでしょうか。

日本も昔は「長男が相続」という印象があったはずです。

それが現代の「お墓は長男が受け継ぐものなの?」といった疑問に繋がっているのではないでしょうか。

こうして色々な国の相続制度を見るだけで興味深いものです。

是非、日本の相続制度と比較して理解を深めてみてください。

雑学や豆知識として覚えておくのもいいですね。