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  • 相続放棄をしたら、相続税も払わなくてもいいの?
  • 相続放棄をした人がいる場合に、相続をした人が負担する税金の額は変わるの?
  • 相続放棄したけど、生命保険を受け取った場合の税金は?

など相続放棄と税金の話をまとめました。

 

相続放棄の効果

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家庭裁判所で相続放棄の申述を行って受理されると、

相続放棄を行った人は、最初から相続人ではなかったことになります。

例えば、父、母、3人の子供の5人家族で、父親が亡くなった場合、

法定相続人は、母と3人の子供です。

法定相続分は、

  • 母が2分の1
  • 子供がそれぞれ6分の1

です。

しかし、3人の子供のうち、1人が相続を放棄した場合には、

相続人は、最初(父が死亡した時点)から、母と子供2人だったという扱いになります。

この場合、それぞれの相続分は、

  • 母が2分の1
  • 子供がそれぞれ4分の1

です。

相続放棄した人は、最初から相続人ではなかったということになりますし、実際に何の財産も相続しないのですから、

相続税を払う必要はありません。

 

相続税は、法定相続人の人数を使って計算される

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但し、相続税を計算する時には、相続放棄した人も含めて計算します。

相続放棄をした人がいようがいまいが、相続税の計算の方法は変わらないので、その総額も変わることはないということになります。

平成27年1月1日以降に開始した相続の場合、相続税の基礎控除額は、

「3,000万円+法定相続人の人数×500万円」

となりました。

上記の家族の例でいうと、相続税の基礎控除額は、

3,000万円+4人×500万円=5,000万円

となります。

つまり、この家族は、5,000万円を超える相続財産がある場合には、その超えた部分について、相続税がかかります。

例えば、父親が8,000万円の相続財産を遺していた場合には、

8,000万円から基礎控除額5,000万円を差し引いた3,000万円

に所定の税率をかける等して、相続税の総額が決まります。

このようにして計算された相続税の総額を実際に相続した人たちが、その取得分に応じて按分して払います。

 

みなし相続財産に注意

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みなし相続財産とは

相続放棄をしても、自分が受取人として指定されていた生命保険金は受け取ることができます。

また、故人が企業に勤めていて、死亡退職金の支給がある場合、

死亡退職金の受取人については、就業規則などで、その順序や範囲が決められていることがほとんどです。

例えば、

  • 受取人の第一順位は配偶者
  • 配偶者がいない場合の第二順位は子
  • 配偶者も子もいない場合、第三順位は父母

といった順番になっていることが多いです。

亡くなった人と同一生計だったかも重要な要素です。

こういった規定がある場合、死亡退職金は、遺族の生活保障という面が強いものです。

そういった場合には、死亡退職金は、その受取人の固有の財産となります(場合によっては、例外もあります)。

故人が国家公務員である場合には、国家公務員退職手当法によって、死亡退職金の受取人の順位及び範囲が決まっていますので、その受取人の固有財産となります。

地方公務員の場合は、その地方の条例によりますが、たいていは、国家公務員と同様の扱いがなされているようです。

上記のような死亡退職金は、相続放棄した人も受け取ることができます。

このように、受取人が指定されている

  • 生命保険
  • 死亡退職金等

は、その受取人の固有の財産であって、相続財産として扱われることはありません。

しかし、相続税との関係では、これらも、相続財産として、相続税の課税の対象となります。

このような性質から、生命保険や死亡退職金等は、「みなし相続財産」と呼ばれます。

相続放棄した人が、みなし相続財産を受け取った場合には、その分の相続税は支払わなければなりません。

 

みなし相続財産の非課税枠

みなし相続財産にも非課税枠があります。

その控除額は、法定相続人1人当たり500万円です。

例えば、配偶者がすでに死亡していて、子供3人が死亡退職金3,000万円の支給を受けたとします。

この場合、法定相続人は3人ですから、非課税枠は、

500万円×3人=1,500万

となります。

ところが、3人の子供のうち、1人が相続放棄していたとしたら、その1人は非課税枠の適用をうけることができません。

そうすると、相続放棄していない子供が、非課税枠を分けることになります。

つまり、相続放棄をしていない2人の子は、それぞれ退職金1,000万円を受け取ります。

そのうち、750万円分については非課税となり、

非課税枠を超える部分250万円に所定の税率をかけて、相続税を支払います。

相続放棄をした子は、非課税枠を使えませんので、1,000万円全額が課税の対象となります。

 

債務控除に注意

相続放棄をしたとしても、上記のようなみなし相続財産を受け取った場合には、

故人の借金や滞納していた税金などを一部でも負担しようかという気持ちになるかもしれません。

相続放棄をしていない人が、故人の借金や滞納税などを支払った場合には、相続財産の中から差し引くことができます。

つまり、受け取った相続財産から、借金や滞納税を差し引いた額に相続税がかかります。

これを債務控除といいます。

一方で、相続放棄をした人が、故人の借金や滞納税などを支払っても、

その受け取ったみなし相続財産から差し引くことができません。

相続債務については、相続放棄していない人に負担してもらったほうがよいということになります。

もっとも、相続放棄をした人が、葬式費用をみなし相続財産から支払った場合には、債務控除が認められます。

葬式費用は、そもそも故人の負債ではなく、別途、発生した費用だからです。

 

老齢基礎年金(国民年金)の未支給年金は、一時所得になる

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年金は、後払いです。

例えば、年金受給者が4月15日に受け取る年金は、2月分と3月分なのです。

そこで、年金受給者が死亡した場合、未支給年金が生じる場合があります。

国民年金法によると、

老齢基礎年金(国民年金)の受給者が死亡した場合で、未支給年金がある場合には、

故人の配偶者(内縁配偶者を含む)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であって、故人の死亡当時に故人と生計を同じくしていた者が、

「自己の名で」その未支給年金の支給を請求することができる。

こととされています。

上記は、左から、第一順位が配偶者、第二順位が子・・という順番です(どの順位の遺族であれ、生計を同じくしていたことが必要です)。

これも、未支給年金を受けることができる者の固有財産となりますから、相続放棄をしていても受け取ることができます。

これもやはり、受取人の順序や範囲について、民法と違う定めがあることと、遺族の生活保障を目的としたものだからです。

また、未支給年金は、みなし相続財産にも該当しないとされていますから、相続税の対象にもなっていません。

ただし、未支給年金を受け取った遺族の一時所得になりますので、所得税の対象となることには注意が必要です。

一時所得は、年間50万円までは非課税ですが、これを超えると超えた部分に課税されます。

 

まとめ

以上のように、税金の関係は複雑です。

相続税の課税対象になるほどの遺産がある場合には、弁護士や税理士に相談した方がよいでしょう。

相続放棄は3ヶ月、相続税の申告は10ヶ月とそれぞれに期限がありますから、早めに相談するようにしましょう。