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相続財産と生命保険。

亡くなった人が、家族のために残すという意味では、同じように思えます。

でも、法律上は全く別物

似ているのに全く違うとうのは、本当にややこしいですね。

実は、生命保険に加入することは、相続において大きいメリットがあるのです。

それは、

  • 相続税
  • トラブル防止
  • 迅速な承継

など、大きく分けて3つ。

それらを最大限に活用するためのポイントも、あわせて解説します。

※平成27年時点の税制に基づいています

 

相続財産と生命保険の関係は?独立した財産って?

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生命保険の受取保険金は、相続財産とは独立した別個の財産とみなされます。

故人が持っていた資産や負債は、全て相続財産として相続人たちが管理し、分割、各自の財産となります。

生命保険は、故人が権利を所有していたわけではなく、死亡することによって受取人に指定された相続人が権利を取得するので、相続とは全く別物と考えられるのです。

 

相続放棄した場合でも、保険金を受け取ることはできる

そのため、相続放棄を行っていたとしても、生命保険だけを受け取ることはできます。

亡くなる前に、特定の人だけに財産を渡すために、生命保険を利用することもあります。

遺産分割協議(相続人同士で行う、遺産の分け方を決める会議)の対象にもならないので、

うまく契約をすれば、他の家族に知られずに財産を渡すことができます。

詳しくは後述します。

ただし、特定の相続人が生命保険を受け取ることによって、他の相続人との間に大変な不公平が生じる場合は、

「特別受益」とみなされて、相続財産として分割の対象になることがあります。

ある程度納得できるやりかたでないと不都合が生じるということです。

 

相続税の計算上は、遺産分割での考え方とは別

一方、相続税を計算する際には、相続財産ではないのですが、受け取った保険金を相続財産と「みなして」計算されます。

そのため、他の相続財産と合わせて、基礎控除である、

(3000万円+法定相続人×600万円)

を超えないようであれば、ほぼ確実にメリットが出ます。

基礎控除を超える場合であっても、生命保険の場合は500万円×法定相続人という非課税限度額が定められています。

やはり現金のまま持っておくよりも少ない税金で済みます。

 

生命保険を相続に活用するメリット3つ-税金、争続防止、納税資金

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では、生命保険を使うと相続において具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

節税方法として利用している人は多いですが、その他にもこのようなメリットがあります。

 

非課税限度額を使って、相続税額を抑える。実は生前も節税メリット有

前の項で少し触れましたが、相続財産の非課税限度額は非常に大きな金額になっています。

事例を使って、どれくらいの差になるのかみてみましょう。

事例:

Aさんは、終身生命保険に入っており、保険料は毎月2万円。

これは40歳のころに加入したもので、保険金額は1000万円、受取人は妻のBさんとなっている。

Aさんは82歳のころ、預金5000万円を残して亡くなった。

相続人は、Bさんと息子Cさんの2人だ。

話を分かりやすくするために、それまで払った保険金は1000万円だったとします。

なので、保険の運用益は度外視します。

この事例の場合、相続税の対象となる課税遺産総額は、次のとおりです。

預金5000万円+生命保険(みなし相続財産)1000万円-(基礎控除3000万円+600万円×2人)-(生命保険の非課税限度額500万円×2人)=800万円

800万円に対して税金がかかることになります。

もし、生命保険を利用しなかったとすると、どうなるでしょうか。

保険料は、そのまま貯金し、相続財産として残すとします。

預金6000万円(払うはずだった保険料1000万円を含む)-基礎控除3000万円+600万円×2人)=1800万円

1800万円に対して税金がかかります。

仮に税率10%(本当はもっと高い)だとしても、差額の1000万円×10%で100万円も納税額に差がでます。

さらに、生前の支払いには、生命保険料控除が適用されます。

平成24年以降に契約していた場合は、Aさんの所得から毎年4万円控除することができます。

納税額にすると、数千円~1万円程度得します。

数千円でも、毎年のことですから、重ねていくと大きいものになります。

 

分け前を指定しておくことで、不要な争いを防ぐ

遺産の金額が中途半端だったり多額だと、分割のときにトラブルが起こりがちです。

でも、前もって生命保険で受取人と受取額を指定しておけば、財産の取り合いという醜い「争続」を防ぐことができます。

ただし、前述の特別受益のように多大な不公平感を伴うものだと、かえって裁判沙汰になりかねません。

それに、保険会社によりますが、多くの場合受取人は二親等以内に限るという制約があります。

二親等内とは、

  • 親(子)
  • 祖父母(孫)
  • 兄弟など

です。

甥・姪やいとこ、親族でないものは対象になりません。

このように、誰でもどのような金額でも可能かといえばそうではないので、注意してください。

 

保険金は遺産分割を待つことなく受け取れる。納税資金の積み立てにも

保険金の受け取りは、遺産の分割や名義変更よりも早いという特徴があります。

預金の名義変更などは手続きを始めてから1ヶ月以上かかることもありますが、

生命保険の受け取りはあらかじめ指定した受取人の口座に振り込まれるだけなので、スムーズに行われます。

相続財産とは別に扱われるので、遺産分割協議を経る必要もありません。

もし預金や現金がほとんどなく、葬式費用にも事欠くようなことがあっても、

生命保険なら、煩雑な手続きをすることなく、現金が手に入ります。

現金の財産がほとんどなく、自宅などの土地が多くて多額の相続税を払わなくてはならなくなりそうな場合でも、

生命保険を納税のための資金の積み立てと考えれば安心です。

相続税の節税になるうえ、納税のために先祖代々所有する土地を売ったりすることなく、資金を確保することができます。

 

メリットだらけの生命保険、注意すべきことは?

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メリットが盛りだくさんの生命保険ですが、使い方を間違えると、かえって損をすることがあります。

その2つのポイントを解説します。

 

契約の方式によって、かかる税金が異なる

生命保険の契約当事者には、

  • 契約者
  • 被保険者
  • 受取人

の3人分の要素があります。

簡単に書くと、契約者は保険料を払う人のこと。

被保険者が亡くなると、受取人が死亡保険金を受け取ります。

全てが同じ人の場合もありますが、それぞれ違う場合もあります。

そして、誰がどの立場で契約しているかによって、税金のかかり方が違います。

契約者と被保険者が同じで受取人が別の人

この場合、相続税となります。

つまり、被相続人(財産を残す人)が保険料を支払い、被相続人が亡くなったことで、相続人に保険金が支払われるパターン。

契約者と受取人が同じ人で、被保険者が違う人

この場合所得税となります。

例えば、家族の一人に、他の家族に内緒でお金を相続させたいとき、相続税になるような契約をしてしまうと、相続税の計算をする際に他の家族に知られてしまいます。

お金を渡したい家族を契約者かつ受取人にし、保険会社への支払いはこの家族が行います。

保険料分をこっそりこの家族に与えてやれば、他の家族に知られることなく、保険金を残すことができます。

保険料を与えているので贈与になりますが、贈与税は年間110万円まで非課税なので、相当高額な保険料でない限りオーバーすることはありません。

契約者・被保険者・受取人が全て違う

この場合は、贈与税となります。

例えば、保険料は夫が払い、妻が死亡したときに、子供に保険金が支払われるというようなパターンです。

贈与税は相続税よりも控除額が少なく、かつ税率が高いので、あまり使われることはありません。

 

あまり知られていない節税方法、所得税の方が得になる場合もある

所得税となるように契約するのは、上記のような場合だけではありません。

節税としても、使われる場合があります。

相続税の税率は所得税よりも高いので、所得税とした方が得する場合もあるのです。

相続税の場合は、法定相続人×500万円分の非課税枠があります。

所得税には、

  • 給与所得
  • 事業所得

など10種類あり、保険金はその中の一時所得というものに分類されます。

一時所得は、受け取った保険金のうち、次のように計算した部分にのみ税金がかかります。

(保険金-支払済保険料-50万円)÷2

例えば、保険金が1000万円、支払済みの保険料が500万円であれば、225万円に対して所得税がかかります。

税率は、受取人の給与など他の所得と合算して決まります。

相続税がかかるようにすると、相続人が子供一人だった場合、

非課税限度額の500万円を引いた、500万円に対して税金がかかります。

ただし、相続税には基礎控除や配偶者の税額軽減もあります。

所得税にすることで、かえって余計な税金を払ってしまうということもあり得ます。

残す財産の額が多く、全体で多額の相続税が発生する場合

(目安としては、相続税率が30%以上になる場合。財産の金額にして、少なくとも8600万円)

には、所得税の方が得することが多いです。

 

まとめ

生命保険(死亡保険)には次のようなメリットがあります。

  • 相続税を節税できる
  • 保険料を払うと、所得税を節税できる
  • 相続争いを避ける手段となる
  • 死亡時に、迅速、確実に現金を遺族に渡すことができる

活用する際には、次のことに注意しましょう。

  • 契約の仕方によっては、かえって多くの税金を払うことがある。
  • あまりに不公平な内容だと、かえってトラブルの原因となる。
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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー ファイコロジスト山田

不動産から為替相場の予想まで、お金に関するテーマについて幅広く執筆。
相続に関連して実家を失ったことがある。
これらの経験から、相続関係業務のモットーは「運用を含めた総合的な人生設計」「関係者全員が納得する分割」。